68話 出会っちゃったね
同盟を結んだあと俺は本来の目的を果たす。
この体にかかる制限――すなわち成長限界を取り払うことだ。
手順は
1―パラディーゾで召喚できる神の一柱闘争と進歩の神バルトエードをよびだす
2―「カンストを何とかしたいぜ」と相談する。『何とか出来るぞ』よし!
3―『アベルの魂は元どうりではなく、魔神によってはっきりとはわからぬが、3つか4つに分けられている。魂を取り戻せばカンストすることなくレベルはあがるだろう』
というわけで俺は成長限界をなくすために、自分の魂も探すことになった。
七勇者を探すついでと思えばそんなに苦じゃない。それどころか、カンストをとり払う解決法がわかったことがうれしいのだ。
それともうひとつ。
『アベル頼まれてくれるか? サン殿に無茶をしないよう見張ってくれ。サン殿は……そう。 魔神を倒すため七勇者を探す実動隊で、大事な身だからな』
バルトエードからサンを気にかけてくれと頼まれた。
サンは俺の仲間だ、俺はこの頼みにこころよく、うなずいた。
さぁ目的も果たしたしトウ・ダーラへ帰るとするか……。
▽
トウ・ダーラに帰るとケシ太郎から大武闘場へ呼ばれたので行ってみる。
すると俺は千年ぶりの再会を果たす。
ルーから連絡はもらっていたからとくに驚きはしないが、よりによって成長限界をなくす前に来るとはね。
大武闘場にいる二人組の内の一人は俺が知っている女だ。
浅黒い褐色の肌と勝気が勝った目のポニーテールの女、俺の仲間の剣士セルバス・バティハが立っている。
「ルーヴァンからあたしが来るのはきいてるよなぁ。早速だけどよ試合うぜアベル」
「あのね。もうすこし遅れてきたらさらに強い俺と遊べたんだぞ。まぁいいや戦闘に日が悪いからなんて、いいわけは通用しないもんね」
俺は剣を抜いて鞘をアンダルシアに渡す。彼女は「はい」と嬉しそうに預かった。
「いいぜ!! 俺が死ぬほど遊んでやる、なんならそっちの鎧もいれて二対一でもかまわないぞ!」
ふっと微笑むセルバス。
「ブーニカは下がってな。アイツはあたしが一人で倒す。それがあたしの夢だからな,アベルに勝つこと……あんたを越えることがさまよっていたあたしが見つけた人生の目標なんだ」
「応さ千年前の、あのときと同じように、この試合『アベル・ジンジャーアップル』が受けて立つとも!!」
セーナの言葉に従い彼女のそばにいた緑色の鎧は武闘場に上がることなくその場で止まった。
地面をけって跳躍すると二つの影が舞台に立つ。
一人は通常の小妖精とはちがい肌が白いゴブリン、アベルつまり俺だ。
後の一人は、アベルとともに魔王を倒したパーティーの剣士セルバスである。
彼女の剣からはすさまじい魔力が立ち上り、普通の武器ではないことをアベルに悟らせる。
なるほどルーから連絡をもらった後、セーナがすぐに俺のところに来なかったのは、あの武器を調達していたからか。
生前のセーナの武器よりはるかに攻撃力が高い……んだけど。うーんどうしようか? セーナに悔いは残させたくないからな、決めたぞ。
俺はケシ太郎に指示を出して彼にミコットを呼びに行かせた。ケシ太郎とミコットがくる。
ミコットの手には一振りの剣が握られている。
「わるいねミコット。その剣セーナに渡してくれ、セーナが見つけてきた剣よりもミコットが鍛えた剣の方が攻撃力が高い。俺もミコットの剣使うから装備は対等でいきたいからね」
「わかったぜアベル。セルバス五百年ぶりだな、うけとれ。あとさぁ武器が欲しいときはミコを訪ねてきなよ、ミコの仲間ならいくらでもただで鍛えてやるって言ってるだろぉ」
剣を受け取りながらセルバスは口を開く。
「あたしだけの力でアベルに勝ちたかったんだよ。でもだめだな、やっぱり武器はミコットが打つ武器が一番だぜ。ありがとう使わせてもらうよ」
そういうとセーナは俺に剣を向けた。
「アベル恨むなよ。たったいまあんたの勝率はなくなっちまった。この勝負セルバス・バティハがもらったぜ!」
いってろ。俺はゴブリンの体でハンデがあるわけだけど、負けるつもりはないから。
俺とセーナの顔は笑みをのこしたままで――千年ぶりの試合は幕を開けた!
セルバスが来ました。ルーからソンクウの正体を聞いている花序ですが、半信半疑です。
ニセモノのせいなんですが。
セルバスは自分の目で確かめて、ソンクウがアベルと確信したいんです