一流執事、三獅子と対峙する
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ギルベルト王子の取り巻きの戦士3人がゆっくりと近付いてくる。
どうやらここまでのようだ。
せめて俺の命と引き換えに、リルティア様と他の皆の命だけは助けてもらえるよう交渉しよう。
これ以上の抵抗を諦め、両手を上げようとしたその時
「ナユタ、俺が皆を守ってさえいれば・・お前ならアイツらに勝てるか・・・?」
瀕死のロズベルグが俺の腕を掴み問う。
「分からない。ただ可能性は0では無い」
「了解したぜ。このまま何も出来ずに殺されるより幾らかマシだ・・・。うぅ、ぬおおおおお!」
フラ付きながらも雄叫びをあげてロズベルグが立ち上がる。
「お、おい、無理するな、ロズベルグ!無茶したら本当に死ぬぞ!」
「どうせこのまま寝てても殺されるんだろ?ならいっそユナ達を守ってここで野垂れ死んでやらあ!」
大楯を拾い、その場で仁王立ちするロズベルグの身体のあちこちから血が吹き出す。
「ぐあああ、なんのこれしき!オレサマ流究極奥義、熱血の鉄壁!!」
両足を大きく広げて低く構え、大楯を自らの前に構えたロズベルグを中心に、青く透き通った結界が広がる。
結界は周囲にいる村娘達とリルティア様を包む程度の大きさまで展開される。
「さあ、ナユタ。コイツらは俺の命と引き換えに守っていてやる。お前は、後ろを気にせずに全力で暴れてこい!!!」
ロズベルグが決死の表情で俺に全てを託す。
そのやりとりを見て、近づく3人の男が水を差してきた。
「ハッ、てめぇやるじゃねーか。敵だがその根性だけは認めて、苦しまないように斬ってやるぜ」
「ずいぶん小さい結界ですね。私の方が大きく張れますよ」
「過信的だね。果たしてこの攻撃は防げるかな?」
3人目にそう告げた男が大弓を構え、仁王立つロズベルグへ矢を放つ。
矢は一直線にロズベルグ達に向かっていき、結界に衝突すると力無く地面に落ちた。
「きょ、驚異的だよ。まさか僕の超スーパーアローが防がれるとはっ!?」
「ぐふっ、テメェらの攻撃なんぞ全て跳ね返してやるよ。ナユタ、長くは持たん!早くソイツらをぶっ飛ばせ!」
あの3人は気付いていない様だが、ロズベルグの傷が広がっている。
どうやらこの結界、驚異的な防御力を保つが、受けたダメージは全て自分に跳ね返ってくるタイプのものだ。
「ロズベルグ・・・。分かった、お前の覚悟、決して無駄にはしない!」
決死の覚悟をした男に応え、俺自らも腹を決める。
どうせ死ぬなら主人を護り、執事としての矜持に散ってやる。
「熾天使よ!頼む、俺に皆を守れる力をくれ!!!」
ロズベルグの覚悟、リルティア様への忠誠心を胸に、心の底から力を望む。
すると、俺の身体に更なる魔力が入り込んでくるのを感じる。
「これは・・・ん、あれ?ちょっと強くなった気がするが、こんなもんなのか?」
強力な魔力降臨を期待したが、さほどの追加魔力を感じない。
まさか、これがギフトの力の限界なのか?
だがさっきよりも体は軽く、力も増した気もするので、早速3人に向買い構えの姿勢をとる。
「おいおい、たった1人で俺たち三獅子の相手をしようってのか?不遜な奴だな、斬る」
「一人で私たち三獅子と戦う気ですか?お望み通り消し炭にしてあげましょう」
「慢心的ですね、僕たち三獅子は強いですよ」
三獅子?なんか聞いたことあるような・・・。
「お前らが3何でも関係ない。一流紳士として蹴散らすまでだ!」
地面を強く蹴り3人との距離を一気に詰める。
まずは一番厄介そうな魔法の男に向けて上段から斬りつける。
「なっ、不意打ちとは卑怯だぞ!?」
魔法の男は魔力結界を展開する。
「ハッハッハ、私の魔力結界の前では貴様の剣など猫パンチ以下の・・・バリィィィン!!」
上段からの袈裟斬り一発で魔力結界が大きな音を立てて破れる。
「ひ、ひぃぃ!わ、私の結界がぁぁあ!」
魔法の男は魔法書を抱えて後ろへ下がる。
なんだ今の・・・。
初心者レベルの結界だったぞ・・・。
いや、俺を油断させるコイツらの罠かもしれない。
気を取り直して、残り2人に対し構え直す。
「お、おい、ガイナ。チャカの魔力結界がたったの一撃で破られたぞ・・・」
「懐疑的だね・・・。僕たち2人がかりでも破ることが不可能な結界を破るなんて・・・」
2人は武器を構えてはいるが、驚愕の表情でその場で固まったまま、全く攻めてくる気配がない。
とにかく今はロズベルグが心配なので、こんなところで時間をかけている暇はない。
そっちから来ないならこっちから攻めるまで!
