外伝 ムンドモンド旅行記 4 チキュウへ行こう
パラディーゾの降神の大広間に僕とアベルさん、アン、フルベルトの僕の仲間たち。
それからパラディーゾの教導主ヴォルデウスとたくさんの神官がいます。
ここでたくさんいる『万象の神々』から僕を召喚した神をよんで、日本に返してもらうんです。
召喚はうまくいって大きな男の人があらわれます。
この人が僕をムンドモンドへ連れてきた【大気と自然の神ハイエア】です。
アベルさんは簡潔に「ハジメはこの世界に定住を望んでいないんだ。元の世界に返してやってくれ」とハイエアに交渉します。
ハイエアも最初は僕を見て「楽しんでいるかい」などと声を掛けますが。
僕の怒りとも、憔悴とも見れる僕の表情で、自分の過ちを察知しました。
「すまなかった。テイイチ君があの時間にした階段の往復は私への呼びかけになるんだ。ここに呼ぶ前に君にちゃんと異世界転移を望むのか聞いておくべきだった。すまない」
おぉっと、いい流れじゃないでしょうか。
このままいけば僕は日本へすんなり帰れますね。
「しかしだよ」
神様、いい流れを止める発言はやめてください。
すごく、いやなよかんがします。
ハイエアの語る内容によれば
1 パラディーゾの土地のマナでは、テイイチを日本に返せるが奈良時代へ帰るようになる
2 テイイチがのぞむ時代のぞむ国に帰るなら、マナの龍脈が集中する古代都市に行かなくてはならない
3 古代都市についたらハイエアを呼び出して、テイイチを日本に帰す
アンいえ、ここにつくまでに仲良くなった、ニオが僕の手を握ります。
アラクネは気を許す人間にしか名前呼びを許さないのですが。
いつしか「テイイチ。アンじゃなくニオと呼んで」と言われるまで仲は良くなりました。
「よかったねテイイチ」
人前では人化をおこない、人間の少女そのままの姿になったニオはかわいらしく。
僕は、自分の顔が赤くなるのがわかります。
「あと少しでテイイチとお別れなのだ。さびしーのだぁ」
フルベルト名前から男と思ってましたが女の子でした。
力をつけたハーフボルトは人化が使えます。
人化したフルベルトは中学生に見える女の子で、可愛いなと思いました。
向こうではアベルさんが一緒に、魔王を倒したヴォルデウスさんと何か話してます。
遠くて聞き取れませんが、古代都市に向かう道順を話しあってるんでしょう。
「魔物が人間種を助ける光景をこの目で見るとは。今でも信じられぬわ、アベルよ貴公の言う通りであったな。わがはいたちが魔王を倒した165年前から時間は流れておる。貴公が『新しい時代が来る。魔族や魔物とも同じように暮らす世界が、この先あるだろうぜ』と言った時は半信半疑であったがな」
「俺はルーのやつに、フェンの行動を見せてもらってたからね。いい時代になったよ、俺が180歳でヴォルフが183いや182だったよね。俺たち人間種の寿命が200年前後だからさ、寿命が尽きる前にいいものが見れたなぁ」
アベルはヴォルデウスとお互いに笑いあうと手を合わせる。
パシッと小気味よい音がする。
アベルが旅を始めたころは、こんな光景が見れるとは思わなかった。
この先も生きていれば、きっといいものが見れるだろう。
アベルは一歩目を強く踏み込んで、テイイチへ歩いていく。
「ハジメ、ニオ、フルベルトいこうか。俺たちが目指すのは最初の異世界人ケンセ・ジロウが興した古代都市チキュウだぜ!」
「「おう!!!」」
パラディーゾをでて僕たちはいくつも山、川、砂漠、それからいろんな場所を越えていきます。
魔族の国、奴隷都市、悪徳貴族に支配された街。
さまざまな地域とそこで見た人々、僕は一生忘れないでしょう。
そしてようやく
「みんな見えるかい。目的地だぜ」
アベルさんが、ふりかえります。
僕たちにもはっきり見えました。
山の頂上に立つ建物。
僕は目的地の、古代都市チキュウに着いたんです。
最初の異世界人ケンセ・ジロウは魔族に転生した地球人でした。
彼は魔族内で地位をあげると、イフマイータから自治を認められます。
ジロウに帰る気はなくとも、他の地球人が期間を望むかもと考えて、ジロウは自分の領地に龍脈帰還都市チキュウをつくったんです