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1-(17)

一度シャオンに聞いてみたことはあるが、悲しそうに笑って「ごめん…」と呟いた姿を見てからはなんとなく聞けなくなってしまった。


アレンが知っているのは、シャオンの一家が自分の村に移り住んできてからだった。


シャオンは両親と共に3人で村にやって来たが、貧しい村だったため当初村人はあまり良い顔をしなかった。


しかし、シャオンの両親が村にはいなかった医者だったことと彼らの人柄によって、半月もすれば村に馴染んでいた。


そんな両親とは違い、シャオンは当初感情をほとんど表に出さない女の子だった。


どこかよそよそしく、周りと関わらない様に常に一線を引いていた印象がある。




あまり村の子と馴染めていなかったシャオンを、アレンと彼の兄は事あるごとに声を掛けて誘っていた。


始めは戸惑っていたシャオンだったが、次第に打ち解けていき笑顔を見せてくれる様になった。




しかし3年前、その平穏な生活が突然の悲劇によって奪われてしまった。


村に国軍が侵攻し、地図上から村の名前が消えたのだ。


そこに住んでいた者たちは殺されたり、保護という名目で捕えられ王都に連れていかれた。


未だに生死も分からない者が多くいる。


アレンの両親と兄は生死の確認がとれておらず、シャオンの両親は遺体で発見された。


アレンとシャオンはその日偶然に隣町まで買い物をしに行っており無事だったが、村に帰ると家が焼かれいたる所に赤い血が飛んでいる光景が目の前に広がっていた。


余りの光景に愕然とし、震える足を引きずって二人は家まで走った。


アレンの家には誰もおらず、シャオンの家の前には彼女の両親が倒れていた。



しばらく唖然と立ち尽くしていたが、敵に見つかる前に泣き崩れて動かないシャオンを連れて必死に逃げ出した。


あれから3年たったが、未だに村が襲われた本当の理由は分かっていない。


発表では、反逆者の一団が村に奇襲をかけたのでそれを鎮圧するために軍が動いたとされているが、実際そんな一団はいなかったことが旅をしている間に判明している。


それ以来国軍に出会うたびに聞きだしてはいるが、ごく一部の上の者にしか真相は伝わっていないらしい。



(そのことと、今回のことが何か関係があるのか…それなら何故、)



「う…ン…」



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