回想の騎馬隊
この作品はフィクションです。
特に歴史上の人物、時代背景については、演出の都合上、改編を加えたり、筆者の想像で補っている部分が多々あるため、史実とは異なる描写がある事をご了承ください。
登場人物
馬岱 蜀漢の将。官位は平北将軍。爵位は陳倉侯。
所詮は夢物語だったのかも知れない。
手が届きそうな所に、それはあった。
ただ、いくら手を伸ばしても、届く寸前でそれは離れて行った。
そしてまた、届きそうで届かない微妙な距離を保って、それは留まる。
それでもいつかは手が届く。
そんな無意味な希望を人々に抱かせながら、それは形のない姿を人々に見せていた。
だから人々は惑わされた。自分もその一人だ。
途中で気がついた自分は、それに対して既に冷めた思いしか抱けなかった。
それでも命を受け、出陣し、敵を斬った。
敵を一人でも多く斬れば、それに届くのかと言えば全くもってそんなことはない。
そんなことにはとっくの昔に気づいていた。
それでもそうする以外の事を見出せないまま、一人、また一人と敵を斬る。
未だにそれを信じて惑わされるがままに敵を斬っている者もいた。
あの男が逝くまでは。
口の悪い奴に聞かせれば、ただの絵空事だと言われそうなそれを最初に言い出したのは紛れもなくあの男だ。
そして、それをある程度までは形にしてみせたのも、あの男だった。
いつしかそれは、あの男そのものと認識されていた。
だからこそ周囲は、いつかはそれに手が届くと思い込んでいた。
ただ、あの男に責任はない。
なぜなら、あの男もまた、それに惑わされていたのだから。
もしかしたら、あの男も途中で気づいていたのかも知れない。
そして自分と同様にやり続ける以外の事を見出せないまま、それに蝕まれて遂には逝ってしまった。
そういう事だったのかも知れない。
まあ、それでもいいさ。
戦場じゃあ、命が安すぎる…。
残された者たちを嘲笑うかのように五丈原に風が吹き渡った。
あの風の冷たさを、今でも忘れられない…。
「将軍、符雙様、並びに強端様が参られました。」
とりとめのない思考を遮られ、馬岱は我に返った。
どうやら少し眠っていたようだ。
お通ししてくれと、取り次いだ衛兵に言い、馬岱は眠気を覚ますために軽く頬を叩いた。
「お二方が揃っていかがなされた?」
通された二人にそう声を掛けたが、何の用で訪ねて来たのかは、実は言われなくても分かっていた…。
1 配信の傍観者
アキヤマ「はい!どーもアキヤマです!というわけでですね〜、今日も配信していくんですが、ちょっと事情がありまして、ライブではないです!というかライブ配信が今のところ不可能な状態に陥ってます!なんだかね~、Wi-Fi繋がってないっぽいんですよね~。でも、何かしらのサイト…?には繋がってる感じではあるんですよ。ブラウザ一旦閉じて再起動しても必ずそこに繋がっちゃうんですよね~。で、いつものツベとは全く違うんですけど一応トップページがあって新規アカウント作成とか既にアカウントをお持ちの方はコチラとか、なってるわけですよ。で、なんかの勧誘サイト?もしかして乗っ取られた?とか思いながら、でもここにしか繋がんないし、怖いけどアカウント作ったらホームとか動画投稿とかのボタンはあるわけです。で、このサイトのあちこち見渡してったんですが他の動画が見れないんですよ。というかどうも動画そのものが、まだ一本も上がってない。まだ0本!作りはね、完全に動画投稿サイトなんですよ。ただ、おすすめ動画とか新着動画のところが完全に空っぽで恐らくアカウントが僕の他に一人も存在しないっていう…。あれ?これってもしかして僕が記念すべき投稿者第一号?ってなわけでいつも通り撮り始めてるんですが、その前に。さっき…まあ2〜3時間前ぐらいですかね〜、外ででっかい音がしたんですよ~。まあ、僕と同じ音を聞いたよ〜、知ってるよ〜って人もね〜、いらっしゃるかとは思うんですが。で、気づいたら電波はこんな状態で。スマホもおんなじ状態で、Wi-Fiも5Gも来てないっぽいんですが正体不明のサイト的な…多分PCとおんなじところには繋がってる感じなわけです。で、でっかい音がした時に…その直前まで寝てたんですけど…って、もう昼なんですけどねwwまあ、いいかって、いやいや良くない良くないwwまあ置いといて、地震?雷?火事?親父?って、なったわけですよ。最後の親父は余計なんですけども。で、慌てて服着て外に出たんですよ。そん時にスマホで動画撮ったんですが、編集して画を繋げたんで見てください。…ほら。アパートの2階から撮ってるんですが、すぐ目の前が川になっちゃってるんですよ。まわりにはビルも道路もなんにもなくですよ。見渡す限りの大自然。で、アパートの南側…今、階段降りてるとこですけど、南側にまわります…まわりました…っと。ね?山の麓なんですよ。日照権どうなるんだよって、山に言っても仕方ないんですけどwwで、いつもならあるはずの…アパートの隣の大家の家が…ない。正直、やった!家賃払わねーでいい!なんてガッツポーズしちゃいましたけども。で、ちょっと先の方を見ると…なんと人が倒れてたんですよ!しかも2人!見てもらって分かると思うんですが古代中国の…三国志の漫画とかに出てくるような文官の人が着てるような服着てるんですよ。文官っていうか、ちょっと金持ってそうな平民っぽい感じですかね?わけ分かんないでしょう?もうね、頭混乱しまくりですよ~。ま、とにかく生きてるっぽいんで2人とも僕の部屋まで運んで、いや〜大変でしたよ〜、人担いで2階に上がるの。まあ、担ぎ起こしたら、2人とも弱々しくはあったんですけど目を覚ましてくれたので、肩貸しながら歩いてもらったってのが真相です。スンマセン嘘つきましたwwで、外の映像はこのぐらいにしておいて…。取り敢えず二人には水飲ませて落ち着いてもらって布団で休んでもらってます。あ、そうそう今気づいたんですけど、電波もですけど、電源はどうしたんでしょうね?コンセントに挿すと普通にこのPCに限らず家電ぜんぶ使えてるんですよ。これ、どういう事なんだろう?電線も見当たらないし。不思議なもんですよね~。不思議っていうか異常事態?もうね、こんなハイテンションで喋ってますけど起きてからもう、不安で仕方ないんですよ〜。食い物とか、どうしようかなー?ってのが目下の最大の悩みですね〜。あ、そうそう電気とあと水道も大丈夫でした〜って、さっき助けた二人に水あげてんだから、この報告いらんなwwま、とにかくですね。見てる人居るかどうかも分かんないんですけど、こんな感じで、配信続けますんで、よろしくですぅ〜。以上、アキヤマでした〜。バイバイ!」