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46話 戦争の条件

 俺はルーヴァンとゲートを建設してもらう約束を取り付けたことを、留守をしていたアンダルシアのドッペルに報告した。


 そうするとドッペルからも、留守中の報告があったらしく俺に上申してきたのだ。


 

 なんとトウ・ダーラはグォウライ国と戦争中にあるらしい……マジで?


 え、だって戦争中の結界も張られてないし国民は、いつも通りの生活をしてるしで戦争中とは思えないんだけど。



「ドッペル、我が君をたばかってるんじゃないでしょうね。私の分体といえど許しませんよ」

「私ならそう言うと思いました。説明も面倒なので魔法解除してください、それで私が知ってることがオリジナルにもわかるようになります」


 アンダルシアは言われたようにドッペルを解除した。


 

 目を開いたアンダルシアはすべてを理解したようだ。


 ふぅと一息つくと事情を知らない俺とニャハル、ミラルカ、ミコットに何が起こっているのかを説明する。


 まず俺が新王になる前のジクリコウが支配していたトウ・ダーラは、となりのグォウライ国の支配下にあったみたいだ。


 グォウライ国王は、ジクリコウから俺に王が代わったのに、なぜ新王はあいさつに来ない?


 と宣戦布告をしてきたみたいで、トウ・ダーラとグォウライ国は戦争に突入した……とこういうわけだ。



「なんでのんびりした雰囲気なんにゃ。戦争中にしては、のどかすぎにゃろ?」


 ニャハルの言い分はもっともだぜ。


 みんなが疑問に思うそんな中、アンダルシアが私についてきてくださいと言って、俺たちは言われたままに移動するのだった。





「ここです。ドッペルの記憶によると、客はここでソンクウ様をまってるそうです。」

「ここって、飯屋だぜ。本当かい」


 アンダルシアが案内した場所は俺がよく利用するレッドシュリンプ亭だった。


 ミコットでなくても同じように言いたくなるよ。


 仮に客って誰さ? その客と戦時中ののどかな空気が関係してるみたいで、とにかく入ってみよう。



 奥の大座敷にいつか見たナニガシときらびやかな衣装を着た人間種の中年が座っていた。


 向こうも俺に気づいたようで、中年がナニガシに「姐さん、ソンクウがきましたよ」と耳打ちした。


 一方で俺たちにも気さくに「ソンクウの嬢ちゃん待ってたぜ。大事な話だ王同士で話そう」手を振りながら大声でいう。


 そうかい王同士でわかったが、コイツがグォウライ王のカロットだなぁ。



「兄貴、気をつけてね。兄貴の体は、僕たちみたいに他と替えがきかないんだから」


 ついてきたオウも気づいてる。ナニガシはもちろん、この中年も強いんだと━━━。



「にゃあ。トウ・ダーラ魔王のマスターは国のかなめにゃ、いなくなったらみんなが困るにゃ。

 危ないときはマスターに叱られてもニャアが敵を排除するにゃ」


 オウとニャハルそして口に出さないアンダルシアも同じ思いのようだ。


 氣持ちはうれしいけど、お前たちの魔王を信用しなよ。まぁ信用と信頼はされているんだけどさ。


 少なくともお前たちをのこして、俺は誰にもやられるつもりはないんだからな。



 大座敷の机をはさんで向かいにナニガシとカロットが座り対面に俺アンダルシア、ニャハル、ミコット、オウ次郎が座る。


 俺が使うレッド・シュリンプ亭で両国の会談は始まった。相手の言い分を要約すると、



・新生トウ・ダーラはジクリコウのときのようにグォウライ国の支配下にはいれ。


・聞き入れない場合は即戦争開始となる。


・戦争は国同士の総力戦ではなく、魔王の一騎討ちでもない。お互いの国から11人を選抜して戦わす代表戦とする。


・代表戦は同盟国からの助っ人も認める。



 こうである。


 狙いがわかったな。グォウライ国とトウ・ダーラの戦争だが、

 同盟国の助っ人を認めるあたり、カロット王は自分の同盟国から戦力を出す気だろう。


 ナニガシの正体、魔王センセキとその十魔王将を代表で使うはずだ。


 俺の考え込む姿にフードをかぶったナニガシもといセンセキが挑発してきた。



「魔王タイセイ、お前さんが怖いなら条件を変えてもいいんだぜ。いないママでも呼んで守ってもらうか?」

「シャッ―ーーー!」


「おうアップルを……我が王を馬鹿にすると、どうなるかミコが教えてやろうか」

「私は氣が長い方ですが、次は見過ごしたりしませんよ」


「僕もアンダルシアさん、ミコットさんと同じ意見だよ。兄貴……魔王様への侮辱は許さない」


 俺は氣が立ったみんなにかまわないと手で合図する。ママを呼べってお前さぁとおもってしまった。



「俺はその条件でかまわないぜ。みんなも俺を想ってくれるのはありがたいが氣にしなさんな。弱い犬ほどっていうだろ?

 目の前のセンセキさんは、心理的に俺を格上と思ってるから挑発が出るのさ」


「ぼうやが言うじゃないか」

「ハハハハ姐さん、こいつは一本取られましたね。」


 俺のお返しにセンセキはフードの上から髪をかき上げるしぐさをして、カロットは呵呵大笑かかたいしょうだ。


 もちろん挑発ではない純粋な笑いなのだが。カロットは続けて言う。



「話もまとまったようなものだし、ここは俺におごらせてくれ。タイセイ殿は伸び盛りだから食わんといかんぞ」


 お前は親戚のおっちゃんかと心の中で突っ込んで、俺たちは厚意に甘えて運ばれてきた料理を食べるのだった。


 俺はセンセキとカロットとよく話した。ジクリコウを倒したいきさつと魔王になってからした事とかだ。


 結局この二人に敵意はないのだ。何が目的なのかも俺にはわかる。

 この二人は俺を値踏みして確かめているんだ。


 まぁセンセキの立場を思えばわからんでもないんだが。


 箸を止めたカロットが、改めて戦争の条件の確認をする。「いい戦争まつりにしよう」そう付け加えてだった。



 そしてあろうことか俺に条件締結の音頭を求めてきたのだ。

 ともあれ俺も王だしかまわないけどさぁ、ゴホと一つ咳払いをする。



「今回のトウ・ダーラとグォウライ国の戦争は通常と違う11対11の代表戦とする。意義はないか!!」

「「異 議 な し!!!!」」


俺のことばにみんなが肯定のことばを発する。今日食べたエビフライは格別の味だった。

帰ってきたら戦争が始まっていたトウ・ダーラ。しかし戦争というにはのどかな雰囲気があります、

アベルはこの時点で来る時が来たかと思ってるんですね

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