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39話 トウ・ダーラ国武器製造業最高責任者ワーグナー

「転生したらゴブリンだった件はないよなぁ。人間種に転生すればよかっただろ」


 俺と同じくらい小さいドワーフの娘が、くっくと笑みをこぼす。


 幼さが残る外見。普段から金づちを振るため四肢には筋肉がついているが、筋肉質ではなく少しであり、

 ミコットの外見に妙に似合っていて彼女の魅力を倍増させている。


 この娘が俺のかつての仲間、ミコット・ワーグナーであり、ここワーグナー一門の最高責任者なのだ。



「ちゃんと事情があるの! 後で説明するよ。それより、移籍の件はいいんだね?」

「ミコが言った条件を守れたら移籍してやるさ。あんたは間違いなく本物のアップルなのだろうが、本物なら難なくできるはずだぜ。

 テストと思ってくれ」


 俺は知らなかったけどアベルの死後、アベルの名をかたったニセモノが出現しまくった。



 これに被害を受けたのが、国や里をつくった俺の仲間たちで。

 武器づくりで有名になったミコットも、被害者だったりする。


 俺の仲間達は、俺の冒険をするという夢をしっている。

 その夢がかなってないことも……。


 俺が夢をかなえるために、転生する可能性を見越した俺の仲間はこう公言していたんだ。



【アベルが再びあらわれた時俺 (私)はアベルをバックアップする】


 結果は偽物がはびこり被害に、あってしまった。

 本物のアベル(俺)と仲間たちからすれば迷惑な話である。


 こういう事情でミコットは俺に武器をつくる素材を、とりに行かせるテストを出したのだった。


 内容はあるダンジョンの最下層にある鉱石に、転移のポータルを置いてこいというもの。

 この時代で転移魔法を使える人間は限られてる。


 俺が転移を使えることはミコットも知ってるから、条件でもアベルの選別がされてるわけか……。



「ミコの知ってるアップル (アベル)なら、一人でできる内容だぜ。いやならやめてもいいんだぞ」

「俺のそういわれた時の性格知ってるくせに。安心しなよミコット。俺が、本物だって証明してやるからな」


 俺へと、ミコットが鍛えた剣を投げ渡す。

 俺の使ってる剣が、刃こぼれだらけなのを見抜いたからだった。

 それは何も言わずに笑うミコットからの餞別せんべつだった。





 俺はそんなわけでダンジョンに潜ってる。

 ここはアナトグラムの町から東に言った洞窟のダンジョンで、地下10階までは岩肌が続く。

 それ以降は遺跡めいた姿に変わるのだ。



 ミコットからきいた最下層が17階で、俺が16階にいるから次が目的地になるんだけど。


 でかく閉じた扉の前にヒュドラがいる、ダンジョンボス(ぬし)だな。


 ぬしは普通のモンスターと違い、ダンジョンから恩恵を受けて、レベルやステータスにバフがかかった状態になってるのだ。


 いわばダンジョン版の魔王と思ってくれていい。


 ちょうどいいや。アイツの牙や皮といった素材も、武器を鍛えるのに使えるし。

 高価で売ることもできる。みんなにいい土産ができたぜ。


 こちらに気づいてないし一気に攻め落とす!!


 俺は慎重に剣を構えた後、一足飛びでヒュドラへ斬りかかった。


【レベルが上がり神々からの祝福を授けます ちからまもりすばやさが600上昇 体力魔法力が140上昇しました。

 生前のすべての技術を取り戻しました】





「どんなもんだい」

「さすがはアップルだぜ、テストは合格だ。それとここに残った連中からいろいろ聞いたよ。

 あんたが転生してここに来るまでの経緯は、まちがいなくミコの知るアップル、いやアベル・ジンジャーアップルだな」


 最下層にポータルを置いてきた俺はミコットに報告をおえて、一休みしていた。


 なんだい喋ったのかい?ニャハルがベラベラとゲシィ、アンダルシア、ベアンがすこしずつ俺の事を、ミコットに話したらしい。


 まぁミコットは俺を完全に本物とわかったみたいだ……あれ? 


 話しておけばテストを受けなくて済んだかなと思ったけど、どっちみち実力をみせないとミコットは納得しなかっただろう。だからよしとしよう。



「にゃあマスターは、ヒュドラの素材だけ持って帰ってきたけど鉱物がないにゃ。

 テストの内容は鉱物を持って帰るじゃないかにゃ?」


 首をかしげるニャハルにミコットが答える。



「ねこちゃん、アップルに転移ポータルを置いてきてもらうのがテスト内容だ。持ち帰れる量じゃないんだよ【鉱石の泉】って言ってな。

 あそこはずっと武器鍛造に必要な鉱石や鉱物がドロップ……ちがうかポップするのさ。

 アップルにポータルをおいてもらったおかげで、いつでも素材を取りに行けるようになったんだ」



 座敷から立ち上がり「さぁ約束を果たすか」それだけいうとミコットは製錬場に響き渡る声でよびかけた。



「トウ・ダーラ魔王殿との約束を果たすため、ミコットはトウ・ダーラへ移籍する。

 残りたい奴はここをくれてやる。

 ミコについてくる奴はついて来い。わるいようにはしねぇ。今から引っ越しだ!!!」


 製錬場内はドドドと大忙しだ。


「ははすごい」アンダルシアは感嘆する。

「即断即決。この迅速な動きは我が国の兵士に見習わせたいですな」ベアンはこう漏らした。



 尊敬するミコット親方に全員がついていくことになった。

 ワーグナー一門は全員俺のアルドカナンで、一気にトウ・ダーラへと俺たちを含めて戻った。


 この大成果によりワーグナー一門の製錬場の入り口には、


【武器防具鍛造の依頼はトウ・ダーラまで】の立て札が置かれていたのだった。

アベルの昔の仲間でアベルに会う一番乗りはミコットになりました。かつての仲間はニセアベルが大嫌いです、はすっぱな性格のミコットも例外でなく偽アベルぎらいですよ

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