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161話 嫌な予感

 魔王城の中はすごい既視感がある。

 前面がバウバッドの王宮で、後半がミラルカの城にそっくりなのだ。


 俺の警戒心もあってはいけない事だが薄れていくのがわかる。

 だって未知ではなく、既知のダンジョンだもの。どこに何があるのかわかるし、殺気と氣配をビンビン感じるぞ。


「階段の裏に隠れている魔王将と、その手下! 不意打ちで俺達を狙っている」

「くっそぁ、死ねい勇者ーー。ぐむ」


 妖六郎にフランケンシュタイナーを喰らい絶命する、名も知らぬ魔王将が隠れているポイントすら熟知しているのだ。


 残りの魔族はミラルカが〈圓明○の斗浪〉で仕留めた。

 彼女の精神は、歴史の影ではなく闇に生きる一族よりかもしれん、恐ろしい。



「ふむ、【永夜の夜明け(俺達)】が千年前に見た玉座の間をふさぐ門にそっくりだね。装飾品が寸分たがわずに同じなのが、平行世界らしいと言えばらしいよ」



 千年後にこうして魔王の孫娘とパーティーを組んで、ここを通るのだから人生は面白い。


「く~~腕がなるよ~~。」


 ミラルカは腕がなると言いながら、何故か腕が関係ないタップダンスをする。綺麗なフォームに思わず見とれてしまうぜ。


「この並行世界でも勇者アベルは神託に従い、仲間を集めて~、などと伝記ができるのかのぅ?」


 元の世界ではヒトのやつが『真・アベルの伝記』を完成間近だった。だからこっちではアルマが伝記をエワード王国に都合よく脚色をしてもいいと思う俺。


 ジレオンならごめんだがアルマはいい子だし、そんな子が脚色するのなら【必要な処置】なのだろう、そう思うようにする。


「にゅ~~~? にゃにゃ?」


 ニャハルは何もない空中を見続ける。

 ねこ獣人特有のものだ。


 何か氣にでもなるのだろうか? 集中すると僅かな魔力の残滓を感じる。

 氣にしすぎてもしょうがないね、置いとくかな。


「帰ったら姉者と鍛錬して(遊んで)、それからジョフレに新しい魔法衣を朕の分と兄弟達の分を作らせて……」


 妖六郎は勝負の前に勝った後の事を考えている、これはいかんね。


 格下に見える相手でも勝負が決するまで何があるかはわからない。

 本来なら諫めなくてはいけない所だが。俺達のレベルはトータル340,000(三十四万)なので、負ける事がないと断言できる数値だ。


 特別に見逃してあげよう。



 俺は気持ちを入れ替えて門に張られた結界を打ち破る。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だが、今の俺からすると紙を破く労力と変らない感覚で破壊できるのだ。



 玉座の間に入った瞬間にトラップが発動する、パーティーの仲間である五人のうちの二人。


 情けない話なのだが『俺とアーガシア』が、別空間へと転移させられてしまう。


「結界を意識させての二重トラップか、ちょこざいじゃのう」

「マスタァー」


 俺はここからさらに、分断されないようにアーガシアの手をつないでから、心配そうな声と瞳を出すニャハルに言づけする。


 パーティーがバラバラに動く事がないようにするため、司令塔を決めておかないといけない。


「ニャハル。俺とアーガシアがいない今はお前が俺の代わり(メイン)だ。

 俺達が戻るまで頑張ってくれ」


 パシュンと言う音と一緒に空間の揺らぎが起こり、転移が完了する。





 転移と同時に俺の体には高重力がかかり、地面の突き出る針に向かって速度を増す。

 両手で針を掴んで逆立ちの姿勢で食い止める俺。アーガシアは針の上につま先立ちでチョコンと乗っている。


「危ないなぁ、転移する時に致死性の魔力を二重に感じたけれど、一つ目は串刺しの針ってわけだね」

「むぅ……そうすると、後一つトラップがあるはずなんじゃが」



 ガコン、カツン、カツン、カッカッカと何かが組みあがる音がする。

 もう一つのトラップがどういう物か、すぐにわかった。


 針の犠牲者となった地面に散らばる骨が組みあがり、魔力でかりそめの命を与えられる。

 そして敵である俺達を攻撃してくる。スケルトン軍団だ。


 こいつだけではなく地下の広間にはデュラハン、リッチといった不死族系モンスターの、巣窟になっていたのだ。


「たくさんいるけど、俺達のレベルの前では烏合の衆なんだよね。まぁいいさ魔王討伐の前の準備運動だ」

「アベル殿、今ニャハルに結界を張らせるように念話の指示を終えたのじゃ。マスターはゆっくり返ってくるにゃじゃと」


 ニャハルのやつは頼もしい事を言うじゃない。

 同時に嫌な予感がぬぐい切れないのは思い違いではないだろう。


(俺も結界を張るから神越えの力は抑えずに、危険を感じたらガンガン使いなよ。わかったかいニャハル)

(にゃ? マスターが直接結界張るにゃ。わかったにゃー)



 襲い来るスケルトン達を蹴散らしながら念話で伝えたい事は伝えた俺は、敵をやっつけ終えてから玉座の間に帰るとしよう。


 戦力的には大丈夫なはずなのだが嫌な予感が一向に収まらない。


 アベルを襲う不死族の中に戦いに加わらずに腰を落ち着けて、アベルとアーガシアの戦いを見る奇妙なスケルトンがいたが、この時の俺は氣づかなかった。

「後ろの天津○手刀でオラを狙ってる」

やられた魔王将の名前はイヨーワと言う、マルヴァの魔王将最弱です、足手まといになるから城に置き去りにされたみたいですね。

ヌケ○ク「俺にも手柄を立てさせてくれよ」

アベルが残った三人の中でニャハルをメインにしたのは、アベルと繋がり、自分から色々な経験を吸収しているからです。アベルは俺がいる状況とそう変わらないはず、と考えたようです。

トータル34万の内訳です〈アベル10万、他の神越え6万〉


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      彦馬がよろこびます

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