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一流執事、侵入する

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時は少し遡る。


リルティアに憑依したルカと村娘達が、荷馬車で運ばれシモン邸へ向かっている最中のナユタ=クローゼ側の視点。


俺とロズベルグは宿屋前で集合した後、攫われたリルティア様達を取り返すためにシモン邸のある都スラブへ向かっていた。


「ロズベルグ、ここからまだ距離はあるのか?」


「いや、あと30分もかからないでスラブの市街地に到着するはずだ。着いたら辻待ちの馬車を拾ってシモンの屋敷に向かおう」


「分かった。ところで着いたらどうするつもりだ?まさか正面突破って訳にもいかないだろ」


「そうなのか?俺はてっきり正面から殴りこもうかと」


「いや、それこそアイツらの思う壷だろ。警備の手薄箇所を探して忍び込もう」


「ふむ。ならまずは偵察だな」


シモン邸へ侵入する策をロズベルグと考えながら歩を進める。

暫くすると前方にスラブの市街地が見えてきた。


ここシルバーベレス領は主に鉄鋼業が盛んな地域で、鉱山探掘や製鉄工場が多くある。


貴族はその権利を、平民はその作業を担い、聖教国ミラベルの軍事、生活用品などの下支えをしている。


スラブ市街地に入り、大通りで辻待ちの馬車を探す。

何台か停車しているのを見つけたので、そのうちの1人の御者に近付いた時だった。


「スラブに着いたぞ!俺のサイコロ占いではヤツらはこの街に居るはずだ。まずは我が叔父のシモンの元へ向かおう」


「ハッ、さっさと見つけて切り伏せてやろうぜ」


「見つけたら私の魔法で消し炭にしてやりましょうかね」


「確信的に、僕らの勝利は近いね」


背後から頭の悪そうな会話が聞こえてきたので振り向くと、そこに居たのは俺のよく知る人物。


レジーナ様の婚約者でありこの国の皇太子、ギルベルト王子の姿があった。

取り巻きとして3名の若者を連れており、向こうはまだ俺に気付いていない様だ。


「げっ!何でこんなところに皇太子がいるんだよ」


どうやらコイツらもシモン邸に向かうらしく、辻待ち馬車と交渉をしている。


「ロズベルグ、隠れるぞ」


建物の隙間に身を隠し、皇太子達が立ち去るのを待つ。


「おい!急がないとユナ達が危ないぞ。一体何をしている?誰だアイツらは!」


「あの先頭にいるのが、この国の次期国王候補だよ。国王の息子、ギルベルト皇太子だ」


「なっ、この国の皇太子か!でも何故そんなにコソコソする必要があるんだ?」


「俺とリルティア様はアイツらに追われていてね。こんな所で見つかる訳にはいかないんだよ」


馬車との交渉を終えた皇太子達は馬車へ乗り込み、全員乗り終えたところで御者が発車の合図をする。


「そうだ、アイツらを利用しよう」


「え?利用ってお前、追われてる身なんだろ?」


「大丈夫だ、俺に付いてこい。すいませーん!」


辻待ちしている御者に話しかける。


「あの前の馬車を追ってください。連れなんです」


空いている馬車に乗り込み、御者に指示を出す。


「お、おい。アイツらに付いていって大丈夫なのか?」


ロズベルグが心配そうに俺の顔を伺う。


「多分大丈夫だ。それより着いたらすぐに斬り込むぞ。心の準備をしとけ」


ガタガタと揺れる馬車に乗ること約20分。

前方に立派な門構えの屋敷が見えてきた。


「見えてきたぞ。あれがシモン邸だ」


前を走るギルベルト皇太子達の馬車がシモン邸の門に差し掛かる。

その後門番に停められていたが、通行許可が降りたようで門を潜り敷地内へと進んでいく。


次に俺達の馬車が門番の男に停められる。


「どちら様ですか?通行許可はございますか」


対して俺は、馬車から顔を出し


「前を進むギルベルト皇太子の同行の者です。私はベネディクス公爵家筆頭執事のナユタ=クローゼと申します。この度、こちらでお預かり頂いております、当家ご令嬢のリルティア様の件で参上しました」


「こ、公爵家の方でしたか!失礼しました。どうぞお通りください」


門番はその場で硬直し、疑いもせずに俺達の乗る馬車を通す。

話を聞いていた御者の男もカチコチになりながら運転し始めた。


「す、すごいな。その場しのぎの策でこんなに上手く通過出来るものなのか?」


「言っとくけど嘘はついてないぞ。本当の事を述べたまでだ。まあ、アイツらの連れでは無いけどな」


「でもこれで屋敷までのぶ厚い警備網を抜けられたぞ。感謝する、ナユタ」


程なくして、屋敷玄関前に馬車が到着する。

御者の男に運賃を手渡し


「ありがとう、おじさん。この金を受け取ったら危険だから全速力でこの敷地から離れてくれよ」


そう告げた後、再びロズベルグの顔を確認する。


「さて、大暴れするぞ、ロズベルグ」


ロズベルグは怯んだ様子もなく


「おうよ!とりあえず周囲の衛兵達を蹴散らして、そのまま屋敷に侵入するんだよな!」


「ああ、盾役は任せたぞ」


そして俺は目を閉じ、熾天使の力を強く願う。

直後、俺の身体に大量の魔力が流れ込んできた。


「よし、行くぞ。ロズベルグ!」


二人勢いよく馬車を降り、屋敷玄関までダッシュする。


「な、何だ貴様ら!止まれ!」


玄関前の衛兵3人は突然の侵入者に驚きながらも、俺達の前に立ち塞がった。


「そこをどけ!さもなくば斬る!」


衛兵達は退くことなく、俺に向けて槍を突き出す。

それを上空にジャンプしてかわし、着地と同時に3人同時に斬り倒す。


「な、何事だ!」


騒ぎに気付いた他の兵士達が、ワラワラと俺達の元へ集まってくる。

俺達はあっという間に多数の衛兵達に囲まれた。


「ロズベルグ、頼む!」


「ああ、こういう時は俺の出番だぜ。喰らいやがれ、旋風盾!」


ロズベルグが背負っていた大盾を手に取り、ぐるぐると振り回して周囲の兵を次々と蹴散らす。


「おお、やるな!さすがは熱血の鉄壁」


「ふん、俺の技はこんなもんじゃねーぞ。見ていろ、俺の新必殺技、飛来盾!」


ロズベルグが前方の兵士集に向かって大盾を勢いよく投げ飛ばす。

しかし、盾は全然違う方向に飛び、前方の屋敷玄関を破壊してしまった。


その破壊音に気付いた衛兵達が、次々とこちらへ向かってくるのに気付く。


「おおい!全然当たってねーじゃねぇかよ!」


「ハハ、悪ぃ、正直まだ練習中なんだ。でもこれで中には入りやすくなったろ?」


「ひとまず中へ入るぞ!辺りの兵士達がこちらに向かってきている!」


俺とロズベルグは飛ばした盾を回収し、見事屋敷の中へ侵入することが出来たのであった。

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