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【20】雪禍嶺 深獄【07】



 そして、自治領発足式典は終わりを迎えた。


『魔族側は戦争をしないことを宣言』。

『新たな魔王ヴィオレッタと、その騎士ライヴェルグを世間に周知』。

『そして、魔王と協力し平和を作るとラニアン王子が宣言』。


 王国の廊下をツカツカと進む二人の男。

 一人は赤い褐色の髪の男性。服の上からでも分かる筋肉質な彼hの名前はナズクル・A・ディガルド。現在の王国の国王代理を務める参謀長である。


 そしてその隣を行くのは『真っ白い肌のガリガリの男』。

「ぶひゅひゅ。こちらにとって都合の悪いことを山盛りされましたねぇ」

 ガリガリ男──に扮しているが中身は全く別。パバトという魔族の男だが、今は人間の姿になっていた。


 二人は足早に外へと向かって進んでいた。


「ああ。そうだな。特に、戦争開戦の流れは断ち切られてしまったな。

……我々は、『魔族側から戦争を仕掛けられ、仕方なく開戦』というスタンスが望ましかったのだが……これは無理だろうな」


「ですねぇ。まあ大義名分を立てようと思えば、ラニアン王子が拉致され洗脳された、とでもいえばどうとでもできそうですねぇ」

「そうだな。その線で世論は組む。何かしらの工作をやるさ」


 ふと、ナズクルは腕を組んでから鼻を鳴らした。


「……──ふ。ラニアン王子たちは少し欲張ったな」

「え?」

「この式典で『戦争しない』と『魔族と協力していく』に注力すればよかったのにな。まぁ、欲張ったのは王子ではなくこの作戦を立てた人物、ルキか……それか隊長殿だろうが。残念だよ。

……失策に終わってしまうようだ」

「え? 失策ですか?」


「ああ。ライヴェルグとヴィオレッタの公開は、少しやりすぎたな」


 ナズクルは鼻を鳴らしてから言葉を続けた。

「俺や、一部の人間の『行動を抑止する為』に公開(カミングアウト)したのだろう。そのあたりは成功だ。特に俺の動きを縛るだけならこれ以上ない一手だ。

だが、民衆にとってジン──ライヴェルグは裏切りの勇者だしヴィオレッタは凶悪犯罪者であることは変わらない」

「ぶひゅ! 確かに言われてみれば、そうだったね。

ということは、二人とも寧ろ僕朕(ぼくちん)たちに協力しちゃった形なのかな?」

「そうなるな。民衆はより開戦論を唱えるだろう」

 王城の外に出た。裏側から出ると、すぐに頑強な建物が見える。

 鉄色の四角いその軍事施設の門扉を開けてナズクルは更に進む。その背を追いかけるようにパバトも付いていく。


「でもですが、開戦できても、問題は変わらんくないですん?? 

生きる破壊兵器(ライヴェルグ)動く爆弾地雷(ヴィオレッタ)がいるだけで僕朕(ぼくちん)らだけじゃ勝てんよね?

この戦力差をどうにかしないと」

「そうだ。……そして、その戦力差を埋める為の打つ手は一つだけ準備してある」

「ほへぇ! あのライヴェルグとヴィオレッタとの戦力差、どうやって埋めるんですん??」

「パバト。この国には『お前の同類(・・)』がいる。他にも厄介者(・・・)がな」

「……? お仲間ぁ? 厄介者ぉ? いたっけぇ?」

 階段を下りると、鉄の扉があった。暗がりにある鉄の扉。地下室の入口にしか見えないが──魔法を学んだことがある者ならこれが通常の扉じゃないとすぐに分かるだろう。

 その扉に触れると──扉に紋章が浮かび上がる。

魔法陣と呼ばれるその紋章は青白い光で輝きだした。

その光の色をパバトは知っていた。


「ぶひゅひゅ。転移魔法ですねぇ。ただ王国内じゃ転移魔法は使えないようになっているんじゃ?」

「ああ。そうだ。だが特別な──『王族が有する鍵』を持つ者だけ使える転移魔法のルートがある。これがそのうちの一つだな」

「……どこに、繋がっているんです?」



「『雪禍嶺』の先──『深獄』だ」



「……深獄? 聞いたことないですね」

「そりゃそうだろうな。──時にパバト。お前、四翼だったんだろ」

「ええ。まぁ。戦場で幼女と水遊び(・・・)してたら魔王様にブチギレられて降格処分されましたけどね?」

「同時代の四翼、誰か覚えているか?」

「同時代……いやぁ僕朕(ぼくちん)ロリ以外の記憶力ないんですよねぇ……えーっと。

その時は、青羽(せいう)を失脚させて入ったから青が居ない時代ですねぇ。

赤羽(せきう)がギルファ様なのは覚えているんですが」

「そいつは魔王の腹心だろ。俺たちが討伐するまでずっと赤羽だから覚えるもクソもないだろ」

「ぶひゅひゅ。そうでしたねぇ。……えーっと。ああ!

そーです、骨羽(こつう)が居た時代です! 骨の羽の珍しい女で、えーっと名前は」


「ルクスソリス」


「ああ! 懐かしい! そんな名前でしたねぇ! ……って何でナズクルさんが知ってるんですかぁ??」

「他にも魔族で『勇者や冒険者との戦闘死亡した』者の名前、誰か覚えているか?」

「んぅー……あんまり他に興味が無いんですよね。顔を見れば思い出せるとは思うんですが」

「ふむ。ならそれもいいな」

「はえ?」


 扉が開く──転移魔法が発動したのだろう。

 足元から伝わる冷気。まるで氷の上でも歩いているようだ。

 そして──見渡す限り、檻。檻、鉄の檻。


「雪禍嶺の先、黒い海の下にあるこの場所は、『深獄』──『犯罪者収容施設』。

平たく言ってしまえば、監獄さ。

王国内の極悪人や犯罪者──及び、魔族の一部だが『死亡したと公表し』ここに収容している魔族がいる」

 


 


 ◆ ◆ ◆


いつも読んでいただき誠にありがとうございます!

申し訳ございません。

急なことではありますが、多少、問題が発生してしまい次回更新を14日(木)にさせて頂きたいと思います。

可能であればそれより早く連載を再開したいとは思っております。

不安定な連載状況になってしまい誠に申し訳ございません。

早期解決出来るように頑張らせていただきます!

また、日頃からいいねやブックマーク、評価していただき本当にありがとうございます!

とっても励みにさせて頂いてます!!


最後まできっちりと書き上げたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。


               2024 03 11  暁輝

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