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16話 二人の意志、契約成立の日

 我が家に帰ってきたソンクウは、弟たちにどう切り出すかと思案していた。

 ちらと見たりせわしなく身をゆすったり。

 普段の彼女を知るものからするとあまりにも不自然だ。

 そんな兄貴分に弟たちは声をかける。


「兄貴変だよ、何か言いたいことがあるんでしょ」


「そうっすよ。俺たちは大兄貴から見たら頼りないかもしれないけど、力にはなれるつもりっすよ」


 たしかに俺らしくなかったなーと思い話すことにした。


 ガウいや亡国の王女アンダルシアからの依頼の件だ。

 お姫様は偽王を討ち、国を取り戻すことを望んでいる。

 しかしそうなると問題がある。

 王家のお家騒動に巻き込まれるので勝てばめでたしだが、負けた時は自分一人が死ぬ程度では済まされない。

 一族ひいては所属する村全体に責任が及ぶだろう。

 罪を犯した場合。責任は当人だけがとるのが普通であるしかしジクリコウは普通じゃない。

 アイツは必ず全体に責任を追及するはずだ。

 だから二人が断った場合は俺一人でやる。

 責任が及ばぬように兄弟の縁を切ったうえで、二人をこの国から外国へ逃がすつもりだ。


「俺はもう決めてある。このソンクウをいや、アベル・ジンジャーアップルを頼ってきた子だ。力になってあげたい! オウ次郎ヒト三郎お前たちにもかなえたい自分の夢があるだろう? だから無理強いするつもりはない。この件については、オウとヒトが『自分の意志』で決断するんだ」


 真っ直ぐに二人を見つめる。

 オウとヒトは笑った後口をそろえて言う。

 聞くまでもなく答えは用意していたみたいだ。


「「面白そうな依頼だなソンクウ殿。俺(僕)にも一枚かませてくれよ」」


「おいおい君たち。俺の話を理解できてるかい」


 一人の責任では済まない失敗した時のリスクを話した。

 ふつうは迷いをみせそうなものだが弟たちは即答したのである。

 正直あきれながら、嬉しく思う。

 オウとヒトのその目には、みじんの恐れも迷いもなかった。


「初めてあったあの日に兄貴は僕に言ったよね、つらいときは俺が支えになってやるって。僕は今あの時の兄貴と同じ気分だよ。」


「兄弟の契りを交わした時のこと覚えてます? 俺は『王家流』を教えてくれって言いましたよね。大兄貴はひとつ返事でOKしてくれたじゃないっすか、あれ嬉しかったんすよね、ガキの頃エワード王国で流派の門をたたいた時。俺は言われたんすよ、はじまりの勇者様の流派は貴様のような野良犬に学べるもんじゃないって。悔しかったなぁ」


 そこから人生を投げ出し野盗になり頭として暴れていたとヒトは語る。

 なんのことはない自暴自棄ヤケになっていたんだろう。

 そして。


「ある時珍妙な小妖精ゴブリンに言われたんすよ『教えてやる』『それが誰であろうと』ってね。俺が王家流を習いたかったのは、アベルに憧れたからで今の世界を作ったその人のようになりたかった。」


 ヒトの声に熱が入る。


 「王下流の奴らのことで幻滅してたのが大兄貴に出会って、俺の憧れた英雄はやっぱり俺の思っていた通りの英雄だったって、実感させてくれたんす。だから『ヒト三郎』はアベル(ソンクウ)のいくところには、どこにでも、ついていくっすよ」


 まったく、うれしいことを言ってくれるぜ二人とも。

 オレ達はアンダルシアと直接契約を結んだ。

 報酬は旅をするアベルを国全体で旅費などをもつようバックアップすること。

 それとレッドシュリンプ亭のエビフライ食い放題である。

 


 アンダルシアはこの条件を「きみって欲がないんだねぇ」と言いながら快諾してくれた。

 その顔には満面の笑みが浮かんでいる。

 割愛しましたが、ソンクウが冗談で国庫の金三分の二をくれという蛇足もありました

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