176話 アセンブリー③
〈ドリマス視点〉
俺が居る異次元にあるアセンブリーの会場は、大いに賑わっている。
議会を取り囲み見渡す円形の観客席に俺と、ミコット、ジョフレが座る。
「こっちにポップコーンとジンジャエールちょうだい。んや〜ドリマスとジョフレの分だぜ。
食べながらじっくり見学しよう」
「売り子がいるのか? 美味い菓子だな、飲み物も美味い」
「見づらければ上に魔法で投影される映像を見ればいいですわ。
盟主がまだ来ていませんが時間がきたら、会議は、はじまりますわよ。
各国の王がいるでしょうあれらは【ななつのくに】の運営に、携わる事を許された選ばれた王ですの」
凄いな主要加盟国だけで14人いる。
つまりタイセイは14人の王を従えていると言う事か、ではその上の6つの同盟国の王達が文字通りの殿上人というわけだな。
20の王の頂点に立つ大王というわけか。
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現在の【ななつのくに】
同盟国ー1トウ・ダーラ
2魔族本国イフマナス
3結晶国カラット
4神聖法国パラディーゾ
5竜国ドラグニル
6異世界文化国チキュウ
7隠国リリパラディス
加盟国ー1グォウライ
2魔法学院
3剣士の里
4ゴドーリン
5悪党窟
6アルカイン
7ヒノヤマト
8ヒノヤマトコウ
9エルドラウフ
10バウバッド
11ラビレム村
12エワード王国
13テッキ国
14エルブヘンシエル
支配国ー39国
〈税と魔力を徴収するだけの国〉
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とんでもない勢力の大規模国家群ではないか。
俺がエルブヘンシエルを率いて戦った時がトウ・ダーラ国だけだった事から、タイセイは俺と俺の軍を歯牙にもかけていなかった事がわかる。
舐めやがって、と本来であれば憤るところだがここまで器の差を……言い換えるなら『格の違い』を見せつけられたのだから、怒る氣持ちなど少しもわいてこない。
俺が逆の立場でもそうしただろうから。俺の中に敵対心ではなく、憧れの氣持ちが強くなる。
「時間ですわ」
ジョフレの言葉通り会議がはじまると観客席の証明が落ちて、王達が座る会議の場が集中して見やすくなる。
タイセイは来ていないようだが
「魔王様は用事で送れる場合があるんだぜ、それにアベルおっと……あの人は最後に来ても、立場上問題がないのさ」
ミコットが、んやんや、と俺の疑問に答えてくれる。
それによると各国が抱える問題を提起したり解決を図る話し合いがアセンブリーの目的だが、〈最終的な決定権は盟主のタイセイが持つ〉らしく
加えて【君臨すれども統治せず】がタイセイの方針らしい。
タイセイはいてもいなくてもかまわず、最後だけ『良きに計らえ』と決めればいいわけだ。
とはいえ議会が停滞したりすれば、口出しはすると言う事でタイセイは他の王を成長させるつもりなのがよく分かった。こうして外部から見ているだけの俺だが面白い。
堅苦しい感じがなくて雑談するように国が抱える案件が進んでいく。というか雑談している。
「資材が足りないなら我が国から出すよ。その代わり~~」
「名札付きの客人がわざとうちのモンにちょっかい掛けるんでさ
魔王の大頭は『そういう迷惑な人は客人じゃないからやっちゃっていいよ』と言われるんでやすが、どこまで痛めつけていいのか聞いときたいんで~」
「魔法学院から今期の卒業生を兵士に配属するか、【ラーマオブゴブリン】で冒険者にするか。一応本人の希望があるのですが
まずはタイセイ様に適性を見ていただきたいのです」
ミコットがプースーと居眠りしている。
コイツは何をしについて来たんだ? ジョフレが
「本来ならアニサリーが同行するところを無理を言って代わっていただいたんですわ、貴方はミコットの一番弟子であるパルジファルの子孫でしょう?
ミコットはパージィと喧嘩別れでしたから、彼女なりに貴方が心配だったようですわね」
緊張が解けて寝てしまったのか寝ぼけながら「ん~ぅ」、とジョフレに抱っこされに行くミコット。
そして寝る〈疲れているようだ〉
敵の俺を心配するのか? とはいえ、もう俺の中には
タイセイに対しての敵対心はない。これだけの大帝国を見せつけられ、まして奴は相続したのではなく一代で築き上げたのだと言うから。
完全に、王としての格付けは完敗だと思う俺。
願わくば仲間に入りたいんだがな……。
周りを見れば加盟国の王たちが会議中の王を羨望の眼差しで見ている。
中には野心を秘めた者もいるようだが、徒労に終わるのだろう。
俺は敵対行動を起こす前に、アンサリーにタイセイの偉大さを教えてもらう機会を得たから、ラッキーかもしれない。
「何ですの?」
思えばこいつらにも世話になった。
自分の仕事があるのに俺に時間を割いて、面倒まで見てもらった。
何故かありがとうが言えない俺かっこ悪い
「ゴホン俺の奢り。
お前とミコットの分のジンジャエールだ。遠慮せずに飲むがいい」
これが精一杯です。
「今の貴方は嫌いではありませんわ、ありがとうドリマス、美味しくいただきますわね」
▽
「しょせん戦闘に不向きの小妖精だろう? 頂点と言われてもなあ~」
「ハハハそうだそうだ」
「政治能力だけが高いんだろう? タイセイを倒して子分にしてしまえば俺達は巨大国家の大王様というわけだギャハハ」
ふと彼女を侮る声が聞こえたので目を向けるとエルブヘンシエル軍だった。
そうかタイセイに従う王の数と質を見せられてもまだ、あんな発言が出るようでは見込みがないだろう。
俺ですらそう思うのだから救いようがない。
コイツらはあの戦場にいなかったようだが、タイセイなら今の状況をうまく纏めてしまうのだろうか?
「にゃ~マスターが言う引き締めはそろそろにゃ。みんな用意はいいかにゃ?」
「任しておけぃ大女優もかくやと言う、わしの演技力を見せてやるのじゃ」
ふと俺の目が会議の特別席に座る【神越えの実力者】達にいく。
幕間 人魔共存国家群【ななつのくに】でアベル達がパラディーゾへ行く話がありますが、あれがアセンブリーになります。
当時より人も加盟国も増えて規模が大きくなり、盟主に対して良からぬ企みを持つ者〈とはいえ末端の兵士とかです〉が出るようになりました。
ドリマスのように心を入れ替えるものばかりではないようです。
次回はアベルの視点のアセンブリーです
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