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2ー(13)


―――――




ザッ…ザッ…



『!?』


シャオンの両親の遺体を運ぼうとしていた二人の耳に、数人分の足音が聞こえてきた。


敵か味方か分からないが、状況から村人の可能性は低い。


不安そうにアレンの袖を握り締めて、シャオンが小さな声で呟いた。


『ア、レン…』


『大丈夫』


アレンは聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう答えると、シャオンの腕を取り素早く物陰に隠れた。




『おい、例の家のドア開いてるぞ。』


『閉め忘れか?ったく、誰だよ最後に出た奴は…』


三人の男達が家の前で立ち話をしている。


その内の一人が僅かに開いていたドアに手を掛けて、家の中を見回した。


シャオンは今すぐ飛び出して彼らに詰め寄りたい気持ちと、殺されるかもしれない恐怖とを押し殺して眼を瞑った。


何も出来ない自分の弱さにやるせなさを感じ、握り締めた手に力がこもる。


冷静になれと自分に言い聞かせながら、男達の話に集中した。


幸い夕暮れ時で薄暗かった為入口からは二人の姿は確認出来ない様だった。


何も無い事を確認し、男はドアを閉めながら声のトーンを下げて呟いた。



『にしても、ひでぇ事するよなぁ…』


『だよな。この家の住人だけこのままにしておくなんて、上も何考えてんのかね』


『おいっ!声のボリューム落とせよ。もし他の奴に聞かれたらどやされるぞっ』


聞かれたらまずい話なのか、一人の男が仲間の男に声量を下げるように注意した。


『まぁ余計な詮索はするなって言われてるし、取り敢えず指示に従っとこうぜ』


『そうだな…俺らにはどうしようも無いしな』


『そうそう。下手に探って目ぇ付けられたら俺らの首がすっとんじまうよ』


『だよな…。そういや、見回り終わったら交代で飯食うみたいだぜ。夜は村の入口に見張り置くらしいから、さきに腹拵えしてろってさ』


『うげぇ…飯食った後って眠くなんのに…』


三人は暫くドアの前で雑談してその場を後にした。



『時間ないみたいだな…』


先程の男達の話から、村の入口に見張りが付く前にここを離れたほうが良い。


アレンの呟きにシャオンが眼を開いた。


『母さん達、このまま…』


シャオンにもしょうがない事は分かっていたが、そのままにしていくのは胸が痛んだ。


『…お別れだけ、して行こう』


そう言ってシャオンの手を取り二人の亡骸の前に連れて行くと、彼らは手を合わせた。


(ごめん…母さん、父さん。きっといつか必ず敵を取るから!)





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