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76話 竜族の恩人

 俺は夜の城の中でアーガシア・ルッタ・ピッパルに謁見している。

 王族のきらびやかな衣装に身を包むアーガシアは衣装に負けずに、その存在は輝いている。

 角を模したカチューシャで前髪を止めて、おでこが出た金髪。

 俺より幼い外見のその少女は昼間俺を案内してくれた案内人の少女で……。

 つまりそういう事だ。


 俺は前もってアーガシアにであい、彼女の性格と思考を知ったことになる。


「魔王イフマイータを倒したはじまりの勇者アベル殿。会えてうれしく思う。」


 笑顔のアーガシアがいう。

 アーガシアが座る玉座の横に立つ現在の竜王ドラゴンキングガニメデは「どうぞ硬くならずに楽にしてください。我が王はこの時がくるのを心待ちにしておりました。大恩あるアベル殿には、普段通りでいてほしいのです」


「アーガシアはアベル嫌いで、アベルを名乗る人を殺しつくした人って聞いてるけど?」


「和やかな雰囲気っすね。大兄貴を恩人って言ってるし、世間の噂と違うのかな」


 オウとヒトはそんなことをひそひそ話す。


 俺の生きた千年前は龍族は、魔王軍の中でも特別な地位にいた記憶がある。

 魔王を倒した俺をアーガシアはうらんでアベルを見つけては殺したと思っていた。


 なのだが、目の前のアーガシアは顔を赤くして俺の目をまともに見ない。

 たまにちらっと俺と視線がぶつかる程度で恋する少女のようだ。

 しかもアーガシアは沈黙してかれこれ7分たってるし。

 どうしようかと横を向くと。

 ミラルカ、この国に来る発端となる情報をくれた魔王がフンスと、仁王立ちでとんでもないことを言った。


「僕が代弁するね。ばぁちゃん、ううんアーガシアがアベルを嫌いなんて噂は嘘っぱちさ。その逆でばぁちゃんはアベルのファンなんだよ」


 なんだってーー。


 「あぁこれ。先に言うでないぞぅ。わしが自分で言おうとしたのにー」


 「アーガシアが自分でいうのまってたら朝が来るっす。ミラルカの判断は間違ってねーっす」


 サンも待ちつかれたのかぶっきらぼうな言い方だ。



 アーガシアは一瞬だけ不満な顔をして「わしの目にはそこの小妖精ゴブリンの魂が、わしの敬愛するアベル殿なのは見えておる。アベル殿は千年前の世界を覚えておいでか?」言いながら俺を真っ直ぐ見る。


「おぼえているさ。魔族に創造神が生んだ種族は全部支配されていたよね」


「そうじゃ、じゃが一つだけ支配を免れた種族がおったのよ。それが龍族でのう。じゃが魔王は龍族は魔王の配下という情報をわざと流すことで、わしらを孤立させたのじゃ」


 アーガシアは握りこぶしを左手でバシと受け止めた。隣のガニメデは目を閉じて頷く。


「あの時のわしらは、魔王なんぞに負けはせん! そう口で強がっていたが心は絶望に飲まれていってた。そんなときじゃ、希望の光を見た。ある勇者のパーティーが魔王の支配地を解放しているときいてな。魔王イフマイータつまり魔族の支配の時代に、ケンカを売っている一味がいる。心が躍ったのう。イフマも勇者にたおされて龍族は支配されずに済んだ。アベル殿はわしら龍族の恩人なのじゃ。わしはあのときから。千年前のあの日からアベル殿に憧れておったよ」


 そういうことか。


 ちなみにアーガシアは俺。

 アベルに憧れて修行した結果最初の神越えになった。

 アーガシアがアベルを殺しまくったのはアベルが嫌いだからではなく、アベルに会いに行くとニセモノだったからだ。

 結果、アーガシアは噂でアベル嫌いということになった。

 すれちがいだね。


「うつけ猫もアベル殿に出会ってからましになったようじゃな。ヴァルハラハルいやニャハル。反省はすんだかい」


「にゃ~~、ばばあ〜〜。ニャアはすごくすごぉく反省したにゃ。ばばあは怒るにゃ?」


「ニャハルはアベル殿の預かりで償い終わったと竜帝の名でゆるそう。おいでニャハル」


 許すと言われてうれしそうにアーガシアに走り寄るニャハルは、アーガシアにうれしそうに頭を撫でられてる。

 あれ、仲良しなの?


「ニャハルが神越えになるまでばあちゃんは神越えとして、一人ぼっちだったからさ。二人は元々仲がいいんだよぅ」


 ミラルカが俺の考えを補足する。





 場所を移動して宴の席だった。


「だから俺がドラグニルにきたのはここに、俺の魂があるってミラルカに聞いたからなんだ」


 わしに会いにきたんじゃないのか~と少しさびしそうなアーガシアだけど。

 ミラルカに聞いたぞ。

 前もって二人で連絡しあってたんだから知ってるだろ。


「明日の朝アベル殿の魂のある場所に案内しよう。覚悟をしてくださいなのじゃ」


 俺の目を見つめてアーガシアは言う。

「アベル殿~一緒に寝ていいかのぅ」俺の部屋にアーガシアがいそいそと入ってきて言った。(外見と同じで子供みたいな部分があるんだね)

「いいぜ。こっちにおいでよ」俺の言葉にアーガシアの顔はぼひっと赤くなる。布団の中でうとうとする俺の背中に

「一大決心できたのに何も起きぬのはあんまりじゃーー」とアーガシアのつぶやきが刺さる。

(……寝ないのかな?)



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