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167話 オニオとトトニカとマルヴァの縁①

 オニオとトトニカの二人は冒険者だった。

 努力の末A級に上り詰めた二人は、自分達を頼る新米の冒険者三人とパーティーを組み【守護者(プラエフェクトゥス)】を結成する。


 オニオとトトニカが弟子の三人に攻撃手段と防御方法それと魔法を惜しみなく伝授した事により、足手まといだった三人はまたたく間に同格のA級冒険者となる。


 ただし弟子達からすると二人は用済みになった『目の上のたんこぶ』でしかない。

 そんなある日、特殊なクエストを二人に届ける弟子達。


 その内容は邪妖精の集団が近隣の町を荒らし、やがて脅威が王国に達すると王が冒険者組合にクエスト達成者には高額の報酬を出すと言うものである。



「妖精はまやかしに長けているからな、私は正直受けるべきではないと思う」

「我もオニオの意見に賛成だ50年前の死霊王ザルトの件と、こいつは同じ匂いがする。

 英雄アリスと仲間でようやく倒した魔物の同格だぞ、我達はアリスのパーティーの強さに達していないからな」


 師の意見はいつも正しいが今回だけは別だと弟子は強く食い下がる。

 王は高額報酬とは別の報酬に、クエスト達成の冒険者を貴族にすると約束していたからである。


 その結果欲に突き動かされる多くの冒険者達は、邪妖精が根城にする魔の森に入ると、二度と帰ってくる事がなかった。



 クエスト達成者となった【守護者】が森に入り、勇者デロワイアルと協力して邪妖精を討伐したと弟子は後に語る。

 だが代償は大きくオニオとトトニカは邪妖精との戦いでその命を落としたと伝えられた。





〈魔王マルヴァピーヨ視点〉


 ムンドモンドの生み出す力が弱いのは何が原因なのだろう。


 俺が調査した結果レベルが低い神が大権を扱えないせいだと言う事がわかる。そのせいで成長限界をすぐに迎える個体が多く、生物はこれ以上の強さが望めない。


 個人だけならまだいいが世界そのものが弱いせいで、食料となる魚や動物の数が少なくなり、争いが絶えない環境になってしまっているのだ。


 このムンドモンドの結末は生命がいない虚無の世界になるのが目に見えている。



「そんなのは絶対にごめんだ、俺がムンドモンドを正常な状態に戻してやる。たとえ、そう! 天界の神々から大権を奪う事になってもだ!!」


 俺は魔王軍を結成するが下衆な幹部と粗野な部下がいっぱいなのは、氣のせいではないだろう。大事の前の小事と考え、氣にしない事にする。

 本当なら自分の片腕となる強力な味方が欲しい所なのだが……。



 部下が慌てて侵入者の報告をしてきたのがそんな時だった。

 見た事もない強さの二人組が、【色違いの魔物】を探していると城に乗り込んできたらしい。



「「私はオニオ/我はトトニカ。お前が異世界最強の魔王だなお前は色違いの、珍しい魔物を見た事がないか?」」


 強い。それが俺が二人の姉を見た最初の感想だ。

 二人と戦うが敗れる俺。


「世界を元に戻したいのか。大変そうだな、どうしようトトニカ」

「我はオニオが手伝いたいなら異存はない。

 どうせ魔神から異世界に島流しにされた我らなのだ。マルヴァに手を貸して、住みよい世界にするのもいいんじゃないか」


「私達を味方に入れときながら馬が合わない理由で、異世界に放りやがって馬鹿魔神めー」そう憤る二人に頭を下げて味方になる様に頼み込む俺。


 魔王の俺より強い二人を味方につけられれば怖いものなしだ。

 神から【大権】を奪う事も容易いだろう。



 俺はオニオとトトニカの弟分になり、我が魔王軍はすごい勢いでムンドモンドを制圧していく。


 地上を支配すれば俺の邪魔をする種族はいない。


 後は天界に攻め入り【大権】を制御して世界を元に戻すだけだ。しかし



「マルヴァピーヨ様! 我が魔王様にご報告申し上げますエワード王国を攻めておりましたカ、カマセー師団長が勇者アベルに敗れました」

「勇者アベルがこっちの世界に来ただと!?」


「昨日感じた次元を開く魔力振動は神々が起したものだった。

 そうか……魔神が異世界に封じた七勇者はレイン・ボゥだな、神めアベルを使い取り返しに来たか」


 姉上達の言葉はその勇者が脅威であるニュアンスを含んでいる。

 勇者アベルか……姉上が探す七勇者の捜索と、俺のムンドモンド制圧の阻止を、こいつならば簡単に成し遂げてしまえるのだろうか?





〈現在〜アベル視点〉



「姉上ーーー」


【神越えの力】に取り込まれるオニオとトトニカを助けようとマルヴァが駆ける。


「よせ二人に触れたら、君まで取り込まれるぞ」


 レインの忠告が聞こえているにもかかわらず、マルヴァが駆けるのをやめない。


「助けるおつもりですかじゃ?」


 ちんまい胸にニャハルを抱くアーガシアの言葉を聞いて、考えを話す俺。


「トトニカとオニオそれとマルヴァは失いたくないと思える強者(もののふ)だからね。

 魔神討伐に強い味方が多すぎたとしても、それで困る事はないだろう?」

「にゃーー『意味︰さすがマスターにゃ』」


「アベル殿の御心のままに」


 とはいえ、先に「お助けいたします姉上。ぐわーー」と再生に取り込まれている、あのマルヴァを救わないといけない。


 俺は印を結び口から呪言を発す。


「アベルが世界の条理に命ずる。【神越えの力】よ、 動 く な!!!」


 金縛りの術・改『定身(じょうしん)の術』により三人を取り込む動きがピタリと止まる。


【神越えの力】を宿した事によりオニオ達を起点に再生が起こっている。だから、助けるには【神越え】の力と彼女たちを切り離してあげればいい。


 そのために俺は念動力を使い【神越えの力】と切り離した

 オニオとトトニカを、〈空間移動〉で俺の広げる両掌の下に移動させる。

 同時に二人の体を〈全回復〉で復元する。ただし服まで作るのは難しく裸なのは諦めてほしい。


 裸で倒れこむオニオとトトニカを「姉上無事で良かったー」と抱き起こすマルヴァ。


 うむ無事だ。無事だから文句は一切受け付けません。


 ミラルカとニンフェディーネも再生が完了するが、全裸である。俺とレインは二人に布をそっとかけてあげる。


「ニャハルも元に戻してあげるよ」


 俺が指をパチンと鳴らすと彼女の封印が解けて、アーガシアの胸に抱かれる猫は裸で彼女に抱き着くニャハルへと変化する。



 この後の魔王城は【神越えの実力者】の三人と、十英雄の二人が服に着替える、なんと言うか氣まずい空氣が流れるのだった。

オニオとトトニカの最期はデロワイアルにはめられて森の妖精に食い殺されました。その事から二人は勇者と言う存在を憎んでいます。

二人が他人を信じられるようになるのは、真っ直ぐに自分以外の存在の為に生きられるマルヴァを見てからなのです。


アベル達神越えが他人を再生する時相手は全裸になります。ココナもそうでしたが、実はアーガシアは一瞬で相手に服を着せる〈早着替え〉の魔法が使えます。

でもアーガシアはアベルの面子を考えて黙っています。

その為全員が、アベルが出した服に着替えています


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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