24話 ようやくきた使者
場所を変えた俺とフェン。
フェンは俺に魔王城でフェンを、負かした時に、なぜとどめを刺さなかったのかと疑問をぶつける。
「貴様は戦士に情けをかけたのだ。貴様の仲間の剣士や魔法使いも言ってただろ、仲間にならずしかも本人が殺せというなら『終わらせてやれ』と――なぜ殺さなかった?」
じじい言葉じゃなく口調が昔に戻ってるぜ。
そうか俺がフェンしたことは屈辱以外の何物でもないよな。
目を閉じてぼりぼりと頭をかく俺。
俺はフェンに説明する、ほんとは言いたくなかったんだ。
「俺は旅をする中で二人の魔族を探してた。一人がホーン・ゴルバーだあんたも知る魔王将の一人だったやつさ」
「おい一体何の話だ?」
「まぁいいから聞きなよ」
手でフェンが話すのをおさえて、俺は話を続けることにする。
「もう一人が俺がいた村からエラリオを含めて戦争に連れられてきた村人たちをかばってくれた魔族だ。
タカ派しかいない魔王軍の中でこの男は共存派の変わり者でね『魔族の№2にもかかわらず降格を喰らっても村人たちをかばってくれた』あんただよねフェン・ダリュン」
フェンは目を閉じて何も言わなかった。
そうだ俺はルーヴァンに過去の映像を魔法で見せてもらったんだ。
戦場の最前線に送られたお母ちゃんたちを守るために最前線へ身を投じたフェンは守り切ることはできなかったが村人全員に感謝されていた、
俺のお母ちゃんもだ。
そしてお母ちゃんの最期を看取ってくれた人だった。
「俺には恩人のあんたを殺せなかった。千年前に言えなかった言葉を言うよ。
『ありがとうあなたのおかげで母と村の人たちは戦場の中でも希望を持てました』あたしは恩人のあなたは殺せません」
深々と頭を下げた俺を見たフェンからは怒りはなくなっている。
フェンが握っていた拳はもうほどかれていた。
「なら……あの時になぜ言わなかった。お前が言ってくれれば俺は千年もお前に怒りをもつこともなかったのだぞ」
「ごめん、仲間も見てたし恥ずかしくて」
フェンは大口を開けてあきれながら思う。
そんな理由でわしは千年も待ったのぉーーと。
でも恥ずかしそうに笑うアベルを見ると、不思議と怒る気力もわいてこない。
これでよかったのだとフェンは納得した。
ちなみにお母ちゃんたちを連れ去ったホーンを俺は痛めるだけ痛めつけた後殺してやった。
すこしちがうか、「命だけは見逃してやる」とにがしたんだけど。
結局やつは俺に不意打ちで攻撃したのだ。
俺はやむなくホーンにとどめを刺した。
「ほら~何もなかったよソンク~もジイだって大人なんだから。ふんべつは持ってるって~」
「ソンクウ様無事ですか。貴方になにかあれば私もかたきを討った後、ソンクウ様にお供します」
剣を構えたアンダルシアとミラルカがそう言いながらこちらへ歩いてくる。
なるほど影からこっそりのぞいてたな。
まぁ俺を心配してくれたんだ怒ったりはしないけどね。
この後俺たちは会場へ戻って飲みなおす。
オレだけジュースなのは言うまでもないフン。
ちなみにこんなことがあったよ。
「姫が貴様に気を許してるとはいえ私がゴブリンと一緒に飲むだと。フンまあ一杯だけ付き合わんこともない」
「あれさジイはすごく喜んでるんだよ。ここまで上機嫌なジイを見るのは100年ぶりじゃないかなぁ」
青ざめてるヒトにお酌しながらミラルカは言う。
なるほどめんどくさいじじいだねと俺は、おかしくなる。
兄貴も上機嫌だねと言ったのはオウ次郎である。
「よし決めた! ソンク~僕の国と同盟組んでよ」
「受けたぜ」
周りは固まってたけど、実は前から考えてたんだ。
この体に転生してみてきた事実。
人類と魔族は外見が違うだけで心に違いはない。
そうさ魔族だけじゃなくいろんな種族国家と同盟を組んでみるのもいいかもしれない。
トウ・ダーラじゃできない技術もあるだろうし。
ミラルカが組む理由は単純明快だった。
俺をみて、一緒にいたら楽しい未来が見えたんだと。
