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【19】いい魔王になると思うんだよ【03】


 ◆ ◆ ◆


 ──少し時間は遡る。


 俺たちは今、古びた宿屋にいる。

 追手や監視は居なさそうだ。爆速で逃げたのもあるし、ナズクルが俺たちに追手を放つような馬鹿じゃないだろう。


 とりあえず、今はラニアン王子の治療中だ。 

 ヴィオレッタに任せている。

 凄いな。回復魔法が得意と言っていたし、何度か見てはいたが、ゆっくりと治療を見る機会はこれが初めてだった。


 火傷の治療の応急対応は、当たり前だが冷却だ。

 流水で流すことが大切と昔に教わった。

 その後は、多分あれは保温の魔法とかの応用で、皮膚の熱傷の進行を防ぎながら傷口にハッチから渡された薬を塗り込んだりしているのだろう。

 あの黒い靄の術技(スキル)を両腕に這わせることで、魔法の切り替えを自在に行えるらしい。


 ヴィオレッタの術技(スキル)は、戦闘に使えるだろう。

 だけど、俺は戦闘に使わない方が……いや、これは俺のただの好みの話だな。


「処置、終わったよ。あのさ、私に頼めば何でも治療して貰えるとか安直に思ってない??」


「安直には思ってないが、傷ついた一般人の、それも少年を見捨てないだろうなぁとは思ってるよ」

「ジン、ほんと嫌い」

 ヴィオレッタは指を組んで腕を伸ばす──彼女の両腕に纏っていた黒い靄が全て泡のようになって消えた。


「すまないのだ……ありがとう、ヴィオレッタ殿」

「くすくす。安くないよ」

「うむ……いずれ、必ず、支払う」

「冗談なのに。真面目さんだねぇ」

 ヴィオレッタがにこっと微笑んでラニアン王子を撫でた。

 その後ろでガーが俺ですらビビっちまいそうな顔で王子を見ているので苦笑いをした。


 ちなみにハルルは俺の隣で眠っている。

 あー、厳密にいうと、胡坐をかいた俺の足を枕にして眠っている。


 ラニアン王子の火傷と、ハルルの怪我だが、王子の怪我の方が軽かったそうだ。

 派手に痛みは出るようになっていたが、適切な応急処置で傷も残らないそうだ。

 対してハルルは骨折。ユウの拳を鳩尾に一発喰らったそうだ。

 アバラが一本逝ったらしい。それを聞いた今は、ユウの頭蓋骨くらい粉砕しておけばよかったと後悔している。

 まぁ折れ方がヴィオレッタの治療で治せる範疇だったらしいから良かったっちゃ良かった。


「ジンさん……」

 ラニアン王子が少し力のない声を上げた。

「ん、ああ? どうした?」


「……聞いて欲しい、話があるのだ」


 それは──逃げてる最中にラニアン王子がうわ言みたいに呟いていた内容だろう。

 王子は言葉を振り絞る様に続けた。


「ただ、これは……大事なのだ。ジンさんや、ハルルさんに……ヴィオレッタ殿まで、巻き込んでしまうことになる……。だから」


「大丈夫だ。ナズクル絡みなら俺たちにとって他人事じゃない」

「くすくす。大丈夫だよ。巻き込まれるかどうかは私が決める。詰まらない内容だったら私たちは引き上げるから安心して」

 お前ほんと自由だなヴィオレッタ。

 だが、ラニアン王子はそれがよかったらしい。少し楽しそうに笑って見せてくれた。


「ナズクルの、陰謀を……聞いてしまったのだ」



 ◆ ◆ ◆



 ──俺は、言葉が何も出なかった。


「おいおい。やっぱナズクルってヤツ、相当ヤバいヤツじゃん?」

「そうねェ。王様を殺すって。その人、参謀長でしょ? 国のトップ2だか3が王の暗殺計画って、ヤバいわねェ」

「それで革命って……覇王ってそういうことなの?」


 王を殺して、王になって、宣戦布告。

 ラニアン王子の聞いたという会話の文脈から見て、魔族自治領に対しての宣戦布告だろう。獣人というワードも出ていたが、その後のターゲットと推察した。

 魔族自治領にまともな戦力は無い。確かに魔族は個としては強いが、十年の間に武力は奪い去られている。

 もし、魔族自治領に宣戦布告なんてするなら。それは……ただの、虐殺じゃないか。


「……俺は、ナズクルを止める」

「ジンさん……」

 ただ──どうやって止める?

 ナズクルを殺すのが手っ取り早いのは、分かっている。

 だけど……。


 ふと、ヴィオレッタが横になっているラニアン王子の顔を覗いた。


「ねぇ、貴方、王子なの?」

「え? あ、はい、そうなのだ」

「ということは王になるの?」

「う、うん?? いずれ、民がそれを認めてくださるのなら、そうなるとは思うのだ」

「いいね。うん。ねぇ、王子」

「は、はい」


「貴方に協力してあげよっか?」

「え?」

「その代わり教えて欲しい。王って何なのか」

「??」


「私もいずれなるからさ。

あー、私が王になるのが先かもだけど、なってから色々教えて貰えるかな?」

「え、えっと、ヴィオレッタ殿。言ってる意味が」



「私は魔王になる」



 は──? え──??

 俺もラニアン王子も、言葉を一瞬失った。


「だけどさ。王様って何をすればいいか知らないから、貴方から教えて貰いたい。

あ、そうだ。いっそ、王国の良い人材を借りるっていうのも一つだよね。

そういう技があるって聞いた。出向だっけ?」


「え、いや、え?」

「いい魔王になると思うんだよ、私。協力してよ。協力してあげるから」



 

  


 

 

 

 ◆ ◇ ◆


本日は投稿の時間が乱れてしまい申し訳ございません。

最近、体調不良が続いてしまっており……謝罪しかございません。

今回は手術の後だったからかもしれませんが、突発的に寝込んでしまいました。


今までこんなことは無かったのですが……安定して小説を投稿出来るように体調管理を改めたいと思います。

申し訳ございません。


また明日の投稿ですが、現状難しいかもしれない為、お休みをさせて頂きます。

この後、書ける所まで書いて、間に合えば明日、投稿させて頂きます。


改めてですが、いつも応援頂き、本当にありがとうございます。

読んでくださっている皆さんがいなければ、遠い昔に心が折れていたと思います。

今後とも、全力で頑張らせて頂きます。本当にありがとうございます!


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