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外伝 ムンドモンド旅行記 2 先代王アベル・ジンジャーアップル

 僕の目の前にハナが立っています。

 彼女は何も言わずに、僕をじーっと見ています。


「ハナ、僕をここから出してください。というか状況がよくわからない、僕が起きたら、檻に入れられてる状況を説明してくれませんか」


「にぶいガキだね。あんたの頭でもわかるように説明してあげるからよく聞きな」


 ハナの態度が僕の知っている態度じゃない、まわりの柄が悪い男たちも、僕を馬鹿にしたような笑みを浮かべています。

 かなり悪い予感がします。

 僕の予感はおそらく当たっているでしょう。


「私は奴隷商であんたは街で奴隷商の私に騙されて、アジトについてきた馬鹿な獲物よ。これからあんたは五大奴隷都市に出荷されるの。あぁ心配しなくても変な人間には売らないわ。あんたを買うのは異世界人、もっとも、その後どうなるかはしらないけどね」


 ハナはぺっと床に唾を吐く。


「それとあたしは異世界人じゃないよ。生まれも育ちも創造神バルケスティがお創りになった世界ムンドモンドさね、異世界人を名乗ったのは、あんたのような異世界人の無能が釣りやすいからさ」


「はははは馬鹿なガキだぜ」と絶望した僕に、柄の悪い男の嘲笑ちょうしょうが響きます。


 くそぅ、なんだよこれぇ異世界って転生者とか転移者に優しいものじゃないのかよ。

 なんで僕だけいきなり奴隷にされそうになってるんですか。


 神様もしもこの状況を見てるなら助けてくださいよ――


「君が本当に困ってるなら助けてあげよう」


 ハナたちの後ろから大きな声がする。

 僕もハナたちも一斉に声の方を向くと、ハナが奴隷商と言った女が椅子に腰を掛けている。


「異世界人を名乗り異世界人を釣る奴隷商のライ一味だな。さがしたぜ」


 たんっと小気味いい音で立ち上がる女。


「このエワード王国は俺の庭だぜ。エワードの周りで人さらいをしてたようだが、エワードを仕事場にしたのは失敗だったな」


 女は綺麗な剣を抜く。

 素人の僕から見ても綺麗な剣で、物語にでてくる聖剣はあんな感じだろうと思う。


「このままおとなしく捕まるのと、このスーパーグレートソードで痛い目にあって捕まるのとどっちがいい。賢い答えを期待するぞ」


「ほざくな。あんたたちやっちまいな!!」


「忠告はしたぜ……」


 僕の目の前で大乱闘が繰り広げられる……わけもなく。

 奴隷商たちは女が振るう斬撃であっという間に動かなくなった。


「殺しはしない。みねうちだぜ」


 小さいのにつよい、それが僕がこの人に抱く感想だった。


「君、檻から離れてなさい」


 居合で檻を斬る女。僕は簡単に出れました。

 僕がお礼を言う暇もなく女は「怖かっただろ? もう大丈夫だ」と人懐っこい笑顔をみせる。

 そして


「自己紹介がまだだったね、俺はアベル・ジンジャーアップル。このエワード王国の先代王さ」



 アベルさんの改めての説明によるとハナは異世界人ではなくこの世界、名はムンドモンドの住人でハナたちが奴隷商だそうだ。

 僕は珍しい異世界人で、奴隷として高値で売られるらしかった。

 アベルさんは僕を助けてくれた。


「ハナ……本名ライ・ウッソとその一味は俺が連絡した、憲兵に引き渡すとして。異世界人の兄さんはこれからどうするんだい? いく当てがないなら俺のところに来なよ」


 信じていいのかな。

 僕はハナの例もあって考え込む。

アベルは転生前に三組のパーティーがいました。魔王討伐の最初の仲間たち、弟子のオーリンジの仲間たち。

最後が異世界人テイイチを入れた古代都市チキュウをめざすパーティーです。

アベルとテイイチの縁が、千年後のななつのくにで実ります

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