1-(11)
「ぅをおおおおお!!」
ザンッ―――
パッと紅い鮮血が二人の間に舞い散る。
斬りかかっていった男は呻いてその場に倒れこみ、意識を失った。
その脇腹には、先程まで少女の所有していた小刀が深々と刺さっていた。
急所は外れているようだったが、重症であることが滲み出した液体の多さで判断できる。
少女の方は腕を深く斬られ表情を歪めているが、辛うじて自力で立っている状態だった。
勢いづいた他の男が少女に近付きとどめを刺そうとしたが、クナイを投げつけられて後ずさる。
どうやらまだ戦意を喪失してないらしい。
しかし出血が酷く、息が上がり膝をついてしまっていた。
「形勢逆転だ。もう少しだったのに残念だったな」
朦朧とした意識の中、少女は声のした方に目線を送った。
いつの間にか意識を取り戻したクレッシュが、部下の男に支えられこちらに向かってきていた。
「われらを侮辱した罪、そう簡単には償えると思うな。骨の髄まで後悔させてやるからな」
そう言い放つと部下に命令をし、少女を拘束した。
拘束され、抵抗する様子もなくなった少女に近付くと、クレッシュの表情がみるみる険しくなっていく。
暗くてよく見えなかったが、よくよく見てみると少女の髪がまるで紅蓮の如く紅い。
瞳も半分閉じかかっているが、髪と同様深紅であるいうことが分かる。
(まさか…!?)