外伝 テッキ国復興記~テッキ国のガンバリヤ姫~
〈ガンバリヤ視点〉
「どうするのです、どうするのです、我々はどうすればよいのですかぁー」
とある国の玉座の間に困窮する大臣の、そんな言葉が鳴り響く。
今日だけでなく、連日この男はこの調子だ。
最初の王は国の危機をどうにかできずに退位した。
次の王も同じだ。
次の次、その次、次の次の、その次の王も結果が出せない。
今は私の番と言う訳である。
自己紹介をしようここはテッキ国、私は新テッキ王のガンバリヤ・テッキである。
王と言えど大したものではない。
先ほど述べたようにヒトノテキ王が退位した後で、何人もの王がテッキ国に現れたのだが全員失敗したのだ。
王家の遠縁にあたる、下級貴族の娘の私にお鉢が回ってきた、それだけの事である。
この国は周りの国々から交易を絶たれて、絶賛ド貧乏の金なし国になってしまった。
ヒトノテキが禁忌兵器を使用した事が周りの国にばれたからだ。
最初は私の父に新王の話が来たのだが、父は無理だと辞退して娘の私が王になった。
もちろん家臣からはお飾りの王に見られて本来であればガンバリヤ女王、
と呼ばれるところをガンバリヤ姫と呼称されている。
私を王と認めていないのである。
見ていなさい! 荒れたテッキ国を前以上の国に立て直して、家臣達に認めさせてやるんだから、と思う私。
「視察に出ます。用意しなさい」
「あー、姫様の共周りは仕度せよ」
明らかにやる氣のない大臣の声。
私の護衛につくのは元奴隷で、買われた後で兵士に登用されたコボルトで、
見た目は縦に長い二足歩行の犬と言う感じで癖があり、よくハッハッハと舌を出している。
もう一人は黒ぶちの眼鏡にピチッと撫でつけた髪が七三に分けられている。
背は低いが筋肉質で、禁忌兵器に魅せられてこの国に居ついたドワーフと言う変人だけだ。
この国に人材がいないだけでなくて私が期待されていない事が、ありありと、わかる人選だ。
余計に見返してやろう、と言う氣になってくる。
「それでガンバリヤは何する?」
リガンバーの言葉に視察する話を聞いていないのか?
そう心で突込みを入れる私。
「この国はもう終わりに向かっているよ。国が無くなる前に禁忌兵器を僕に譲渡するって契約して」
うるさいぞバレガン、私の国を勝手に終わりだと決めつけるんじゃない! まぁいい今は、この国の現状を確認する事が大事だ。
私は二人を連れて、ボロボロになった城を出る。
▽
国には活氣が失せている
・交易に頼っていたため、交易を絶たれた結果は資材、食料、軍備がない、
言い換えれば国として成り立たない状態なのだ
・国民は他国に移住、当然自分の生活を守るためである。
他にまともな生活ができる国があるから仕方がない
・国にいる貴族は既得権益にしがみついているが、現状がわかっていない。
まともな貴族は自分の領地を守るのに精一杯で、テッキ国自体をどうにかする力がない
あれ? 詰んでる。
「この国はもう終わりさ、誰が王様になったって遅かれ早かれ滅亡するんだ。誰もガンバリヤを責めたりしない。
かの【鍛冶王ワーグナー】すら従える、【魔王タイセイ】を敵にした事が運の尽きだよ」
「わかっているわよ、でも運が尽きたなんて認めないわ。」
タイセイに恨みはない、客観的に見た場合に世界征服をするテッキ国が悪で、タイセイは野望を阻止しただけだから。
もっとも私が聞いた話だとタイセイはその場にはいなくて、
代理のソンクウと言う白いゴブリンが戦ったそうだが。
▽
この後私は白いゴブリンのソンクウと戦う、つまりこの国を滅亡する原因を作った男を見舞うが、病院のベッドの上のヒトノテキは生ける屍になっていた。
「あーーーー。ひひひぃミラ……カ。ひゃああうソ、そそそソングウ」
戦いの中で、精神が蝕まれる恐怖を味わったのが想像できる。
この男はとっくに罰を受けていたのだ。
国に帰って来た時はまともだったのだが、夜な夜な精神が錯乱して、恐らくは国が崩壊していくプレッシャーに精神が持たなかったようだ。
せめてまともに戻れるように祈ろう。
▽
「ガンバリヤはあんな奴氣にかける必要ない。
国が貧しくなったの、ヒトノテキのせいだって、子供でも知ってる」
「リガンバーそんな風に言うものじゃないわ」
私は護衛のコボルトの頭を撫でる。
その時、唐突に、本当に閃いた!!
まだテッキ国にあるコレで、国の立て直しができるんじゃないか?
それから向こうの王が喜ぶ土産を用意すれば。
私は自分の顔がにやけるのがわかる。
「今からテッキ国を立て直すために旅をするわ。いい、リガンバー、バレガン。
行き先はテッキ国と因縁がある場所トウ・ダーラよ!」
「「はい!?」」
素っ頓狂な声を上げる二人をよそに確信する私。
そうだこの方法しかない
アベルに敗れた後のテッキ国の話です。時系列はトウ・ダーラとエワード王国の戦争前になります。
ガンバリヤは王家の血が流れる下級貴族ですが、末端すぎてほぼ平民のような生活をしており
父と母と何より、自分の生活を良くしよう、と奮起するのでした
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