78話 七人目
「アベル流炎刃剣」俺の火魔法に闘氣をまぜた技の一撃を、アベルゾンビは。
「アベルリュウごうじんしょう」地面ごと上へ巻き上げる切り上げで相殺する。
おかげで本来なら首に届く一撃が防がれてしまった。
やつの頭に一撃いれた後はずっとこんな感じだ。
俺の攻撃を奴は、その場から動かずにすべて技で相殺して防ぐ戦法にしたらしい。
「何故動かない? そんなに俺が怖いか! 魔神に選ばれた戦士ならそれらしく戦ったらどうなんだ。目の前にいるのは戦闘に不向きのサポート種だぞ」
俺の問いかけを奴は無視する。
会話ができないのか? 冒険者が転化したアンデッドのなりたてと、ダンジョンで発生して時間がたってないうまれたてのアンデッドは、生者と意思疎通ができないことがある。
これは死者の魔物が持つ生者をにくむ本能に支配されているからだが。
いや、ちがうか――
「ィイイ。ジニダグナイ。シニ……タクダァイイィーーー」
奴はないはずの発声器官絵を鳴らして叫ぶ。
まるで混乱の中で俺に助けてといっているみたいだ。
「追い詰められて命乞いする悪党ならともかく。戦士が戦闘のなかで死にたくないなんて一体……そういうことか。魔神のくずやろう!!」
俺は目を凝らしてみると、はっきりと見える。
アベルの魂に融合させられているのはこの世界の魂じゃなかった。
この波長はテイイチで知っている。
つまり異世界人なのだ。
この子は異世界から無理やり召喚されて何もわからないまま魔神の手駒にされて、俺の魂を植え付けられたんだ。
俺の胸の奥で炎が劫火へと変わっていく。
魔神への怒りとともに――
俺は動きを止めてアベルゾンビの攻撃をわざと受けた。
アベルゾンビの、のばした腕の先の爪が俺の腹部に深々と刺さっている。
かわいそうに……戦いなど無縁の世界で、幸せに暮らしていただろうに。
「ア……アァ……アァアアア」
「大丈夫さ。君の苦しみは俺が何とかして見せる。痛みなくこの戦いも終わらせるよ」
言い終えると爪に刺された俺はすぅときえる。
代わりにオリジナルの俺と分身の俺。計五人が技のモーションに入っている。
「アベル流 火の王( お)」
「「アベル流。おおたつまき・降る厳つ靈 (ふるいかずち)・明鏡止水 (めいきょうしすい)・冥土落とし」」
アベルとアベルの分身は、アベルゾンビの周りを高速で動くと同時に五つの技を繰り出した。
五つの技が一つになる。
「アベル流奥義の三、五行技転生太極波ーーーーー!!!」
俺が放つ火風雷水土の技はお互いを相生させて、威力を倍々へと跳ね上げる。
大きな光が当たりを照らし中心にいたアベルゾンビは跡形もなく消滅した。
アベルが言う通り一切の苦痛は感じない。
▽
俺の体に目には見えないが何かが入り込む。
かけてたものが戻ってきたこの感覚は、俺の魂の一つが戻ったんだろう。
同時に、成長限界が解除されてこれまでの経験値が俺に流れ込む。
俺の頭にレベルアップを告げる世界の声が響く。
【ソンクウ・ゴウジャの成長限界の解除を確認。レベルが上がり神々からの祝福を授けます
エラー この個体が神を超えたのを確認。
あなたを七人目の神越えの実力者と認めます。
神々からのメッセージを確認開封「お前なら間違いを起こさぬだろう。創造神様を守り、魔神を倒してくれ。世界を救っておくれ」】
なんだろうね、俺は神々の思いどうりに動く便利屋じゃないぞ。
まぁ困ってるなら助けるにいやはないけどさ。
「俺についといでよ。君を助けてあげる」
俺はふよふよ浮かぶ異世界人の魂に手を伸ばして、この部屋から出ていく。
神越えのフルですがアーガシアは金色竜神帝です。アベルも生き方と種族にちなんだ〇帝→〇〇〇〇帝と呼ばれるようになるでしょう。アベルは魂が二つ戻っていません。カンストしている六人の神越えと違ってレベルが上がります
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