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21話 新生トウ・ダーラの産声

 魔王になってほしいという魔王アンダルシアのことばに俺は絶対にいやだとこたえる。



「何故なんです?」

 

 そう聞いたアンダルシアの表情は眉に少し力が入り、険しいものになっている。

 俺はまわりをみる。

 俺以外のものは、みんなアンダルシアと同じ顔をしていた。

 俺はみんなの疑問の理由に両手を左右に開いてこたえる。


「前世で王になったせいで夢がかなわなかったからさ」



 俺が魔王を倒したあと、勇者アベルのパ-ティーを支援したエワード王は、アベルを王家に取り込んだのだ。

 姫をあたえて自分の子にした。

 エワード王と家臣たちは俺の子が王になるまでの間だけといい。

 アベルを国にとどめていたが結局俺の子どもも俺にエワード王と同じ言葉をはいた。



「父上は国の防衛力である。父上が亡くなる危険がある旅をさせるわけにはいかない」だとさ。


 俺は続けて言う。



「二度目の人生のときに決意したよ。困ってる人が国をすくってほしいなら救う。でもね王になるなんて願いは絶対にきかないってさ」


 腕を組むベアン、「そんな事が」とつぶやくケシ太郎。

 アンダルシアは目を閉じて額に手を置いている。

 どうしたらいいんだという感じで。

 そのときヒトが口を開いた。



「受けてしまえばいいでしょう! 大兄貴らしくないじゃないっすか。大兄貴のことだ、エワードの奴らを見捨てられなかったのはわかります。

 でもねこの国はエワードのような大兄貴を頼る人間だけの国じゃないんだ」


 ヒト三郎は言いながらかつかつと、こっちへ目をそらさずに歩いてくる。

 そして俺の前で止まった。

 俺の肩をヒトはつかんで続ける。



「俺がいます。オウ次郎の兄貴だって、大兄貴を慕うアンダルシアさん、ケシ太郎、頼りになるベアンさんもいる。みんなが大兄貴を支えます。

 大兄貴みたいに強い人の助けを必要としてる人はきっと、この世界に大勢いるはずです」

「兄者……」


 口をはさむケシ太郎は俺とヒトに「名付けされてるけどぉ、お前は兄弟じゃないからな」と指さしでしかられた。



「人間ひとりと国じゃ規模が違う。当然助けられる人の数もですよ。ソンクウ魔王を俺達だけじゃない、国民全員が待ってるんです」


 それから手を挙げたアンダルシアが補足してきた。

 魔族同士の戦争は国対国の全面戦争か魔王同士の一騎打ちで決まるらしい。

 だから「強きもの」を魔族たちは王にしたいのだ。


 ああ、わかったよ。

 そこまで言われたて受けなきゃ(おとこ)が廃るってもんだぜ。



「私に助けてもらってうれしいって思えたらアベルもさ、困ってる人がいたら助けてあげてよ。お母ちゃんとの約束ね」



 短い緑髪とオレンジの目をした女の人の声がする……。

 俺のなかに一瞬だけ……母の思い出が浮かんだ。

 わかってるさエラリオ(お母ちゃん)

 


 心は決まっている。

 だが、憂いをなくすために聞いておかないとな。

 俺は腕組みするとアンダルシアにむかって言った。

 アンダルシアは笑顔だ。


「魔王になる前にいっておくぜ。千年前アベルは暴れ者で有名だったはずだよ、魔王の俺はこの国を無茶苦茶にするかもしれんぞ」

「ですから森であったあの時より失礼を承知で見定めさせていただきました。

 勇者アベルが、暴れ者と呼ばれる所以ゆえんは『悪を許せない強い怒りのあらわれ』。本当(真実)は、弱い者のためにその力を振るわずにはいられない優しい心の持ち主」


 座った姿勢で、両手の指を合わせ俺を見るアンダルシアの目はどこまでも優しい。



「だからこそ種族は違ってもあなたを慕う()は、あなたから離れないのです、国の運営はこのアンダルシアがつとめます。

 あなたはただ頂点にいてくれるだけでいい。……ソンクウ様お返事を下さい」

「いいともさ! トウ・ダーラ国の魔王はこのソンクウが引き受けた」



 広間にオオオオオオオオオオオと声がこだまする。


 兵士、魔王将、オウとヒトこの場にいる俺以外のすべてが足を踏みならして、両手をあげて声を出す。


 俺の耳には、まるで新しく生まれ変わる国の産声のように聞こえた。



「ところでソンクウ様はお子さんがいらっしゃったんですか?」


 そう聞くのは目を開いたアンダルシアで。

俺の肩をつかむアンダルシアの手は万力のような力がこもってる。


 正直痛い。


 俺は顎に手をやりながら説明する。


 この世界は同性同士でも子ができる。【血脈と系譜を司る神】アーイストークのおかげだが。



「俺とバレンシア姫の間には子はできなかったんだよ。俺を王家に入れたいエワード王は俺と姫の血を使って三人のホムンクルス(コピー人間)を錬金術で作ったんだ。

 だから子供と言えば子供なのかなぁ? 長男シードルが跡を継いで次の王になったよ」


 あれ? なんでアンダルシアとケシ太郎は胸に手を置いてほっとしてるんだ。

 意味わからないよね。

 

 まぁ俺が王になった以上は、国を強くする構想を持たないといけないし頑張っていこう。

 


 この日が『世界の頂点』といわれる「ななつのくに」トウ・ダーラのはじまりの日になった。


【個体名ソンクウが魔王になったのを確認。

 まおうの魔法を習得しました。

 ソンクウには魔王が支配する領土のマナの補正が入ります】



トウ・ダーラ国役職

魔王―タイセイ(本名ソンクウ)タイセイはアベルが夢が大成しますようにと付けた


副王―アンダルシア 国の運営をする決定権はソンクウ またソンクウの影武者でもある、ガウのときは魔王将兼任


親衛隊―オウ次郎、ヒト三郎 二人は魔王将兼任


魔王将―筆頭ケシ太郎、ベアン、ガウ、オウ次郎、ヒト三郎


兵長―マーチドッグ、ハクザ魔王将不在の軍団長


 これからも人は増やす予定 BYソンクウ



「ジイみて、トウ・ダーラだよ。あれなら、あと一日で行けるね」


 魔族の少女は目的地である国を指さす。

 この国に嵐がせまっていた。

ケシ太郎にせがまれたアベルは名前をつけましたけど兄弟の契りは結んでません。

残念だねケシ太郎

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