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64話 パラディーゾにて 4

「アベル私を仲間にしたときの言葉を言えますか? これは世界で私とアベルだけが知ってる情報です。再現いえたのなら君は間違いなくアベルです……」


 一瞬場の空気が重くなる。

 原因となったソンクウからほんのちょっぴり出た怒氣が部屋全体を支配したからだ。

 誰に向けたものでもないけど部屋にいる全員を凍り付かせるには十分で、オウ次郎とアンダルシアは大量の冷や汗をかき、サンはへなへなと座り込んだ。

 アメシスとメーレのほほを汗がつたう、ニャハルは目を閉じてふんふんと鼻を鳴らしている。

 主のソンクウと彼女はつながっているのでソンクウの怒りに引きずられないように耐えているのだ。


(アベルは母親エラリオの思い出に触られるのが嫌いでしたね。怒りはわかります。

 それでも今は寂しそうな優しさの顔を見せてくれる。聡い君のことです、気づいてますね。


 そうですよヴォルデウスはここまで壊れているんです。

 ソンクウがアベルではなかったら自分でもどうなるのかわからないくらいに)


 だから目の前のゴブリンが【アベル】という確証が欲しいのだ。

 そのときである。自分が仕える魔王の感情を察したアンダルシアとアメシスが割って入った!!


「我が君、答える必要はありませんよ。我が君には聞かれたくない質問だと、お察しします」


「ええ。アンダルシア殿に同意です、私の知る知識では、メーレ教主が読み上げる質問に答えていくのが通常のテストでしょう。なぜ姫様の時だけ通常と異なるテストを受けさせるのです。ヴォルデウス殿の質問は過去一回も出てない内容ではないですか。答える必要はないですね通常の内容を要求します」


 まったくです私も卑怯とおもいますよ。また違うと思うと、どうしようもなくなってしまう――気づくとガリガリ髪をかきむしっていた。

 自分でも引くような態度と発言をくちにしながら――



「また! また違うのか! またアベルではないのか!! いつになったらアベルは現れてくれる。それとも、もう転生はしないのか!!!」


 みんな目をそむける私の手を押さえて……そのゴブリンは優しい声で言う。


「安心しろよヴォルデウス。俺がアベルだ、いま証明してやるからさ」





「再現するんだよな」と、いうとソンクウは咳払いをする。


「伝記だとエワード王からもらった豪華な装備と、最初から仲間だったヴォルデウスと旅立つことになってるけど、真実は違うんだ。まず装備が錆びた「エラリオの剣」と、冬だったから凍死しないように家じゅうの布を身にまとったのが俺の恰好さ。ギルドでだれとも組んでもらえない俺は同じように、一人でいた僧侶の兄ちゃんに声をかけたんだ」



 そういいながら白いゴブリンは千年前に見た少女と同じ動きで私へ近づいてくる。あの時からずっと私の心に焼き付いた風景そのままに……。


「兄ちゃん誰とも組んでいないんだろ? 俺もなんだ、一緒に組もうよ。俺と魔族が決めた枠じゃない本当の冒険をしようぜ!!」


 間違いなく彼女だ、千年待ちのぞんだアベルが私の前にいる

 千年前と同じように私は差し出された手を両手でつかんだ。


「ぜっ……千年っ! っ待たせおって!!」

「うん。……ただいま」


【アベル】が残りの手を私の背中に回して優しく抱きしめる。私の目からぼろぼろと涙が流れた

アベルとヴォルデウスはお互いに恋愛感情はありません。

仲間以上の家族と思ってはいますけど。

強くないアベルを知ってるからヴォルデウスはアベルを心配するようになりました。

次話で詳しいことがわかります

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