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外伝 テッキ国復興記②~ガンバリヤ姫が見た世界の頂点~

〈テッキ視点〉


 私は今トウ・ダーラに来ており周りを、小妖精(ゴブリン)の子供達に囲まれている。

 何故こうなったのかと言うと





 私はトウ・ダーラに行く途中、奴隷市場で小妖精を一匹買っていく。私のペットにするわけではない。

 かのトウ・ダーラの魔王タイセイは、白い小妖精を寵愛していると聞いたので土産にするのだ。


 この場合正しくは献上品かしら?


 タイセイの庇護を求める各国の王達は競う様に、小妖精を送りタイセイの機嫌を取ると聞いた。私だけではないのだ。


 他に土産が思いつかないので噂を信じる事にする私。


 タイセイが一代で築いたと言う、新生トウ・ダーラ国はどんな国だろうか。

 トウ・ダーラを知る人間の感想はこの二つに分かれる。


「噂が肥大しているだけで世界の頂点は嘘だ。普通の国」

「桃源郷で無二の国、世界の頂点だ」


 どちらの感想もトウ・ダーラを実際に見てきた人間の言葉であるが、ここまで、感想が違う事があるだろうか。

 何か秘密があるとしか思えない。


 まぁいい、実際に行って私の目で確かめれば済む事だ。そしてテッキ国を救うために、トウ・ダーラの真実は桃源郷(世界の頂点)でいてほしいと思う私。



 トウ・ダーラにつくが、普通の国だった。


 噂で聞くゴーレムも、珍しい馬車(チキュウから数台購入した車)も走っていない。

 魔王ジクリコウが支配していた時と同じ風景だ。タイセイになり国が一氣に栄えたなんて、

 嘘っぱちじゃないか。



 私が氣落ちして肩を落とした時だった。


「トウ・ダーラへようこそ旅人さん。

 魔王タイセイに何か頼みごとがあるんでしょう?」


 珍しい色をした【白い小妖精(ゴブリン)】が話しかけてくる。

 聞けば国を覆う結界の揺らぎを感知してきたと言う事だ。

 そういう時タイセイは部下を行かせて、その客人を『同盟相手か招かねざる客』なのかを判断するという。


「なるほど魔王は直接動かずに、信頼の置ける部下に判断させて連れてこさせるんだな」


 バレガンが言う内容は私も思った事だ。


 わざわざ、危険かもしれない相手の前に姿は見せないだろう。

 相手は客のフリをする暗殺者かもしれないから、王として当然の判断だ。


「そうだよ〈全然違うけど〉魔王様は判断するなら『()()()()()』と言われる方でさ。

 将来の味方になるかの判断は他人任せにできないのさ、だから、俺にはお行儀良くした方がいいよ。

 俺ならタイセイに口ぎきして君らの心証を良くしてやれるからね」


 ソンクウと名乗るゴブリンが、きししと歯を見せて笑う。


 私は不思議な感覚を覚える、目の前の小さなサポート種のゴブリンが山脈よりも大きく感じる、そんなはずはないのに。



 しばらく歩くとたくさんのゴブリンの子供達がソンクウに集まってくる。

 ソンクウは彼らのリーダーなのかもしれない。

 ヒソヒソ何か話しているが、小声で聞き取れないわ。


「あの人達テッキ国だよ。タイセイ様の敵じゃないの?」

「どうだろう? 魔神を倒す味方になるかもしれないし、敵かもしれない。だから今から、そいつを、確かめるのさ。

 あとソンクウはタイセイのペットだからね、彼らの前で俺をタイセイの名で呼んではいけないぜ」


「「はーい、ソンクウ様」」

「怪しまれるから『様』もなしね」



 ソンクウは私達を連れて大闘技場へ向かう。


 城へ向かう道中の会話の中でリガンバーが「サポート種が多い国なんて大した強さじゃないかも」、と言ってしまい

 それを聞いたソンクウが「いいぜ。トウ・ダーラの実力をお見せしようじゃない」と言ったからだ。


 非はこちらにある。


 後でこの事が、タイセイの機嫌を損ねる要因にならなければ良いのだが。


 リガンバーは我がテッキ国の最強の兵士だもちろん頭に()()()が付くが、レベルで言えば6000(英雄級)あり、私がトウ・ダーラに着くまでに、一人で全ての魔物をやっつけたコボルトである。

 奴隷状態から買い取られた後で、研鑽を積み、英雄級になったコボルト。

 世の中上には上がいると知っているが、私はリガンバーよりも強い人物を見た事がない。

 





 大闘技場に着いた。広すぎる舞台の上に獣頭の騎士がいて、

 ソンクウは彼をベアンと呼んでいる。


 それってタイセイの魔王将の一人じゃないか。


「おおタイセ……ソンクウ様、ゴホ……ソンクウ殿! このような場に来られるとは、一体どんなご用事ですかな?」


 ベアンは恭しく頭をサポート種に下げる。

 それに同調して周りにいる兵士たちは剣を構え、姿勢を正した重い雰囲気を醸し出す。


 ソンクウと言うタイセイの『お気に入り』は、見る限り高い地位にあるようだ。


「急に兵士登用のテスト中の中、来てすまないね。

 こちらのガンバリヤ殿の護衛のコボルトが、なかなかの強者らしいんだ。

 テストでうちの兵士と戦わせてくれないか。強者ならタイセイが、掘り出し物だねって喜ぶだろうし」

「かしこまりました! 聴いたか王の騎士よ、我こそはと思う者は名乗りを上げよ。

 日ごろ鍛えし自らの強さをソンクウ殿にお見せする機会だぞ。競って舞台に上がるがいい!!」


 凄い熱狂だ。


 たかがゴブリンに試合を見せる理由だけで、人はここまで熱くなれるのか? そう思わずにはいられぬ異様さを、兵士たちは見せている。


 ちなみにリガンバーと言うテッキ国最強の兵士はトウ・ダーラの上級兵士にやられた、その後で、ただの兵士にもやられる。


「英雄級でも6000程度じゃこの程度かな。〈全回復〉は掛けたけどまだやる?」


 回復しながら、あきれた顔で言うソンクウ。

 リガンバーはサポート種に、そこまで言わたら引っ込みがつかないだろう。

 トウ・ダーラ国はさらに対戦者の質を下げて小妖精の子供が相手をするらしい。


 いくらなんでも、こちらを舐め過ぎである。


「うおおーー戦いを侮辱するなー」、と叫び突進するリガンバー。後で知った事だがトウ・ダーラの国民は全員が【王家アベル流】が使えるそうで……


「キャヒィイン」


 テッキ国最強の兵士は一撃でのされて宙を舞う。

 私は、まるで夢でも見ているような感覚で、目の前の光景を見つめている。

トウ・ダーラの評価が二つなのはアベルがそういう風に、見える結界を組んでいるからです。

敵意と疑いがあれば、ジクリコウ時代のトウ・ダーラに見えます。

ガンバリヤは敵意はなくても疑いがあるので、結界が発動して普通の国に見えたんです。

アベルは結界の反応で部下へ自分をタイセイ〈現実のトウ・ダーラが見えている場合〉とソンクウ〈ジクリコウのトウ・ダーラに見えている〉として扱うようにいい含めております。


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      彦馬がよろこびます

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