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15話 百四十年前の王家 ガウとアンダルシア

 ガウはソンクウへ話し始める。

 とある王家の昔話を。



「百四十年前のことだトウ・ダーラは別の王家が治めていた、アルフレッド王、その妃アリアルハそして王女アンダルシア。裕福とはいかなかったが国民からの信頼は厚く、大きな戦も起こらずに幸せな日々が続いていた。

 だがその平和も長くは続かなかった、アルフレッド……魔王名ヤーレルが誇る九魔王将、そのひとりにアクジャが加わったあの時から平和は壊れ始めたんだ。」


 ガウは拳を強く握ると話を続ける。



「ソンクウ殿が生きていた千年前では考えられないことだろうが、平和な世になればあんな無能者のアクジャでも家柄と金にあかせて不相応な地位を手に入れることができるのだ」


 ガウは続けたアクジャという男は実力はないのだが、それに反比例して野心はどこまでもとどまることがない男だと。

 そしてアクジャに野心をかなえる力などなかった。

 しかし。





「父上母上はいずこか? 」


 護衛のものにそう声をかけるのは男勝りで有名なアンダルシア姫である。

 誇りある魔王将に名を連ねる面汚しの除名を、父王ふおうと王妃に直談判するべく探していたのだ。



「ヤーレル王は奥方様を伴い遠征中です、急がれずとも近日で戻られますよ」


 おてんば姫につけられた近衛は内心困りながらこたえる。

 アンダルシアは男に生まれていればと両親を困らせており。

 国中にも影でそう言われるほど娘らしさとは無縁である。


 年頃の娘が恋話で色めき立つところをアンダルシアは幼少のころから剣術、馬術、魔法を好み修練を積んできた。

 そのかいあって今では魔王将を除く城の戦士など、相手にならないほどの腕に成長した。



「今の平和な世ならあのような愚鈍にたいそうな役が付くこともあるだろうそれは良い。私が危惧しているのはあ奴のその身に収まらぬ野心よ。放っておけば必ずやわが王家に災いを呼ぶだろう」


 アンダルシアのかんは外れたことがない、幼少のころからそうだった。

 近衛騎士の男もうわさで聞いたことがあるが、アクジャは最近珍しい剣を手に入れ領地を勝手に広げている。


 報告はヤーレル王が戻られた後でもよいかと思っていたが……。



「わかりました。姫のかんは外れたことがありませんから、ヤーレル王への連絡として早馬を飛ばします、同時にこちらでもアクジャの近辺を探らせましょう」


 この判断が早ければのちの歴史は変わっていただろう。

 しかし時すでに遅し。



 力を手に入れた悪鬼の手は父と母の命を奪っており下克上は完了していたのである。

 ヤーレル王アリアルハ王妃を殺し王の座を簒奪したアクジャは習わしに従って魔王名を自らに名付け、ジクリコウと名乗り始めた。

 


 そして王家の力たる魔王将たちは二つにわかれ相争った。

 前王家に恩義を感じアンダルシアにつく派閥と、新魔王ジクリコウにつく派閥である。

 別段不思議ではない。

 人間ヒト種とは違う理を魔族は持っている。

 それだけのことなのだ。



「そうか魔王将の下克上だね」

「その通りさ。私達魔族の世界では下克上は忌避きひされるものではない。我々魔族が求める王とは常に『強きもの』だからだ。

 それでもアンダルシアについてくれた魔王将たち……彼らには感謝しかない。アンダルシアを魔王に擁立するため、前王家に報いてくれた者達だった」


 結果からいうと失敗した。

 目に涙をためたガウは語る。


 敗北に終わり、アンダルシアについた魔王将のうち三人は討ち取られ、


 最後に生き残った一人が逃げる中で外部の協力者を雇い、命からがら姫を身一つで落ち延びさせたのだという。

 アンダルシアは逃走中に気絶しており協力者が誰なのかはわかっていない。

 生き残りの魔王将ベアンとは落ち延びた村で分かれた。


 そしてベアンからの助言によりアンダルシアは自身を消し去ることにしたのだという。



「万象の神々が一柱、【輪廻と転生の神】カルナティオと魔法の交渉をおこない新魔法、身体改造ナルセイクを習得した私はこの魔法を用いて。

 アンダルシアから魔族の男ガウ・コーイへと姿を変えてこの百四十年を逃げ延びたのだ。

 この魔法は世界でも私にしか使えない。ジクリコウも姫を探し続けていたよ、そんな女はこの世界のどこにもいないのにな……」


 だいたいわかった王家の生き残りとなった姫は復讐のために姿を変えて機会を待ち続けたということか。

 ふむ。


「返事は待ってくれるかい? 弟達にも話をして決めてもらわないといけない『命を懸けてくれるか』ってさ」

「わかった、四日待とう。その時は……いい返事を期待してるよ」


 俺は外に出てひと伸びする。

「 んっ」と声が出る。

 さてどしようか? いや愚問だな。


 ソンクウの胸の奥の炎が揺らめいた。

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