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31話 赤いドリアード 〈オーリンジ・バナナシェイク〉

『檻の内側』に四人と猫が入ってる。

 なにをかくそう俺たちだ。

 この織は木造りだが魔力が込められて、鋼以上のかたさになっている。

 どうしてこうなったかというと――





 俺たちはテッキ国から南部の森に行った。

 森に入ってすぐに、魔力を感じたので、魔力をたどると、不可視の魔法で隠蔽された砦を見つけた。

 間違いなくここにオーリンジがいる。

 砦は周りを木の杭で囲っていて、入り口からしか入れないようにしてある。

 建物の大きさはまずまずだ。

 ここにすべてのドリアードが入るとは考えられないな。

 ここを城と考えれば周りは城下か? 「さらに強い不可視の魔法がかかっている」とサンはいった。


 つまりは、そういうことだね。

ギルドで得た情報通り、この国は戦時の戒厳状態かいげんじょうたいということだろう。

 そうしていると、入り口でウロウロする怪しいやつを、兵士が見逃すはずなく【ゴブリンとゆかいな仲間たち】はとらえられて、檻へと連行された。


「あばれますか?」


「いやいいよ、オージに悪い印象を与えたくない。倒すのは簡単だけどさ、向こうから懐の奥に入れてくれるんだから。おとなしくついていこうね」


 俺とヒトのつぶやきは兵士には聞こえなかったようだ。





 檻の中でふいにオウが、オーリンジのことを聞いてくる。


「兄貴の弟子なんでしょ? オーリンジってどんな人だったの」


 そうだな、俺たちの仲間になる男だ。

 昔話を聞いてもらうのもいいだろう。


「俺がイフマイータを倒した後、世界がどうなったかはみんな知ってるかい」


「うん」


「にゃあ」


「うちは下界のことはあんまり詳しくないっす」


「大兄貴はあの戦争を経験してるんですよね」




 ヒトに「あぁ」と返事をして、俺は話始める。

『覇権戦争』と『勇者アベルを継ぐ者』と呼ばれたオーリンジの話だ。


 勇者アベルが魔王イフマイータを倒して魔族の支配はなくなった。

 解放されたすべての種族は手を取り合い、世界は様々な種族が発展していく平和な世界になったのだ。

 それが理想なんだけどさ。


 その逆のことが起きたのだ。つまり魔族に成り代わり我が種族が世界を支配するという野望が発生した。


「最初は種族間の小さな争いだったんだぜ、ドワーフと有翼人、人間種とダークエルフという感じでな」


 でも戦争の勢いは止まらず、種族連合を二つに分けた二大勢力が、争いあう覇権戦争へと変わっていく。

 そしてその戦争の中に、アベルと仲間たちの姿はなかった。

 俺たちはいずれ来る、ある時にそなえて歴史の影にいたんだ。


「そして覇権戦争で両軍が疲弊しきった5年目にやつらはきた」


 イフマイータの息子の弟(ミラルカの叔父)を、新たな魔王に掲げた魔族たちの再侵攻だ。

 フェンにきいた話だと、この時はタカ派だけの侵攻で、ハト派とは、たもとが分かれていたらしい。

 話がそれたが、魔族のその進行を食い止める力は、両軍には残されておらず。

 各種族は支配されていった。


 その魔族たちと魔王ゲールプグナを倒したのが、俺に見いだされ勇者となった、オーリンジ・バナナシェイク・エワードだ。

 それと彼を支えた仲間たち(剣士アップル、僧侶ダンベルマン、闘士ミコット、レンジャージョフレ、魔法使いアンサリー)だ。

 魔王軍とオーリンジたちの戦いにはアベルの残りの仲間たちもオーリンジに加勢して魔族の侵攻を食い止めることができた。


「再支配された種族は解放されて、現在いまに至るってな。仲が悪い種族がいるのは覇権戦争で、敵味方だった名残だな、戦争も一応の終結はしたけど。恨みをのこしてる種族や、野望を隠してる国家は多いぜ」


 それでも二回目の世界戦争に発展しないのは魔族の侵攻を恐れてるからなんだが。



 どこも土煙が上がり物の焼けるにおいと、耳には怒号と悲鳴が届く。

 やってやり返しての繰り返しで憎しみは膨らみ続け、誰もが疲れ切っているのに辞め時を失っていた。

 そんな戦争だった。

 俺はもう二度と、あんな思いをするのはごめんだぜ。


 一度目をつぶり勢い良く立ち上がる。

 自慢の弟子に会いに行こうか。


「檻番の兵士さん、ボスのオーリンジに言づけてくれないか。先生が会いたがっている。アップルとアベルの両方がってさ。この国はテッキ国と戦争中なんだろう?俺たちはオーリンジの知り合いだぜ、彼の力になれるはずさ」


 そうしてしばらく待つこと10分俺たちは檻から出されてボスのいる部屋へと通された。

 俺たちを連行した兵士は部屋の外で待機する。

 仮に俺たちが、敵国の暗殺者や敵だという可能性もあるが、このことからボスの強さを、信頼してるのがうかがえる。

 扉を開けると、誰もいないんだけど。



 ふわと鼻をくすぐる木のにおい、それと観葉植物が置かれていて、天窓からは優しい光が部屋全体を照らしている。

 まるで日光浴をしてるかのような気分にさせられる。

 部屋に一歩踏み込む。


 すると死角から俺の首めがけて刃がヒョンと横なぎされる。のけぞりながら絶妙のタイミングで刀身を下からはたいてやった。

 次の瞬間俺は、死角の敵に蹴りを入れてたおした後馬乗りしながら、敵ののど元に剣を突き付ける。

 なつかしいな…ちっとも変ってないよ。


「ハハっ、まいった。今の動きは間違いなくアベル先生ですね。俺だけでなく先生も転生してたんですか?」


「まぁね。レベルを確かめるなら不意打ちで来いって教えをよく覚えてたね。それと俺とあんたはパーティーの仲間じやないか。呼び捨てでいいぜ」


「わかった。会えてうれしいよアップル。(アベル)」


 俺はオーリンジに手を貸して彼を引き起こす。

 オーリンジ・バナナシェイク・エワード、七勇者の二人目の【赤いドリアード】が目の前に立っている。

 オーリンジはエワ-ド王が城下の娘に産ませた子で王も存在を知りませんでした。母親がなくなり一人で生きてきたオーリンジは、自分と母に不幸しか与えなかった世界を、憎むようになります。

エワード王がなくなり、王となったアベルはある日自分を襲ってきたオーリンジを返り討ちにして彼を弟子にしました。 

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