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66話 教影守シャル

 次の日。俺は神殿のヴォルデウスの部屋で相談を受けている。

 心の中でいつものパターンだなと一人頷き、ヴォルデウスの発言に耳をかたむける。

 ルーの時も同じように頼まれたし、心のどこかでこうなるだろうとは思ってたんだけど。

 ヴォルデウスは神殿に所属するすべての者に号令を出した。


 いわく「我が盟友アベルは見つかった。わがはいはアベルの国と同盟を組む」と俺からしたら、願ったりの内容なのだが。


「魔物それも魔王が治める国とは組めないと反対意見が出ていてな……人間種にあだなす魔物退治をする軍部の者なのだが、少し困った事態になっておる。そこでアベルよ昔のよしみで、貴公に事態を解決してほしいのだ」


「あの~。反対意見が多くてもトップの意向には従うのではないですか? ヴォルデウス殿、メーレ殿の初代と現在の教導主トップが決めたことなんですよ」


「そうだよね、組織である以上は上の意見をないがしろにするのはおかしいと思うよ。国家であればなおさらだと思うけどなぁ、トウ・ダーラは魔王が治める魔界だけど、人間種と敵対してるわけじゃないんだし。危険はないよね」


 ヴォルデウスの依頼にアンダルシアそしてオウ次郎が疑問をぶつける、二人の疑問は至極まっとうで俺も考えていた。

 ヴォルデウスは困ったような言いにく~いような、何とも言えない顔をしている、見かねたメーレが補足する。


「反対派の代表が問題なのです。この神聖法国パラディーゾは二人のトップがいます。国の光を司る―教徒を導き、国を運営する教導主と国の影を司る―魔物を退治したり侵略する敵を倒す、軍部の長の教影守きょうえいもりなのですが……反対派の代表が教影守でして」


 そこまでいうと、メーレはふぅと一息ついて覚悟を決めたように吐き出した。


「教影守は私の双子の姉シャウが努めています。ヴォルデウス様はアベル様の子孫と敵対が出来ずに、静観しかできないのが現状なんです。ですのでアベル様から説得されればシャウも考えを変えて、同盟に納得してくれるかもしれません。アベル様どうかお力をお貸しください」


 あいわかった。俺の子孫とあのヴォルデウスが困っているんだ。ならばアベルにいやはない。

 いくらでも助けてやろうじゃないの!


「ヴォルフまかせろ。あんたは俺が頼まれた時になんていうか知ってるよね。当然助けるともさ、時間が惜しいからシャウっての、ここに呼んでくれ」





 この子がシャウか、なるほどメーレにそっくりだ。

 ちがいは黒髪ダックテールにした短めの髪型くらいで細身の体に、大きな胸のグラマーな見た目は妹メーレと一緒だな。

 よく研鑽を積んでいるのが見ただけででわかるぞ。


「貴様がご先祖アベル様を語り、初代様とメーレをだましているゴブリンか。私は魔物の国と同盟を組むなど、認めないからな!! この手で叩きのめしてやるから覚悟しろよ」


「シャウ、アベル様に失礼は許しませんよ、それに何度も説明したでしょう。この方が本物です。ゴブリンの姿なれど初代様が待ち望んだアベル様がここに来てくれたのです。どうすれば信じられるのですか」


 俺をにらみながらシャウは高らかに言い放った。


「勇者アベルは魔王イフマイータを倒して、新たな世界のはじまりを到来させたつわものだ。貴様が本物のアベルというなら私を負かしてみろ。イフマイータを倒した女が、私に勝てないなんてことはないだろうからな!! おっと……怖いなら命乞いするんだな、私の慈悲で厳罰で済ませてやってもいいぞぅ」


「いいよ。やろうぜ」


 俺の発言を聞いてはらはらと心配そうな顔をするメーレ。

 対象にシャウは顔を真っ赤にさせて手をわなわなと震わせている。

 よほど気に障ったみたいだ。

無双モノなので結果はわかってますが、アベルの育成能力は犬をケルベロスに替えるでしょう。

シャウが怒っているのは、ご先祖のニセモノと疑っているからですよ。

ちなみにメーラ・メーレ・シャウはすべて意味は林檎です。

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