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 熱血の鉄壁、一大決意する

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俺達が乗る馬車がヒューレッドに到着すると、気付いた村民達がゾロゾロと集まってきた。


「あぁ、イリス!帰ってきてくれたのね!」


「ミリア、おかえり!無事で良かった」


「お姉ちゃん!ミレーヌお姉ちゃんだ!」


「ユナ、よくぞ帰ってきてくれた!」


連れ去られた村娘4人の家族や知り合いが、シモンの元から戻った村娘達の元へ集まる。


「良かったな、ロズベルグ。これがお前が命がけで生み出した結果だ」


「ああ、けど中には領主に逆らった俺に対してよく思ってないヤツらもいる。何が正義なのか分かったもんじゃねぇ」


「隷属されて掴む平和もあるってことか。人それぞれだな。だが紛れもなくあの子達を救ったのはお前だ。誇っていいと思うぞ」


感動の再会をロズベルグと眺めながらそんな会話をしていると、村の男達5人が俺達に近寄ってきた。


「ロズベルグ!ユナ達を連れ戻したのはいいが、こんな事をしたら必ずこの村は報復されるぞ。貴様、どう責任とるつもりだ!?」


「そうだ!うちには幼い子供がいるんだ。貴様のせいで、この村から出て行かなければならなくなっただろうが!」


見ると男達は手に鍬や棍棒を持っている。


「なあ、ロズベルグ。コイツら殴っていいか?」


「まあ待て、ナユタ。こうなる事は分かっていた」


ロズベルグは冷静に俺を制し


「すまんなお前達。今回の件は俺が勝手にやったことだ。俺はこの後、この村を出ていくつもりだ。これ以上お前達に迷惑をかけるつもりはない」


そのロズベルグの発言に誰よりも驚いたのは俺だった。


「え!?お前、この村を出ていくつもりだったの??」


「ああ、まもなく俺も確実に指名手配犯になるだろうしな。このままここに居ても村に迷惑がかかる」


「マジかよ。この後、お前はどうするつもりだったんだ?」


「最初は放浪でもしようかと思ってたんだけどよ。お前らの揺るぎない覚悟に惚れちまった」


「つまり?」


「お前達に力を貸す。俺も連れてけ」


「おおお??確かにお前が居てくれたら心強いけど、いいのか?お前が出ていく必要はないと思うぞ」


「そうだよ!どうしてロズが出ていく必要あるのよ」


俺に被せ、近くにいたユナが声を張り上げる。


「ロズが村を出る必要なんて無いよ。貴族達が来たら村の皆で上手く隠してあげるから。だから村を出るなんて言わないで。ねぇ、お願い」


「そんな事は許されん!犯罪者を匿った事がバレたら村民全員が罪に問われるぞ。この男は出ていくべきだ!」


村の男の1人がユナを否定する。


「アンタ達こそ出て行きなさいよ!どうして村民のために命をかけたロズが出て行かなきゃならないのよ!悪いのはアイツら領主達じゃない!」


「若造のお前達にはわからんのだ!ワシらみたいな平民は、貴族に歯向かうと生きてはいけんのだぞ!」


「そんなの知らないわよ!何もかも諦めた自分の責任じゃない!」


「なんだとこの糞ガキが!」


言い争いしていた男が手に持つ鍬をユナに向かい振り上げるが、ロズベルグがそれを掴む。


「やり過ぎだ。これ以上やるなら次はお前達をぶっ飛ばす。お尋ね者の俺は今なら何でもするぞ」


そう村の男に凄むロズベルグは、続けてユナを見つめる。


「それにユナ、この人達も皆を守りたくて言っているんだ。そんな言い方はやめろ」


「でも・・・、じゃないとロズが!」


そしてロズベルグは村民達に向かい声高に告げた。


「いいか皆、よく聞け!これより俺はこの国に対しケンカを売りに行く。二度と村の者が攫われるような事の無い国造りのためだ!だからお前達とはここでお別れだ。だがこの村で受けた恩は決して忘れない。今までありがとうな」


おいおい、国にケンカを売るとか言っちゃってるよ・・・。

あまり物騒な事を公衆の面前で言わないでくれ。


「それとユナ、ずっと守ってやれなくてすまない。生きて戻ってこれる保証はないが、無事に帰って来れたその時は、俺と結婚してくれ」


ぉぉおおお!?か、かっこいいなコイツ!!


