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341話 冥界王アルカディアの目的

 4人のリザードマンを正気に返した俺はさっそくパーティーを連れ、剣士の里を取り返しに行く。


「僕のワガママを聞いてもらってすまないなマスター」

「僕らが居れば千人力さ! ね、ねソンクーもそう思うでしょ?」


「僕と姉上とお爺様。なんとなく人選が偏ってる氣がするのぅ。

『イフマイ-タの血族』が揃っとるのは、ただ事ではないのじゃ」


 謝るサタナ、同意を求めるミラルカ。

 全く同じ考えを口にするルーナ。


 この三人は敵が冥界だと言い切るサタナが集めた。

 絶対隠し事をしてるよねこの魔王。

 証拠に目を合わせてくれないのだ。


「冥界王ヲーヤッツケルゾー」と、吐く台詞が白々しいにも程がある。


 あやしいぜ。


「シャーリー、それと僕も同行するんですか?」

「そうだよ。レムと、シャーリーは急激にレベリングしたばかりだし。実戦で力試ししてないでしょ?

 一緒に行こうよ」


「私の助けをアベル君が必要としてる。ムフンがんばる!!」


 シャーリーは氣負い過ぎだね。

 力を上手く制御できるか、見ておく必要があるだろう。


 と言っても、二人には知られない様にあくまでこっそりとだ。


『あんたが暴走して大暴れした時、俺の力で止められるか? 二人の゛正確な戦闘能力゛が知りたい』


 なんて言われて嬉しい人間はいないからである。


 なにしろ冥界王は洗脳術が得意みたいだからね。

 この中で俺並みに強く〈戦闘能力〉を完全に把握できていないのは、レムとシャーリーだけだ。


 だから、|最悪の事態《操られたシチュエーション》を想定して二人の戦闘能力を把握するに越した事はないのである。


「理解してるよマスター」




 俺がサタナを見たら彼女はわかっていると返事してくれた。

 二人が敵に操られても、俺とサタナが戦えば確実な勝利を手にする事ができるだろう。


 殺したくないので、止められるなら止めてあげる。

 それが一番いいのである。



・アベル、サタナ、ミラルカ、ルーナ、レム、シャーリー。

 この6人が冥界攻略をするパーティーだ。



「青いハチマキの人。レオナルドだったね一緒に来てもらうぜ。

 俺は剣士の里なら場所がわかるけど、あんたらの隠れ里はわからないからね」

「アテの名前はダヴィンチですカゲ」


 どっちでもいいよ。


 リザードマンの中から一人を案内人につけ、剣士の里へ〈転移〉する。



─────────────────────



 剣士の里は誰もいなかった。無人になっているのが妙なのだ。


 死体すら残ってないのは、はっきり言って異常である。


 まぁ、こういう時を考えて、俺は全ての町に【情報収集部門】のエージェントを派遣してるわけだが。




「お呼びでしょうかタイセイ様」

「シャッテンが言う言いつけが守れてる様だね。『戦闘に加わらず、情報は必ず持ち帰れ』。素晴らしい判断だぜ。

 お前達が見た剣士の里で何が起こったか? 

 この出来事を詳しく教えてくれないかい?」


「「我が君の御心のままに」」


 二人のエージェントの話によると───。



・襲撃を受け剣士の里は壊滅する。


・敵はリザードマンだが、悪魔が憑り付いてるらしい。

 リザードマンは姿が途中で悪魔に変わったそうだ。

 デビルマ◯かしら?


・悪魔は剣士を倒す。倒された者は悪魔が取り憑き新しい悪魔になる。

 この繰り返しで里は無人になった。



「ご苦労様。ベニとルリの両名はトウ・ダーラに帰還して。

 今の情報をアンダルシアに伝えるんだ」

「仰る通りにいたします。我が君」


 シジミ姉妹は一礼した後、姿を消した。


 トウ・ダーラに帰還したのだ。これでいい。

 無人の場所にエージェントを派遣したままにしても意味がないからだ。


 今回の事件を片づけて剣士の里が復興したら、ベニと、ルリを元通り駐在させる事にする。




「マスターは僕に変な疑いを持ってるようだな。心外に思うぞ」


 俺と目を合わせようとせず、しかも声が震えているサタナ。

 こいつめ。

 絶対冥界王と顔見知り。それか繋がりがあるだろう?


 ベニとルリの情報からわかった事がある。 


 剣士の里の人間とリザードマンから死者が出ていないと言う事である。


 悪魔は精神体なので地上で活動するにはどうしても体がいる。

 受肉せねばならないルールである。


 悪魔が、この掟から逃れる事は出来ないのだ。


 受肉した時、取り憑く肉体が生きていれば活動時間がのびる。だが、死体だと冥界に戻る羽目になるのだ。

 死体はその場に残される。


 なので、里の民は死体がないため゛死んでない゛と断言できる。


 俺は死亡した人間を後で〈蘇生〉させるために、魂を〈時空間凍結〉で確保しておこうと探したけど。

 その魂もどこにもなかった。


 要するに『誰も死んでない』。

 確信が持てたのである。




「単刀直入に言うけどサタナと、冥界王の間には何らかのつながりがあるんじゃないの?」


 そう。冥界王が本当に敵なら『アベルの味方』は減らすのが得策である。


 悪魔に受肉の掟があるとはいえ、

 アベルはどのみち冥界にやってくるのだ。


 それなら受肉など氣せず、敵の数を減らす事が正解なはずだ。




 ここで視点を変えてみる。

 冥界王アルカディアと、サタナが顔見知りの場合はどうだろう?


 何らかの事情があってアベルを攻撃する。

 アベル陣営にいるサタナに遠慮しこちらに被害を出さない様にしたと仮定したなら……?。


 やつがとる、この回りくどいやり方もしっくりくる氣がするのだ。


 サタナが呟いた「僕があいつに知らせてやったから」の()()()()()()()()()()()で間違いない氣がする。


「今は答える氣がない。

 しかし、僕と()()()は、【魔神】を排除し全生命の未来を守ろうと考え行動している。

 決してマスターの敵になる事はないと誓うよ!」

「その返事が聞けただけで結構だぜ」


 ほとんど答えてもらった様なものだ。


 サタナは冥界王を愛称で呼び()()()()()()と遠まわしに教えている。


 アルカディアの目的とはなにか?

 それは【魔神】討伐であると、はっきり明言してくれたのである。


「俺と同じ目的を持つ顔も知らない仲間かい。早いとこ会ってみたいね」

「くす。…………僕も同じ氣持ちだ…………。あのイフマがマスターと認める、地上の勇者よ」


 地上ではない冥界の奥深く。

 そこに君臨する゛誰か゛が笑った氣がした。

アルカディアには彼女なりの考えがあるようです。

ですが、アベルの敵にはなり得ません。


サタナが言うようにサタナ、アルカディアの両名とも、【魔神イブナス】を何とかする事が最大の目的だからです。


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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