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70話 緑のリビングアーマー 〈ブーニカ・キッドピーチ〉

 セルバスが連れの鎧を指さしながら口を開く。


「ルーから事情はきいてるぜ。人間種の魂をもつ【色が違う魔物】を探しているんだってな。私の剣士の里にいた、こいつはアベル。あんたへの土産になるはずだぜ」


 紹介されたブーニカは全身緑色の鎧を着こんだ少女だ。

 兜を外すことで性別が確認できた。


「顔も体もあるが靈体ゴーストと精神体のようなもので、本体は鎧のほうさ」


「リビングアーマー(うごくよろい)だね。魔神め弱い魔物に転生させて、よほど俺たちの存在を脅威に思うらしい」


 セルバスのつくった剣士の里を訪ねてきたブーニカを、セルバスはルーに聞いた情報から。

 アベルの探す人物と判断して連れてきたわけで、セルバスの到着が遅れた事情がわかった。

 まぁ武器調達も遅れた理由の一つだけどさ。


「ブーニカってあの『暴王』ブーニカですか?」


 アンダルシア、ケシ太郎とオウ。

 だけじゃなく大武闘場にいる俺以外の人間は、ざわざわと驚きの声を出す。

 みんなの顔は得体のしれない恐怖の感情がうかんでいた。


 サンが杖をブーニカに向けると杖の上部が黄金色に光る。

 七勇者の一人なのはこれで確認できた。


「七勇者の三人目で間違いないっす。ブーニカはセルバスさんとタキータの弟子で、セルバスさんが興した剣士の里の二代目の里長の子孫ですから。いずれセルバスさんが連れてくるのは、わかっていたっす」


 俺はブーニカを知らないけど、情報で出た二代目の里長はしっている。

 セルバスとレンタロウの愛弟子で実の子のようにかわいがられ鍛えられた子だ。

 そうかミドリマルの子孫がブーニカ・キッドピーチなんだね。

 しかし【暴王】か、物騒な二つ名が気になるよ。

 

 ブーニカを知らない俺にケシ太郎とアンダルシアが説明してくれた。

 大昔に剣士の里の里長のブーニカは武者修行で魔族、人類どちらの国も荒らしまわり最後は罠にとらえられて斬首された。

 ブーニカは死ぬまで、人の心がなかったという伝説が残っている。


「私の前でブーニカの嘘並べたら承知しないぜ」


 怒氣に包まれたセルバスが声を荒げる。

 嘘だって? セルバスが話す真実。

 ブーニカは実力は十分でも子供だったために、いろんな悪党にだまされて名を汚したらしい。

 世界中を荒らしたことから勇者なのに悪名の【暴王】がついたそうだ。

 なるほどね。

 つまりはニャハルの同類ということだ。


 俺の肩に乗ってるニャハルはぶつぶつ「悪いやつはいっぱいいるにゃ。騙されないように知識をつけにゃいとだめにゃ」と独り言を言う。

 ニャハルも悪党に騙されたせいで、最後は大岩に封印だもんね。


「ブーニカの名誉は剣士の里の人間が回復させています。彼女は被害者であり、暴れた経緯も里の者達が証明したおかげで世界の一部を除いて彼女を悪く言うものはいません。ブーニカの名誉のために、はっきりさせますが彼女は七勇者を名乗るのに不足のない、正しい心の持ち主です」


 サンの堂々とした発言にまわりは静まり返る。

 かくいう俺も普段と口調の違うサンにおどろいてる。


「そうだよね。ブーニカの纏う氣に邪悪な感じはしないし、俺はサンの言葉を信じるよ」


 とてててと足音を立てて俺に近づくブーニカ。


「セルバス様に聞いた。僕の仲間、勇者アベル。僕と同じ魔物の体をもつ勇者」


「そのとおりさ。君は一人ぼっちじゃない。俺たちの仲間だ」


 俺にだきつくブーニカを、俺は強く抱きしめる。


 セルバスのおかげで俺の陣営に【七勇者】の一人が加わった。

判断力の低い子供のまま短い生涯をおえたブーニカ。大人がついていたら結末は番っていたでしょう。もちろんブーニカがすべて悪いというわけではなく、だます人間がいけないんですけど。

なおブーニカをだました人間たちは因果関係をうけてます

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