75話 最初の神越え
修行を重ねているときだ。レベルアップを告げる世界の声がいつもと違うのを覚えている。
【エラーエラーエラー! この個体が神々と創造神の力を超えたことを確認。
同時に成長限界を迎えます。
アーガシア・ルッタ・ピッパルの存在はムンドモンドの規格から大きく外れた規格外の存在と認識。
アラート
世界をほろぼす力をもつこの個体は大変危険であると認識します】
「なんじゃ? このメッセージではわしの正確なレベルがわからぬ。困るのう」
あの方のように強くなると決め、修業を始めてから20年目。
魔物を倒した時のレベルアップのメッセージがちがう。
まぁ良いかと思いわしの竜国に戻ったときじゃった。
ドラグニルの上空がくらい雲で覆われると大きな声がわしを含めて国民全員の耳に届く。
「竜王アーガシアに告げる。そなたの神を超えた力を神々は危険と判断した。よって天界へ出頭されたし。これは上意である。従わぬ場合は世界のためだ国ごと消滅してもらう!!」
急に上空に現れたて勝手なことを言う。
わしの事情は関係ないという態度は神々らしい。
「アーガシア様おひとりでいかせはしません。戦うときはこの身もお供させていただきます」
ガニメデは、けなげなことを言ってくれるのう。
しかしレベルが英雄級ではやられてしまうじゃろう。
「結界を張っていく。そなたらに手は出させんよ、それにメッセージが告げたわしの規格外の力とやらを把握する良い機会じゃ」
城の中から空の神々を睨むアーガシアは立ち上がると、人化を解いて龍の姿になって飛び立つ。
かべをすり抜けて大きな翼をはためかせる。
アーガシアは自分の存在を示すように一声鳴く。
竜国ドラグニルの民は大きな黄金の竜が空へ登っていくのを目撃した。
黄金竜が雲にはいると大きな魔法と闘氣が奏でる音が響く。
アーガシアと10万の神々の戦いは七日七晩つづいた。
戦に出た神を殺しつくしたアーガシアは四人の大神と対峙する。
アーガシアはなんの役割をもたない殺した小神とちがって役割をもつその四柱がレベルが違うのをはっきりと感じる。
「大将殿のお出ましじゃの。創造神でなくてはわしと闘えぬことを悟ったかのぅ」
「アーガシア……。すみません、此度の件は非はこちらにあります。あなたの怒りを鎮めてもらえませんか」
創造神の第一声がわしへの謝罪とは思わなんだが。
そうさなバルケスティに軍神バルトエード、あの勇気の神の盟友カルナティオ。
それと……じじ殿、竜神ドラグーンか。
わしの先生を連れてくるとはバルケスティは争うことなく説得するつもりじゃなぁ。
戦闘にも飽いたし。
話は聞いてみるかのぅ。
「よかろう。いきなり現われて出頭しろと喧嘩を売られたから買ったまでじゃし。話し合いで済むならそれが一番じゃ。」
バルトエード達はふぅと一息つく。戦闘も覚悟していたので安心したのだ。
バルケスティはにこっと微笑む。
「アーガシアありがとうございます」
話し合いでわかったことじゃが。
・大神たちはアーガシアをある程度様子を見て判断するつもりだった
・若い神たちが先走りアーガシア討伐に出てしまう (手柄をとれば役割をもつ大神になれるかもしれないが理由)
・神は死んでもいずれはよみがえるが、これ以上の犠牲は見過ごせない。
非がこちらにあるので、話し合いでアーガシアを鎮めたい。(いまここ)
「なるほど考え足らずの小僧の暴走じゃったか。納めてもよいがエサはちゃんともらえるのかい」
「貴女を【世界の守護者】に任命します。世界のためにならぬと判断したら好きに罰を与えてください。あなたの目と力なら間違いはおこさぬでしょうから。私が出せる誠意です。アーガシア・ルッタ・ピッパル殿受けてもらえますか?」
「よいとも。アーガシアは非才なれど、バルケスティ様の要請を、全霊をもって全うさせていただく」
そのあとバルケスティは全世界へアーガシアを自分の代行者だと宣言を出す。
アーガシアは自分の力で存在することを世界と神々に認めさせたのである。
以降アーガシアはドラゴンキングではなく【竜帝】の名でよばれる。
▽
「アベル様こっちじゃ……です」
案内人の娘ドラグニルをなんでも知っている。
一緒にいて楽しいぜ、
後でアーガシアにお礼言わないとね。
アベルはそう思う。
何でも最初が大変なんですね。
神は二つの役割があって大神は世界の運行に関わる神で強いです【〇〇と〇〇を司る】がついてるのが大神です。小神は雑兵という感じ。
それでもレベルは1万あります、大神は1万2千です。