なんかありがとうね。
▽
次の日に俺は玉座の間で外部からの人を迎えている。
武力の人材は武闘場でテストされるが、武力以外の。
たとえば鍛冶師や魔法職それに建築被服といった人材は別にテストされる。
最後は直接王が判断することになるのだ。
今、国に魔王がいるのでアンダルシアではなく俺が判断するわけである。
でも、今面の前にいるメガネをかけた金髪ボブショートの女はどこか変な感じがする。
地上の人間が持つ魔力とは違うし魔族でもないし。
「お初にお目にかかるっす。ウチはサン・ンゾ・シーホっす。トウ・ダーラ国魔王ソンクウ様に聞きたいことがあるけど構わないっすか?」
「いいぜ。俺の答えられる範囲でよければだけど」
俺のことばに女は勢いよく立ち上がり、射貫くように俺を見ると言葉をはいた。
「ソンクウ様の正体はアベル・ジンジャーアップルっす?」
へぇ、一斉に剣を抜き女をテスト生ではなく仮想敵と判断した優秀な部下たちを俺は「構わん」と抑える。
サンは暗殺者かもしれないしアンダルシア、ケシ太郎、ベアンそれと弟達よ。
王を守るそのしせいは大変頼もしいぜ! ありがとう。
「ふ~ん珍しい。君さ天人じゃないか神どものつかいだよね」
「めったに下界にはおりてこないんですがなにか事情があるようですな」
腕組みしたミラルカと隣に立つフェンが言った。
天人? 地上にいない種族じゃないか。
大昔、創造神と魔神が戦った『神々の戦い』で神を補佐した2つの種族があった。
その一つが天人である。
「ふん魔神が生んだ魔族っすか、いかにもうちは天人っす。うちはいそがしーっすよ。
弱い下界人はさっさとうちの質問に答えるっす!」
あっ、アンダルシアや魔王将たちが怒り心頭だい。
ケシ太郎と……オイオイアンダルシアも斬りかかる寸前じゃないかまだ抑えててくれよぅ。
「んっゴホン。俺の前世はアベルだぜ、だったらなんだい?」
すごくいやそ~に顔をゆがめてサンは手をバタバタと振り回しながら俺に言う。
「ええ~、予定と違うっす。せっかく使者のうちが来てやったのに~。こんなよわっちそーなゴブリン役に立たないっすよ~。」
俺がおとなしくしてたら言いたい放題言ってくれるな弱い……役に立たないねぇ。
俺は顎に手を当てて思案する。
要は強ければいいんだよね。
「「要は強いってわかればいいんでしょ~ (っすよね)」」
ガッと手を握りながらヒトとミラルカが言った。
俺と考えは同じだ。
なお、俺とサンの戦いはあまりにも一方的に俺が勝ったので割愛する。
【レベルが上がり神々からの祝福を授けます ちからまもりすばやさが600上昇 体力魔法力が450上昇しました。】
これで態度を改めてくれることを願うばかりであると俺は目を閉じてうなずいた。
「ソンク~の強さはこんなもんじゃないよぅ、サポート種の体だもん人間種にもどったらも~っと強くなるからね。そうだ僕が戻してあげようか?」
「ほんとですかぜひお願いします!」
俺はミラルカの手をガシと両手でつかみ言う。
そうだ肝心なことを忘れていたぞ。
神越えの実力者のミラルカは神々にできることも可能だ。
つまり俺をゴブリンから元の人間種に転化こともできる。
聞いてたサンが言う。
「あんた誰っすか? 転化の術法は神と神官クラスでやっとできるんすよ。
それ以外だとできるのは三帝ぐらいのもんっす。とにかく素人が口はさんでるんじゃねーっす!」
説明が省けたな。
俺はサンに彼女が三帝のミラルカだと説明する。
信じない彼女にミラルカは実力を証明した。
カエルに変えたのだ。
元に戻してもらったサンは「下界の人間でも強い人はいるっす」とようやく態度が柔らかくなるのだった。
というより俺をすごいと思ったみたいだ。
魔帝と同盟組んでる部分が大きいんだろうけどね。
使者がようやく来ました、なにしてたんでしょう?
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