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2話 出会いはコボルト村にて

 ゴブリン村から西へ二日行った場所にコボルト村がある。


 道中何魔物に遭遇するも余裕で蹴散らすことができたので割愛する。魔王に比べると弱すぎだぜ。



()()()()ゴブリン!」


 村の入口でコボルトの見張り番に身構えられる。

 この世界にゴブリンは大まかにわけて二種類いるのだが、俺の種族はカラフルな瞳が特色である。それは目の前のコボルトもわかっているはずだが。警戒しなさんなよ。

 


 そして、俺の体の色はどうしてか白いのだ。

 

 その事が目の前のコボルトの警戒心を引き出してしまっている。ちなみに父さんが過保護なのもこの体の色が原因だったりする。


 人間種に見つかれば、売られて見世物にされるのが、わかっているからだ。


 そんなわけで通常と違うゴブリンを前にコボルトの見張り番たちは訝しみあやしんだり、槍で威嚇したりしてくる。危険はないから、落ち着けってばよ。



「お前なんだ?怪しいやつ人間種が魔法で化けてるのか?」


 人間種もこんなゴブリンに化けるのはいやだと思うぜ。



「待って! 俺は怪しいものじゃない、東のゴブリン村からきたソンクウ・ゴウジャだ。絶対にあんた達へ危害は加えないよ。

 ここで捕まえたオークを見にきただけさ」


 そう俺は強いヤツと闘ってレベルを上げないといけないのだ。


 人間種とちがい、ゴブリンのレベルの限界がどこなのかはわからないが、俺には果たすべき約束があるから。〈転生〉は大きな戦に参加する約束でもらったからね。



「わかった村長にお前、判断してもらう。近づくだめ、遠巻きに見てもらう。

 村長がだめだと言ったらおまえ入れない。帰ってもらうがよいか?」

「それでいいとも。ありがとう!」


 もし無理なら夜に忍び込もう! 俺は固く誓いを立てた。

 


 しばらく待つと村長だろう。

 年老いたコボルトが俺の五十メートル先で止まり、手を頭上にあげて輪をつくる。



「オッケー」


 さっきまでの問答はなんだったのか?


 氣を取り直して、この村に入りオークを探す。村はそんなに広いほうではない。


 住民もコボルトばかりだ。4百人程だろうか?



 経験から言うと、村の端には置いてないはずだ。

 逃げられると村から脱出しやすくなるからである。

 村の中央にある広場で、俺は目的のものを見つけた。



「大きいねぇ」


 ばかでかい檻の中に二メートルを超えるオークが収まっている。

 筋骨隆々で肥満というよりは、ガッシリといった言葉がよく似合う。その体はゴワついた毛で覆われておりらそれじたいが鎧の役割を果たす事だろう。



 相手にとって不足なしだぜ。



 手っ取り早くかつての力を取り戻すならとかく、強い者と闘うにかぎる。

 


「よし、コボルトの兄ちゃん檻を開けてくれ!」

「!?っお前急に何を言う。ここ開けるの駄目。こいつ外に出す良くない」


「かまわないぜ。開けてくれ」

「俺の話聞く。こいつ出す危ない。死者が出たらどうする?」


 なんだそんな心配かい。なら大丈夫さ。



「死者は出さない。ソンクウ・ゴウジャの名にかけて約束するよ」

「わかった。おまえが言った事、必ず守ってもらうぞ」


 騒ぎになったためか俺の周りには人だかりができていた。

 許可を出した村長がこっちを睨んでくるが、氣にしないでおこう。戦う方が大事だい。


 開いた檻から、オークがその巨体に似つかわしくない速度で眼前に迫ってきた。


 顔面に斬撃を入れてやるが、ケロッとしている。


 流石に硬いぜ。その硬い体毛が邪魔をして浅い切り傷しかできない。


 さてどうしよう?

 


「この体で勝つべくして勝つしかないね。【人間種】の体なら簡単なんだが」


 オークの攻撃をかわして相手の足。特に膝とももを集中して斬りつける。


 浅い傷でも繰り返せす事でおびただしい出血量になり、オークの足がガクガクと震えだす。体重を支えられなくなっているぜ。



「コボルトの兄ちゃん。俺に向かって剣を投げるんだ!」

「へ? お、おう!」


 とんできた剣をつかむと何度も切りつけた浅い傷。

 すなわち体毛のない部分へ深く二本の剣を突き刺した。


 オークの悲鳴が上がる。


「借りるよ!!」



 俺は棒立ちになっている他のコボルトから剣をひったくり地面を蹴って跳躍。

 そのまま、がら空きになっている脳天へと強烈な一撃をお見舞いする。



「ガオオオオオオオーーーッ!!」


 オークは一声上げるとそのまま失神した。


「オークとは思えない強さだったぜ」

「お前よく言う、ほぼ一方的な闘い。

 強さで言えば普通はゴブリンよりオークが上。だと言うのに、お前はその条理を覆した。何者?」


「見たままのゴブリンさ。

 それより、オークは何をして檻に入れられてたの?」

「旅人だったコイツは村にきた。しばらくすると大人しかったのが嘘みたいに暴れだした。たまたま通りがかったゴブリンの傭兵が取り押さえなければ、この村は大変な事になってた」


 傭兵かい。


「ちなみにその傭兵の名は?」

「とても有名。おまえも聞いたことがあるはず、トウシンだ」


 傭兵の名は聞き覚えがあった。出稼ぎに出ている俺の母さんである。






 起きたオークは、この村へ来たときのように大人しくなっていた。


 この変化は何度か見たことがある『魔法の暗示』だ。


 初歩の魔法だがその効果はかけられた対象が気絶するまで持続する。

 他者を操るのに使われていた呪法だ。



 オークによると旅の途中で急に意識が途切れたそうだ。

 その時、何者かの手で呪法がかかったのだろう。悪い奴がいるもんだぜ。



「ねぇコボルトの兄ちゃんと村長さん。彼を連れ帰っても良いかな?」

「かまわない、そのオークはお前が力を示して仕留めたお前の獲物。俺達が口出しする権利はない」


「強いゴブリンの子よ。お前に我等が創造神の加護多からん事をいのる」


 そう言って村長が大きく頷く。

 

 このオークを連れ帰る理由は二つある。



・単純に村の労働力と戦力が増える。


・オークに暗示をかけた犯人と戦える可能性が高い。



 俺は、オークに名前を聞くが、オークは少し困った顔をしていた。



「名前がないのかい? そうか。ならあんたはアー…『オウ次郎』だ。俺の事はお……。兄貴だと思いなよ。

 俺があんたが辛い時、絶対に支えになってあげる。わかったかい?」

「兄貴わかったよ。ありがとう」


 喜んでくれた。

 ソンクウとオウ次郎は、種族の違いはあれど『兄弟の契り』を交わしたのだった。



「おまえすごく良い奴、そしていい()。そこまでの男はコボルトでも滅多にいない。」


 檻番もといハクザの兄ちゃんから好評価をうける。

 悪い氣はしないが、一つだけ氣になる点があったので訂正しておこう!


「大きな評価をありがとう。でもね俺は、『男と偽って旅をしたけど、アベル・ジンジャーアップル(ソンクウ)も性別は女』だぜ!」


 そう、男勝りと言われてもそこは譲れないのである。

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