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339話 アベルの奴隷都市

五大奴隷都市を手にいれた俺はさっそく改革に乗り出した。


 まずは大掃除。


 そう。ご想像の通りだ。



 五大奴隷都市の市長たちは、俺の事を「レイゾック王とは認めない」などと吐き捨て、ひどい難癖をつける。


 その後、武力で排除しようとしてきたのだ!


 俺も身を守るため()()()()()戦闘行為をする羽目になった。すごく遺憾である。



 ヴォルフのやつは「貴公の計算通りの展開であるな」そう、言い当てちまう。


 レイゾック派は単純なので思い通りに動いて扱いやすいぜ。


 と、言っても俺は戦っていない。した事と言えば、


「アップル、アーガシア、ニャハル、サタナ、コクウ総力戦だ! 出撃(出ろ)!!」

「行くぞみんな。ザマスをつけるの忘れてた」


「はいでガンスにゃあー」

「フンガーフンガー〈※:わかりましたマム〉」


「「真面目にはじめないかい!/はじめるのじゃ!」」


 怪物く◯かな? サタナ、ニャハル、コクウが返事。

 アップルとアーガシアがツッコミをしてる。

 と、この様に『使い魔』を呼び出したくらいだ。


 バビ〇二世が三つの(しもべ)に号令をかける。あの氣分が味わえて、すごく氣持ち良かったぜ。


 奴隷商人の私兵が俺達に勝てるはずもなく、この反乱はあっけない勝利で終わる。




 計画通り事後処理。

 反乱者の処分を行った。


「謀反でしょうね。全員の口から『スロイブ様の為に!』そう言ってるのを確認しております。

 養父(スロイブ)様の関与が疑われます。父君は心の病を発症されたに間違いありません」


 アメシスが白々しく告げる。敵を品評するその声はどこまでも冷たい感じだ。


「ソウカー。ドウシヨウ?〈:棒読み〉」

「姫様の養父様を処刑する事など考えられませんね。代案として心の病が治るまで見張りを付け幽閉…………失敬。

 介護役を付け静養させるのがよろしいかと進言いたします」


「心ガ痛ムゼ。父上ガ早ク良クナレバイイナァ」


 こうして邪魔者は消え去り二度と表舞台には出てこれなくなった。

 俺と五大奴隷都市の戦いに決着がついたのだ。



─────────────────────



 各都市の市長をミラルカ、ルーナ、アメシス、サタナ、ココナに任せる。


 命を商品に扱う現場の長は、冷徹な判断を下せる人物が適任だと思ったからだ。

 選抜したこの者たちなら間違いは起こさないだろう。


 魔族は他種族を管理した実績がある。

 しかも千年間だから信頼できるのである。


 ココナは【人間種】ではあるが、倫理観がブッ飛まくってるから悩む事はないだろう。


「よくぞ私を選抜してくれたのじゃアベル王。例えばじゃが反乱した者は処分して構わんのだろじゃ?

 それなら……ゴク。ただ処分するより、私の手で有効活用してやるのじゃ……。

『サイボーグソルジャー計画』の幕開けじゃーっ! じゃーはははは!!」


 こんな事を平氣で言える娘だ。

 覚悟(キマり具合)が違う。


 俺はテンションが上がりまくったマッドサイエンティストを部屋に残して、扉を静かに閉めたのだった。




 しかし欲を言うと。

 奴隷都市を統括する長。

 この役を任せる存在が欲しい。


 ()()はあるので、今は市長を決めた時点で我慢しとこう。


 さて、アベルが行った改革は以下のとおりである。



・奴隷売買は基本的に今まで通りで良い。


・人攫いは禁ずる。



 改革とついてるが、要するにスロイブと市長を排除し俺の部下にすげ替る。


 人攫いにより奴隷となった人間の売買を禁止にした。

 この2点だけである。


 例えばだが、食うに困る親が口減らしに子を売ったり。

 戦士が負けた方を奴隷にする。

 そんなルールの勝負をし、その後に奴隷となった人間を売りに来る。


 俺はこういう事例はかまわないと思うのだ。


 買い上げて【ななつのくに】に役立つ様、鍛錬を施すつもりだ。 


 兵士になってもらい、きたる【魔神】相手の最終決戦に役立ってもらうぜ。




 この事はミラルカ~ココナに伝えてある。

 なので゛俺の意゛に添うように行動してくれるだろう。


 だが゛人攫い゛だけは絶対に許さない。


 何故なら本人の意思がここに存在しないからである。


 口減らしで売られるのが嫌なら逃げればいい。

 奴隷落ちが嫌なら勝負に勝てばいい。

 そんな選択肢すら消えてしまってるのはフェアじゃないぜ。


 だからこそ、五大奴隷都市において攫った奴隷は買取しない取り決めにした。


 来ても門前払いになるのだ。

 奴隸都市に来る旅費が無駄になるだけである。


 仮に嘘をついて販売した場合。


 虚偽の報告による極刑を許可してある為、そいつには確実な死が待ってる事だろう。


 新奴隷都市では俺が法なのだ。

 ルールがある。でも、守らない。守れないというそんなケダモノには罰を与える。


 当たり前の話である。




「ア・ベ・ル・王! ただ殺すなんて勿体ない。私が【ななつのくに】に役立ててみせるから任せて欲しいじゃ!!

 サイボーグの素材を奪わんでくれぃじゃ!!!」


 うわ!?……なんて……目をキラキラ輝かせる娘なんだろう。


 十人が見れば十人とも惚れてしまいそうな無垢さだぜ。

 俺でも見惚れるくらいだよ。


 その十人も彼女の改造したいという願望を知れば、好きな氣持ちなど霧散するに違いないが。


「ココナの言う事はすっごくわかるよね。殺すだけじゃ勿体ないもん」

「ひいては【ななつのくに】の為。

 大きな戦力を生むのじゃからのぅ。アベルの力になるとわかれば僕は協力を惜しまないのじゃ」


 ミラルカさん何がわかるの?

 ルーナさん、協力とは具体的に何をするんだい?

 各都市から改造素材として、ココナの都市に犯罪者を送るのかい?


「今回はココナに教えられたな。

 昔ジロウが言った魔族では思いつかないアイデアの意味がやっと分かったよ」


 サタナはこの発言の後。鼻をこすり何やら物騒な内容を言ってる。


「処刑予定の罪人はココナの都市へ優先して送ろう。

 マスターの為にどうか役立ててくれ」


 俺はサタナの言葉に頷く他の市長たちを目撃する。

 ムンドモンドに狂科学サイボーグが生まれる日は遠くないな。


「サタナよ。私に任せておくのじゃ!!」


 ココナが差し出す手にサタナ、ミラルカ、ルーナ、アメシスの奴隷都市長が手を重ねた。


 その光景は奴隷都市に来る人攫いたちがたどる()()()()()()を暗示していた。

サイボーグ計画はアベルにより白紙になります。

静養中のレイゾックは歯向かう氣力をへし折られた後放免されました。

テッキ国に行き、心を折られた先輩。ヒトノテキの隣家で暮らしております。

このエピソードの数年後のお話になります。


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