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23話 がんばれヒト三郎

 ガッ、キインと音が鳴る……。

 俺は棒立ちのミラルカに何度も技を当てている。

 しかしダメージを与えることはできない。

 ミラルカは過去に連合軍を相手にした鎧を着ることもなく、生身で俺を相手にしている。

 なのにこのありさまなのだ。

 正直これほどレベルの開きがあるのかと驚愕きょうがくする。

 全身の力で振りぬいた俺の剣はもう何度もミラルカに片手で防がれていた。


「なるほど、剣は一流だね。魔法はどうかな~?」


 片手をあげたミラルカの手のひらに大きな火の玉が生み出される。


 火魔法ファイエアなのだが。

 こめられた魔力量は一流魔法使いたち千人分が魔力を集結させた魔法の奥義に勝つだろう。

 ミラルカは不敵に笑うとバンっという音ともに火魔法ファイエアを俺にはなった。

 わざとゆっくり放ったのか? しかし避けるわけにはいかない。


 よければ後ろにいるアンダルシア達にあたるし、アンダルシア達が避けても火の玉は闘技場以外のすべてを焼き尽くすだろう。

 全部わかっていて笑うミラルカの顔は「なんとかしてみなよ」という風だ。


光魔法ライトーラ


 右手からゆうしゃの魔法をはなち何とか相殺しようとする。

 バジュウウウと音がして、ボンッと破裂する音が響いた。

 火の玉は威力を少しそがれただけで俺へむかってくる。


 ミラルカは思った。(まずい。あれじゃソンクウを殺してしまう……かき消すか)

 しかしミラルカがかき消すまえに、彼女の目の前の小妖精ゴブリンは火の玉を打ち破るのだ。

 それはアベルの戦闘センスを垣間かいま見たようだった。

 アベルは左手からためていた魔力を思い切り乗せてはなった。


闇魔法ダースネル!」


 ブンと鈍い音とともに黒い光は火の玉を貫いてミラルカへ当たる。

 だがやられるミラルカじゃないのは闘ってる俺がよく知っている。



 跳躍。

 そしてミラルカへ一気に距離を詰めた俺はシャッとミラルカの首に刃を振り下ろした――ハズだった。


「すごいすごいさすがアベルだよぅ」


 ミラルカに羽交い絞めというよりも抱っこされた俺。

 ミラルカにほおずりされる形になっているが。

 なんだこれ?


「勝負はアベルの勝ちでいいよぅ、この戦いも君の強さを見るのが目的だもん当然合格だよねっ」


(それに攻撃をふさいだ手にしびれと痛みが残ってる。

 こんなの魔帝を名乗ってからはじめてだ。

 アベルにパーティーが揃ってたらと思うとぞっとするよ)


【レベルが上がり神々からの祝福を授けます ちからまもりすばやさが999上昇 体力魔法力が999上昇しました。

 光魔法と闇魔法をスパオーバウルトゥアの威力ではなてるようになります】


 ちなみに俺はアンダルシア含めその場にいた全員から、「さすが魔王様です」と大きな喝さいを浴びるのだった。





「じゃあもとから俺を殺す気もトウ・ダーラをほろぼす気もなかったんだな」


「ないよー。イフマイータじいちゃんの血筋の魔王は【真の魔王】って言われててね、新しく生まれた魔王を査定するんだ。新魔王が人類の敵か仲良くするかは新魔王の好きにすればいい……」

 

 ミラルカがいう査定の内容は一個だけだった『その魔王はこの世界をほろぼす力をもつのか』である。


 世界がなくなれば神々も魔族も、俺たち人類もいられなくなるからである。


「世界なんてもう一回作ってもいいんだけどね。いろいろ面倒なんだよ魔力の循環やらシステムの構築やらでさー」


 世界創造を面倒でかたれるミラルカをみんな引きながら見ている。

 おっと忘れてた。


「二人とも急ぐわけじゃないんだろ今夜歓迎会開くからさゆっくりしてきなよ、特にフェン・ダリュンは俺に話があるだろうしな」


 ミラルカの護衛の立場もあり控えていたフェンは一瞬だけ殺気をのぞかせるもすぐにひっこめる。

 主の顔をつぶす氣はないんだろうね。


「ありがとー」


 何も知らないミラルカはのんきなものだ。





 俺は魔帝をどうにかして制御できる方法を見つけないと、何かの拍子で国が亡びるやもしれん。

 などと思っていたら割と簡単に見つかったのである。


「ねねね、ソンクウあっあのひとだれ?」

「俺の義理の弟だよ。目が高いねオークのオウ次郎だ……いいオークでしょ」


 ぶすっとしたミラルカはそっちじゃなくて~。

 銀髪切れ長の目をした青年を指さす恥ずかしいのかひそひそ声だ。

 なるほどヒト三郎か、俺はヒトに声をかけてこちらへよぶ。


「大兄貴およびっすか」


「ああこちらの魔族のお嬢さんがな、お前と仲良くしたいんだと。ぜひ仲良くしてやってくれ」


 ミラルカはうつむいて小さく「わ~」と言っている。

 俺はそんなに緊張しなくてもいいんじゃないかと思う。

 

 ヒトとオウはソンクウ道場にいたのでミラルカとフェンのことは客人としか聞いていない。

 ヒトに頑張ってもらうしかないだろう。


「いいっすよ、そういや客人の名前きいてないっすけど誰なんです?」


「ミラルカ・イグレスだ有名だからねしってるだろ」


 ヒトの顔からさーっと血の気が引いたそしてヒトはズサっと一歩下がった。


「ミラルカって三帝? やだよ姉ちゃんなにかあったら、俺は確実に死ぬじゃん」


 俺はヒトの首に腕を絡めグイっと引き寄せる俺とヒトの顔が一気に近くなった。


「ばか代われるなら俺が代わってるよ、お前もミラルカが昔大暴れしたの知ってるだろ。そうさせないための手綱がいるんだよ。嫌な言い方になるけどな国を守るためにはひつよーなんだ! たのむよ」


 そして俺はヒトに見せることにした。

 言われるよりも自分の目で確かめさせた方が早いから。


「ミラルカは俺の言うこと聞けるかなー?」


「う~ん、僕より弱い人の言葉は聞きたくないなぁ。ソンクウのことは好きだし氣に入ってるんだけどさ」

 

 表情をかわいらしくぐむ~と変えながらミラルカはいう。

 うむ、断るのは魔族は強きものに従う本能によるものだろう。

 では


「ヒトの言うことは聞けるかな」


 ミラルカはボッと顔を真っ赤にしながらかろうじて「はぃ」といった。

  ヒトは何も言わずに顔を上に向けていた。

 わるいね埋め合わせに今度お前が言ってた俺とマンツーマンの剣の修業しようね。


「アベル、時間はとれるか」


 後ろを向くとイフマイータの右腕と言われたフェン・ダリュンが立っていた。

 龍帝のときにヒトはアベルに同じことをやり返します

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