72話 堕ちた十英雄 2
一瞬で切り刻まれるヘンリーの体。
別のヘンリーは、魔法をかけられて重力の重さでつぶれていく。
俺は十英雄は魔神側の七勇者のような存在と認識していたから、ヘンリーの弱さは、はっきり言うと拍子抜けである。
ヘンリーも「こんなはずでは」と情けない声を出している。
俺の感想だが計画外の動きをしているんではないだろうか。
つまりイブナスの計画では七勇者と十英雄が戦うのはまだ先のことで、今回の襲撃はヘンリーの勝手な勇み足という感じがする。
おそらく間違いではないはずさ。
ブーニカは幼いながらも実力は本物で。
彼女はセルバスの刀剣操術を、レンタロウの分身で数十本に増やした後。
浮遊剣をヘンリーへと突撃させている。
セルバスもやさしく「えらいぞブーニカ」なんていう姿は親子のようだ。
「わ、私は無限に数を増やせる。今は貴様らが有利でも、長期戦となれば私が勝つ。まだまだぁーー!」
アベルの「応さ。まだまだこんなもんじゃ済まないぜ」の言葉を聞いて、ヘンリーはアベルが指さす出入口に目を向ける。
「どうぞお通りください。お気をつけて」
兵士たちの間を通りトウ・ダーラ国の名だたる猛者たち。
ミコット・オーリンジ・センセキとその魔王将たちが、闘技場にのぼってくる。
ヘンリーの顔は絶望に染まった。
「んーやああ」
「エワード流奥義エンデ・ジエンド」
「強くはないねぇ。硬いだけのギルドロムだぜ」
「センセキ様と姫様のお二人が愛される国と、民に毛筋も傷をつけさせるなよ。いいなお前たち」
「「いわれるまでもない!!!!!」」
オーバーキルと言っていいだろうね。
俺の同盟国含めた仲間の攻撃で、抵抗もできずにやられていく固いだけのヘンリーくん。
イフマナスから転移したフェンとヒト三郎そして
「我が大魔法はアベルへの愛で威力が無限に上がります。くらいなさい」
「たわけぃ。サン殿とわがはいが仲間たちにバフをかけておるからである」
ルーは空中から魔法を自動追尾させてヘンリーを攻撃する。
ヴォルフは現場に来ていない。
パラディーゾから遠隔バフを座標指定することで俺たちへとかけている。
俺はすごい技術だやるねと思う。
ヴォルフの要請で、俺の子孫のメーレとシャウも戦ってくれている。
もっとも二人は俺が鍛えてないので援護するだけだ。
それでもこの戦いが終われば、彼女たちは大きくレベルアップするだろうね。
説明するまでもないが、遠くからの助っ人はルーの転移で来ているのだ。
俺はヘンリーにをある程度ダメージを与えたとこで戦いを終わらせることにする。
「ブーニカは里長だったよね。セルバスとレンタロウの技をすべて使える君に、レントの代わりを頼む」
「んっ。僕頑張る」
可愛い子だね。
セーナは「ブーニカがレンタロウの役割をするってことは……。アベルやるんだな」そうヘンリーを突き刺しながら言う。
そうとも。俺は剣を高く上げて。
「ルーはヴォルフの技をこちらに届くように転移をうまく使ってくれ。ヴォルフ・ルー・セーナ・そしてブーニカいくぜ。アベルのパーティーの合体技だ」
俺から念話で指示を聞いたニャハルは風魔法で大闘技場内の、ヘンリーをすべて空中に浮かせて身動きできなくさせる。
そのヘンリーに俺のエンデ・ジエンド、ルーの大魔法、セルバスの奥義、ブーニカが放つレンタロウの奥義、ヴォルフは奥義と同時にバフを最大限に五人にかける。
「「合体奥義! 大光明遍照マカビルシャナブツ顕現剣!!!!!」」
自分でいうのもなんだが、『伝説のパーティー』が放つ合体技は何千といたヘンリーを消滅させた。
どんなもんだい。
闘技場の真ん中に俺を真ん中にして勝利のポーズをとる五人が映えている。
イフマイータの鎧はミラルカにぴったりのサイズから最大50メートルまで大きさを変えられます。
ヘンリーをしとめたのは、50メートルになってですね。ちなみに大きさを変えても魔力の消費はありません。
ミラルカの奥の手です