43話 魔法最奥の会
俺達はルーヴァンの依頼で魔法学園に潜入している。
ミラルカとミコットはセーラー服に着替えて、アンダルシアとニャハルはブレザーだ。
俺は学ランを着ている。
それというのもルーヴァンが「生徒で潜入するんですから、ちゃんと着てくださいね」と人数分の制服を用意したのだ。
なんで俺だけ男ものなんだろう。
みんなの制服姿は普段と違う装いだからか、かわいらしくきれいだと思った。
眼福というやつだね。
千年前にルーヴァンがつくった魔法学院。単に学院ともいう巨大な施設は魔法使いの最高の学び舎と言われている。
魔法使いの実力に合わせて「初級」「中級」「大級」「超級」のクラスに分かれていて、レベルが上がる事で初→中→大→超へと繰り上がることができるのだ。
歴史に名をのこした魔法使いの多くが、魔法学院で修行したと世間に知られている。
まさに一流魔法使いの養成所なのである。
話は変わるが俺は今、首輪をつけている。
もちろん野良 小妖精と思われないようにするためだ。
魔界(魔王の支配領域)以外の小妖精はペットとして人間種の親が小さい子供の情操教育で飼うことが多い。
俺は首輪をつけることで、もう飼い主がいますよとわかる状態になって……納得できるかい!
なんなんだよこれ!!
「にゃあ。マスター我慢するにゃ、戦える白い色の小妖精は世界で一匹だけの珍種にゃ。
マスターも仕方ないって納得してくれたにゃろ」
「うっ。確かに言ったけどさぁペットはないよ。しかも飼い主が自分の使い魔なんだよ」
そうなのだ俺の学園にいる間の飼い主に誰がなるのか。
ミコットとミラルカは、
「ミコとアップルは仲間で、主従の関係じゃねーぜ」
「僕はソンクウと同盟仲間だし、キル君の兄貴の飼い主にはなりたくないなぁ」
そう言って辞退した。アンダルシアは立候補したけどルーヴァンが全力で阻止する。
なぜだろう?
消去法によりニャハルが学園の間だけの俺の飼い主に決まったのである。
クラスはミラルカが超で俺とニャハルは大だ。
まぁ俺は生徒ではなく名目上はペットなのでニャハルのおまけだけどさ。
アンダルシアが中、ミコットが初に潜入している、本当なら全員、大と超級なんだけどね。
そこはルーの采配だろう。おかげで学園すべてのクラスで起きる事件を探索しやすくなった。
~~~~
昼休みに俺たちは中庭にあつまると、それぞれが聞いた情報を整理する。
行方不明の生徒が大量に出ているのだが、『魔法最奥の会』というクラブに属する人間ともめた生徒が、謎の失踪をしているのがわかった。
さすがに教師陣も不審に思い、先週若く有能な教師 (魔法使い)が捜査したが彼も行方不明となった……。
俺に頼らなくてもルーが出ればすぐ解決する案件だ。犯人は状況から見てこいつらだろうしさ。
ルーは忙しいのか、面倒くさかったのか多分両方だろう。
俺たちの方針は決まった。
その魔法最奥の会に接触して探るのだ。
間違いなくこいつらが犯人だろうし、俺たちならたとえ、相手が何であれ返り討ちにできる。
▽
氣弱そうな男子生徒が一人で魔導書を読んでいる。
髪はぼさぼさで前髪が目にかかるほど伸びていて、お世辞にも見栄えがいいとは言えない風体だ。
そんな彼に二人の美少女が話しかけてきた。
ルーヴァン校長のお墨付きで編入してきた四人組 (+ペットのゴブリン)で、魔力量の高さと実技で高い成績をみせたことから一躍有名人になった。
どの子も可愛く学園内で狙ってるやつは多いだろう。
「にゃあ。助けてほしいにゃ」
「あのねニャハルのペットが消えたんだよ。今学園で噂になってる行方不明じゃないかなぁ」
「にゃにゃ。魔法最奥の会には珍しい昔の魔法の書があるって聞いたにゃ。ニャア達に見せてほしいのにゃ」
「そうそう、過去の映像を見る魔法とか、個人を追跡する魔法とかさぁ。いいよね、ねっねっ」
ニャハルとミラルカの勢いに押された少年は彼女たちを連れて、魔法最奥の会の会室へ歩き出した。
鼻の下を伸ばした顔は、みっともないとしか言えないね。
さてさて鬼が出るか蛇が出るか……。
俺とミコット、アンダルシアは、〈不可視〉を使い透明になってニャハル達の後についていく。
この物語のヒロインはアンダルシアです。アーガシアやルーヴァンとアベルを好きな人物は多いですが、アンダルシア彼女がヒロインにします
面白かった次も読みたいと思われた読者さま
下の
☆☆☆☆☆を押して
★★★★★に変えてください
助かります。