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外伝 ムンドモンド旅行記 3 絵本の英雄のように

 アベルさんは譲位じょういした王のシードルに、僕を連れて旅をする宣言をします。

 エワード王のシードルは「父上は国の戦力ですから。旅はさせられません」と言っていたがアベルさんに押し切られる。

 さすがは魔王を倒した勇者で。

 つよいです。



「エワード王のいつもの泣き落としも、うざかったのだ。父上~私たちを見捨てないでください~は見てて不快なのだ」


「アベルはシードルの泣き落としで言うこと聞いてあげてたから。でも人助けする時のアベルには通じないもん。アベルのコピーのくせにそんなこともわからないシードルは馬鹿」


 二足歩行のエゾタヌキと足が蜘蛛の魔物の少女がいます。

 アベルさんの国に預けられている二人はフルベルト・カラヤンとニオ・アンヴァルデイといって、ハーフボルトとアラクネが種族です。

 アベルさんは僕の目的のためにパラディーゾへ向かうため仲間を用意してくれたんです。


「強くないと生きづらい世界だからさ。テイイチは俺が鍛えてあげるよ、さぁ帰還のためにヴォルデウスのところに行こうぜ」





 僕は元の世界へ帰るため、アベルさんたちとパラディーゾへ旅をします。

 日本に帰還の件は三人に驚かれました。

 ムンドモンドにきた異世界人は、目的が帰還の例がなかったからです。

 僕もお約束のステータスオープンをしましたが何も起きません。

 ステータスを見るどころかスキルもないムンドモンドはシビアなんだなぁと思いました。

 なにより手を掲げて「ステータスオープン」と言う僕をみるアベルさんたちの顔は、忘れられそうにないです。

 僕にこの世界でできた黒歴史ですねくそぅ。



 このあと僕はアベルさんに鍛えられながらいくつもの村や町を通ります。

 

 途中でギルドに冒険者の登録をして僕と三人で冒険者チーム「ふるさと」を結成します。

 僕専用のライフカードをつくり、魔物を倒すたびに神からの報酬が自動で入金されるようになりました。

 冒険者登録の発案はアベルさんです。


 国や町に入るとき身分が怪しいものは入るのを拒否されますが、

 冒険者は大元締めのグランドマスターの名で信用されて身分が問われないからです。

 あとアベルさんに、税関でかかる税も大幅に軽減されると教わりました。

 あったばかりの僕にアベルさんは良くしてくれます。


 アベルさんに鍛えられて僕もレベルアップしました。

 アベルさんに同じように鍛えられているアンとフルベルトを僕は追い抜きます。

 アベルさんは「ハジメは異世界人だから、入る経験値の量がこの世界の人間より多いんだよ」といいます。

 ハジメは僕にアベルさんがつけたあだ名です。

 アベルさんが続けて言う内容によると神々の恩恵なんだそうで。


 僕はスキルがない代わりが、恩恵なのかと納得しました。

 思い当たる節はおおく、魔法使いでないと覚えない魔法を僕は覚えたし、武器は何でも使いこなせます。

 恩恵によるものと今ならわかりますが、危険も多い。

 万能の異世界人は奴隷として、魅力がありすぎるということですね。

 アベルさんがいった【強くないと生きづらい世界】が理解できました。

 自分の身は自分で守らないといけません。

 気持ちを引き締めて僕は前を向きます。





 パラディーゾの目前まで来ました。

 今夜はここで夜営して明日、僕は日本へ帰れるでしょう。

 アンとフルベルトが寝た後に僕は、アベルさんに質問しました。「どうして僕を助けてくれるのか?」です。


 アベルさんは少し考えるとぽつぽつと話し始めました。

 この人の顔は、いいたくないけどと感情がはりついています。

 僕が真摯しんしに聞いたので仕方ないという感じですか。


「俺は子供の時に絵本を読んだんだ。水汲みの少女の話でさ、毎日水をくむその少女を村人は助けてくれないんだけど。村にきた旅人は助けてくれるんだ。少女にとって助けてくれた旅人は英雄だったし……俺は感動したよ。絵本の話だけどさ、俺もその英雄のように。少女を救ってくれたこの人のように、多くの人を助けてあげたいってさ」


 そう思ったというアベルさんは手を強く握った。

 僕は好奇心で言う。


「その絵本の内容は……アベルさんの過去ですか?」


 あははと笑うアベルさん。


「ばれちゃうか」


 顔を赤くして頬をかくアベルさんは年齢よりも幼くみえる。

 まるで少女の様です。

アベルは肉体は二十後半ですが、実年齢は歳いっていて寿命も近いです。この時に生きているアベルのパーティーは、アベルとヴォルデウスとルーです。

レンタロウは処刑されていますし、セルバスは亡くなって500年後に転生しています。

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