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58話 後処理 2

 なんとか俺がソンクウにとりついていないとわかってもらえた。

 サンありがとうね。


「ソンクウとアベルは同一人物で前世の記憶が戻っているだけと……そういうことでいいんだよな」


「そうっす。神々は他の勇者たちと違いアベルさんだけ、10歳になったときに記憶が戻るように調整したっす。理由はもちろん魔神の目からアベルさんを隠すためっす」


 母さんの確認の内容にサンはうんうんと頷きながらもう一度説明した。

 神々というより創造神バルケスティがアベルをそうまでして隠したのは、俺が魔神の分身のイフマイータを倒した実績からなのだとか。

 そしてもう一つ、魔神を相手にした『神々の戦い』で活躍した神、この人は女神なのだが今は天界にいなくて

「僕たちでは魔神は殺せない、僕は奴を倒せる子を探しに行く」と言い残して天界を離れたんだそうだ。つまり神々はアベルがその魔神を倒せる子と考えてるというわけだな。

 もっとも俺の想像でしかないんだけどさ。



 母さんも安心したらしく「おいらの早合点だったよ、悪かったなソンクウ」そう謝罪してくれた。

 深々と頭を下げるのを俺はあわててあげさせた。この人には返せない恩が俺にはあるからで。


 他の人の目には小さなゴブリンに映る母は俺の目には別の人物がうつっている、その人は短い緑髪とオレンジの瞳をしているのだ。

 ゴブリンに生まれ変わったこの人と本当の親子になる。

 偶然かもしれないけどアベルはこの縁をなくしたくない、そしてあなたから受けた恩は忘れないと思った。

 きっとあなたは忘れてしまっているのだけれど――と寂しく感じながら……。


 ふいにアンダルシアがソンクウに話しかける。優しい視線と優しい声、重なった手はいつの間にと思うほど自然に指が絡んでいる


「よかったですねソンクウ様」


「うん……うん! ありがとう」


 ほほえましい、この時間を破ったのはベアンだった。



 ベアンは俺の話が終わったのを確認すると、母さんとカロットに頭を下げながら「あの時は本当に助かりました」とお礼を言う。

 二人もお礼を言われるのが当然のようで「よかった」「140年もよく耐えたよ頑張ったなぁ」と返事をしている。

 俺とアンダルシアはちんぷんかんぷんだ、そんな俺たちにベアンは……とくにアンダルシアに言う。


「気絶されていたので姫様が覚えていないのは無理もないですな。あのジクリコウの城から私と姫様を無事に逃がしてくれたのは、トウシン殿とカロット殿なんですよ」


「「ええ~~~~~~」」


「そうそう、多勢に無勢を見かねてね」


 そういいながらカロットは隣で照れる母さんに、ねぇ姐さんと相槌を求めた。

 ちなみにカロットはベアンとアンダルシアを安全な場所に避難させた後に、さっそくジクリコウを倒しに行こうとした。

 だがこれは母さんに止められたらしく、母さんはジクリコウを倒すのは自分ではないと直感したとそういった。

 そうすることが世界のためになると感じたと、俺からしたらよくわかんない理屈を言う。

 だいたい世界ってなんだよと言いたいところだけど話の腰を折るのも何なので、アベルは黙って聞くことにする。

 その後二人がしたことと言うと


・隣国を立ててジクリコウを従属させる

・重い税をかけてジクリコウにこれ以上力をつけさせないぞ

・税をとられる民にはジクリコウから搾った税をこっそり返すぜ

・他の問題点があればジクリコウにばれぬように解決していくぞ

・アンダルシアが決起するまでこの状態を続けるぞ。アンダルシアが負けそうなら、トウシンとグォウライ国がアンダルシアに加勢するぞ


 つまりそういう事だったらしい。ジクリコウはどうしたって負けしかなかったんだなぁ。

 俺はアンダルシアと顔を見合せながらそう思った。

カロットとセンセキは最初から味方というオチです。センセキは倒す役目は自分じゃないと直感したとありますが、正しくは神々から無意識の啓示を受けています。

ジクリコウを倒さなかったことでアベルは力を蓄えると自由に動ける拠点を手にいれましたし。

アンダルシア(ヒロインです。アベルは色恋おこさまなんで無自覚)という愛する、守るために力を引き出す相手を手にいれます。

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