剣を一度鞘に戻し、2人へ向って駆け出す。
攻撃範囲ギリギリから一気に居合いで片付けてやる。
「ちょっと待て!話がある!」
すると赤髪を逆立てた剣の男が剣を下ろし、俺を制止した。
「話ってなんだよ」
「ハッ、てめーにとっても良い話だぜ。これまでの俺たちの熱い戦いで、どうやら俺の戦いの熱が冷めちまったようだ」
それに合わせて、もう1人の大弓の男も
「賛成的だね。僕も今日は本気を出す日では無いんだ」
すると先程後ろへ下がった魔法の男も
「まあ、先程の結界もワザと脆くして、君の力を見定めただけさ」
さっきと打って変わって余裕の態度で格好つけ始めた。
「すなわち、君の力はもう見切ったってことだよ。なあ、カンベル?」
「ハッ、チャカの言う通りだ!もう少し腕を上げたら相手してやるぜ!だろ、ガイナ?」
「良心的に考えて、今日のところは君たちを見逃してあげるよ」
コイツらの名前を聞いて思い出した。
王国軍にその名も高き三人の獅子。
全員上級貴族のお坊ちゃんで、剣のカンベル、魔法のチャカ、弓のガイナで通っている。
あちこちの戦場に顔を出しては、戦略も何もなく金の力で一方的に戦果を挙げる。
コイツらだったのか!
それにしてもたいして強くないなコイツら・・・。
さっき熾天使に願った力がショボかったのも、なんとなく分かる気がする・・・。
そうとなっては打倒シモンを急ぐ今、コイツらの相手など本気でするまでも無い。
そう考え、構えの姿勢を解いた俺にギルベルト王子が近づいてきた。
「フッ、三獅子を認めさせたか、ナユタ=クローゼ。ならば今日は見逃してやる。愛しのレジーナの為にも、いずれ強くなったお前と正々堂々勝負してやる。みんな、今日は引くぞ!」
「おうよ!」「承知だ」「了解的だよ」
敵である俺を置いてけぼりにした展開で、皇太子と三獅子は門を潜り、市街地の方へ去っていった。
ギルベルト皇太子は去り際に俺に背中を向けながら
「もっと修行しろ、ナユタ=クローゼ!次俺たちに見つかる時までな」
背中を向けたまま右手を上げ、4人は横並びに門から出ていった。
いや、絶対逃げたろあれ。
まあ、おかげでバカの相手をする時間も省けた。
ここからはいよいよ真打退治だ。
シルバーベレス領主シモン=クロスタードの方を向き直し
「チェックメイトだ、シモン。あの4人が去った今、残りは貴様だけだ。ここで貴様の悪事諸共、俺が葬り去ってやるよ」
「フン、まったく使えない皇太子共だ。まあよい、お前如き我が最強の死兵団で始末してやるわ。死兵団達よ、殺れ!」
シモンを取り巻いていた真っ赤な鎧を纏った兵士5名が一斉に俺向け突進してくる。
「クローゼ剣術流秘技、一の太刀!」
一の太刀を使い、5人の間を縫う様に斬りつける。
「動きが遅すぎる。死兵団といってもこんなものか」
全員に致命傷を与え、驚きを隠せないシモンの元へに歩み寄る。
「さあ、あとはお前だけだ、シモン。大人しく降参し・・・」
ガンッッ!!と背中に強烈な一撃をくらい、前のめりに倒される。
「ぐぁ、な、何故お前らが!?」
振り向くとそこには、先程致命傷を与えた5人の兵士が、おびただしい流血をしながらも武器を構えていた。
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