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20話 王になってはくれまいか

「ここを開けろ! 叩きおられたいか」


 ジクリコウのおとした魔剣をひろったヒトが叫ぶ。

 魔剣は素直に仲間たちを檻から解放した。


「なぜジクリコウにわざとソンクウ殿をつかまえさせたのか。お聞かせもらえませんかな」


 俺にベアンが聞いてくる。

 他のみんなも聞きたいようだったので説明する。

 幻覚を見せたまま光魔法でしとめたら簡単だったのに、ジクリコウの目を覚まさせた理由。

 オウとヒトに見せるためなのだ。


「理由は魔剣への対処だね。あの魔剣は魔法も攻撃ではじくんだ。幻術の俺が戦うのを見てたからわかると思うんだけど、光魔法をうつのはやつが攻撃するのと同時にしたのさ。そうすれば魔剣ではじけないだろ? それだけさ」


「すごい、すごいですよ。あの短い時間でそこまで見抜くなんてさすが勇者アベルです」


「いやいや勉強になるっすよ」


「うんうん」


 アンダルシアとオウとヒトはそう言ってほめてくれる。

 なんだか恥ずかしいね。

 ベアンは深々とお辞儀してるしやめてくれよ。


「ゆっ勇者だとお!? 正体は見た目どうりではないということか」


 ジクリコウが隠し持っていたポーションで復活している。

 しぶといやつだなあ、しかも剣構えてるし。

 でもあの剣は魔剣や神剣のたぐいじゃない。

 ジクリコウを前にしていた時の妙な魔力を感じないからだ(何らかの能力はあるんだろうけどね)。


「余は勝つ、この剣は素人でも達人にする特殊能力があるのだ~。たとえ貴様の正体が勇者でも余が勝ってみせる~」


 戦いのど素人め!

 俺が能力をさぐる前に自分からばらしやがって。

 ジクリコウが持ってた有利性アドバンテージを自分で捨てたんだぞ。

 俺はあきれながら仲間と顔を見合せるとアンダルシアが合図してきた。

【とどめをどうぞ】だってさ。


「剣もいらないね。丸腰で相手してやる!」


「なめるな、魔法にさえ気をつければきさまなんぞ!!」


 俺はジクリコウを力任せに殴り飛ばした。

 ガンっと音が響く。

 ジクリコウは目を丸くしている。

 俺が学んだのはレンタロウだけじゃない、魔法はルーヴァンに。

 剣の細やかさはセルバスに、そして体術はヴォルデウスに鍛えてもらった。


 千年前誰からも期待されなかった、はぐれものたち、はそうやってお互いに高めあってきたんだ。

 魔王イフマイータならともかく。

 魔剣頼みの偽魔王に後れをとるアベルじゃないぜ!



 投げ飛ばし、なぐりけるそのたびにゴツンガツンと音が鳴る。

 ジクリコウは悲鳴を上げていたがお前が傷つけてきた人たちの、痛みはこんなものじゃないぞ。


「これは魔王将を殺されたベアンとアンダルシアのぶん。これはケシ太郎の分。そして最後は百四十年間、お前が苦しめてきたトウ・ダーラに生きる人たちの怒りだ!」



 俺が手をあげて魔力を集中させると、ジクリコウの頭上からジクリコウへむけて光魔法ライトーラがズドンとうちおろされる


 ジクリコウは完全に消滅したのだった。


【レベルが上がり神々からの祝福を授けます ちからまもりすばやさが50上昇 体力魔法力が50上昇しました。

 奥義の1と2を完全な状態でうてるようになります】





 うあっとヘンな声がでる。

 抱きついたケシ太郎の手が……俺の尻をもんでいる。


「ケシ太郎へ、へんなところに手が当たってるぞ。気をつけてくれよ」


「おお、これは気が付きませんでした」


 偶然だろうけどね。

 なぜか鼻の下がのびたケシ太郎はアンダルシアとヒトに小突かれている。

 そして魔剣はアンダルシアの許可もあり破壊されなかった。

 新たな主としてヒト三郎が装備することになる。


「俺でいいんすか? 大兄貴がもつのがいいんじゃ…」と言ってたんだけどそれでいいんだ。


「ジクリコウが落とした時。ヒトの足元へ転がってきただろ。あれは偶然じゃないぜ、魔剣が魔剣の意志でお前を選んだのさ。名前をつけてやるといい、主との結びつきが強くなるはずだ」


 ふふん俺も生前所有していた聖剣にスーパーグレートソードとかっこいい名前をつけていた。

 仲間たちはなぜか「ナイナイ」と否定してたけど

 とにかく俺たちは勝利した。

 この後。

 俺たちは城の外の解放軍にジクリコウ討伐を伝えて戦争は解放軍の勝利で終わることができたのだ。





「魔王様お召しにより参上しました。王城の空気は田舎者の自分にはあわないものです」


「いいえ、いいえ! きっとソンクウ様はなれるはずですよ」


 そう言うのはアンダルシアだ。


 アンダルシアの戴冠式たいかんしきに呼ばれた俺たち三兄弟は王城の玉座で待機している。

 ベアンとケシ太郎はアンダルシアの横にいる。

 俺と目が合うとほほえんでくれた。


 報酬をもらえば旅に出るのもいいだろう、俺はアンダルシアのスピーチを聞きながら考える。


「最後に私が今ここに立つことができたのは白きゴブリン、ソンクウ…。いやアベル様のおかげである。イフマイータが勇者にたおされ千年がたち魔族も人間も変わった、遺恨も随分薄れたのは皆も感じているとおりだ。私は魔族の掟により強きものをこの国の頂点に立たせたいと思う!」


 アンダルシアがベアンがケシ太郎が、この場にいる全員が俺を見る。


「アベル・ジンジャーアップル様。どうかこの国の王になってはくれまいか?」


 ……!? 冗談じゃない。

 俺はそう思った。

ケシ太郎は今回の功績で国民から許しを得ています。よかったねゲシィ 

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