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1-(14)

この少女を知らないものはこの国にはほとんどいないだろう。


スロウィジアン公国第一皇女、ユウナ・ジル・ヴァン・スロウィジアン


現王の一人娘で、最近行方不明になっていて国中が血眼になって捜している人物だ。


10年前にユウナの姉であり当時の第一皇女が突然の病で亡くなってから、彼女が現王の血を引く唯一の存在となっている。


その彼女が今目の前にいて、更には逃亡の手助けまでしてしまった。


(只でさえ国軍に喧嘩を吹っ掛けて追われる身なのに…もうヤだ……)


少年はひきつった笑顔で、自己紹介をする少女を見つめていた。


「私はご想像の通り、この公国の第一王女、ユウナ・ジル・ヴァン・スロウィジアンです。こちらはカイン・リスウェル。訳あって逃亡中なんです」


「巻き込んでしまい申し訳ない。御覧の通り追われている身なので、私たちのことはどうか内密にして頂けると助かります」


紹介されたカインが口早にそう続けた。


おっとりしたユウナに、しっかりしていそうなカイン。


この二人であるからこそ上手くやっていると想像できる。


少年は場違いなことを考えながら、自らも名を伝えた。


「俺の名前はアレンで、さっきのお転婆はシャオン。俺らも同じ様なものだから、そのあたりは心配しなくて大丈夫ですよ。それより早く行った方がいい」


後ろを振り返りながらアレンが促し、再度お礼を言いながら二人は背を向けて走りだした。


立ち去る二人を見送り、アレンは今までで最も後悔したくなる厄介事にため息しか出なかった。


二人の後に追手がないことを確認すると、アレンは気持ちを切り替え戻ろうと踵を返した。




(シャオンのことだから大丈夫だと思うけど、なんだか嫌な予感がすんなぁ…)


来た道を戻りながら、アレンは不安に見舞われていた。


普段なら面倒臭い事が嫌いなのでゆっくりとシャオンの元に向かうのだが、段々スピードが速くなるアレン。





シャオンは普段から厄介事や騒動に首を突っ込む節がある。


人が傷付き、苦しんでいるところを見ていられない性格なのだ。


そのおかげでアレンも首を突っ込まざるを得なくなる。


放っておけばいいのだろうが、アレン自身そんな彼女を放っておけない。


旅の仲間であるということだけでなく、守ってやりたい大切な存在。


二人でいることが当たり前になったことでその想いが一層強くなったように感じる。



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