買ったからには 声劇台本
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娼婦 18歳
金持ちの男 22歳
登場人物表
娼婦♀:
金持ち♂:
娼婦「まさか、こんなところでお会いすると思いませんでした」
金持ち「あなたは、何も変わらないみたいですね」
娼婦「特に変える意味もありませんからね。わたくしは、わたくしです」
金持ち「こんなところで高潔ぶって、何になるんですか?」
娼婦「あら、高潔だと思ってくださっていたのですね。嬉しいです」
金持ち「本当に嬉しそうだから腹が立ちますね」
娼婦「先程も言った通り、どこにいてもわたくしはわたくしでしかないので」
金持ち「そうですか。ここまで来ると尊敬しますよ」
娼婦「何がですか?」
金持ち「蝶よ花よと育てられてここまで生きて来たお嬢様のくせに、娼館なんかにぶち込まれて泣き言1つ言わないのは、尊敬に値してもおかしくないかと」
娼婦「わたくしは無力ですからね。流れに従うまでです」
金持ち「悔しくは、ないんですか?娼館にぶち込まれた上に、今まで家来としてこき使っていた相手にこうして買われるのは」
娼婦「あら?こき使ってましたか?お給金以上の事は頼んだつもりはなかったのですが、それは申し訳ありません」
金持ち「……別に、あなたはお貴族様でしたしね、そこに恨みも何もありません」
娼婦「ふふ。ありがとうございます。それで、そろそろはじめませんか?」
金持ち「え?」
娼婦「娼館で娼婦を買った。その後はすべきことは1つなのは、箱入りだった私ももう分かります。……初めてがあなたで良かった。好きに、してください」
金持ち「本当に、それでいいんですか?」
娼婦「何が?」
金持ち「初めてが、俺で、いいんですか?」
娼婦「良いも何も、わたくしを買ったのはあなた───」
金持ち「俺は!そんな諦めが聞きたいんじゃない!あなたの本音が聞きたいんだ!」
娼婦「え?」
金持ち「俺は、初めて会った時からあなたが欲しくて、欲しくて欲しくてたまらなくて、でもこの立場じゃ手に入るはずもないから金を稼いだ」
娼婦「……え?」
金持ち「なのに、あっという間にあなたの家は信じられないほどの借金を抱えて、あなたは売られた」
娼婦「そうね」
金持ち「僕の今の金じゃ、あなたの初夜を買うだけで精一杯で、箔の着いたあなたを身請けするなんてとてもとても」
娼婦「そのー」
金持ち「なんですか?」
娼婦「私の事、好きなの?」
金持ち「この流れでそんなこと聞かないでくださいよ!」
娼婦「うふ…あはははは!」
金持ち「何笑ってるんですか!?」
娼婦「嬉しい」
金持ち「は?」
娼婦「わたくしも、あなたが好き」
金持ち「は?」
娼婦「わたくしも、あなたが好き。だから、なるべく綺麗なうちに迎えに来てくださいね」
金持ち「……ズルくないですか?」
娼婦「とりあえず、明日から頑張るために、今日は飛びっきり、甘やかしてください」
金持ち「……はー、分かりましたよ。今日は何もかも忘れるくらい、甘やかしてあげますよ」
娼婦「ありがとう。愛してるわ」