いきなりのプロポーズを受けたユナはもちろんテンパっている。


「な、ななな何言ってんのよ、いきなり!け、結婚なんて、私が、アンタと・・・」


「あぁ、嫌なのか?」


「別に嫌とかじゃ無いわよ!いいわ、その話受けてやろうじゃないの。その代わり、死んで帰ってきたら私も一緒に死んでやるから!」


プロポーズに対して受けて立つというのも初めて聞くフレーズだが、結局のところは嬉しそうだ。


突然のプロポーズポーズ劇に村の皆が歓声をあげる。


「頑張れよー、ロズベルグ!殺されたくないから一切助けはしないけど!」


「ユナを悲しませたら許さないからね!絶対生きて帰ってきなさいよ!」


「ユナは俺のものだぞこの野郎!俺と勝負しろロズベルグ!」


様々な歓喜の声があがる。


「わぁ、素敵ですね!ああいうの良いですねぇ」


リルティア様まで羨望の声をあげていた。


ユナとの別れの挨拶を済ませたロズベルグが俺達の元に近寄る。


「さあ、これで準備は万端だ。俺もお前達の旅に一緒に連れていけ」


「本当にいいのかー?ユナちゃんちょっと寂しそうだぞ?」


「いい。アイツなら俺のことをわかってくれる」


「私達の旅はかなり危険な旅です。もしかしたら生きて帰れないかもしれません。それでも良ければ、ご協力をお願いします」


「嬢ちゃん、今後は俺に頭を下げるのはやめてくれ。俺はアンタの盾になる。俺の命と引き換えにしてでも、アンタをこの国の王にする。だから、頼む。この腐った国を変えてくれ」


「分かりました。一緒に良い国にしましょう」


「やれやれ。足引っ張るんじゃねーぞ、ロズベルグ。あと、俺とリルティア様の命令は絶対だからな?」


「リルティア嬢ちゃんの命令は聞くが、お前の命令は聞かんぞ。むしろ、剣より盾の方が優秀だと嬢ちゃんに言わせてみせるから覚悟しとけ」


「ほおお、生意気言うじゃねーか!すぐ死ぬんじゃねーぞ?」


「もちろんだ。よろしくな、ナユタ」


「ああ。よろしく、ロズ」


俺とロズベルグは改めて仲間としての熱い握手を交わす。


「あ、ロズって良いですね!私もロズさんって言いますね」


「呼びやすいように呼んでくれ」


「了解、脳筋ロズベルグでいいか?」


「いいぜ、ヤンキー執事」


「なんだこら!?」「お、やんのか!?」


「あはは」


新たな仲間を迎え、ワイワイと騒ぎながら村を後にする。


村を出る直前、あとを追いかけてきたロズの婚約者ユナが俺達に向け深々と頭を下げる。


「皆さん、ロズのこと、どうかよろしくお願いします」


「ああ、君の必ず元に連れて帰るよ。心配かもしれないが、ロズを信じて待っててあげてくれ」


「はい。あ、あとコレを持っていってください」


ユナが俺に細かい刺繍の入った小さな布袋を渡す。


「我が家に伝わる希少石です。武器に取り付けると魔力付与されますし、売れば路銀にもなると思います」


「おお、こんな貴重なアイテムをありがとう。有り難く使わせてもらうよ」


袋から希少石を出す。

ほのかに魔力を帯びた薄く紫色に輝く石だ。

武器や防具に取り付けると付属効果がエンチャント効果が見込めそうだ。


「あと、ロズ。こっちに来て」


ロズベルグがユナに近づく。


「これを私だと思って肌身離さず付けておくこと。無くしたりしたら許さないから」


ユナは自分の首からチョーカーをはずし、ロズベルグの首に付ける。


「ああ、死ぬまで付けててやるぜ。お前も体に気をつけてな」


「うん、ロズもね」


別れを惜しみつつ、ロズベルグは何かを決意した表情で


「よぉし!じゃあ出発だ!」


見送るユナや村の者を振り返ることなくロズベルグは村を離れる。


こうして新たに、熱血の鉄壁こと、盾の戦士ロズベルグ=リンドルが仲間になった。

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