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155話 聖剣奪還⑤むなしい決着

 俺の剣はジレオンには振り下ろされずに、俺に来た攻撃を弾く。

 驚いたな、ライトとレフト、倒した二人が復活している。


 ジレオンは奴らを【俺の細胞を使った上級悪魔】、と言っていたね。俺はジレオンの前に奴らが来たために入れ替わるようにして、三人から距離をとる。


「死ぬかと思った、はぁーはぁー。……はは、はっはっは。悪魔の体は決して神越えのアベルに、劣ってはおらぬ。

 見よアベルもう一人の貴様の姿だ! お前にこの悪魔が滅ぼせるかぁー」


 鎧から這い出る不定形の肉は一つになると()()()()の姿となった。

 同時に凄まじい魔力と闘氣が、その人物の体から嵐となって発せられる。


 よりにもよってこの姿かい悪趣味だぜ。



「女の悪魔か、知らない顔だぜ」


 千年前と違いこいつの肖像画が今のエワードにないのだろう。シャウは知らないようだ。


「肩まで伸びた毛先が縮毛の髪型と、子供より少し高い〈つまり背が低い〉身長。

 あれにジレオンが憑依する姿を想像したら気持ち悪いもん」

「アベルさんだ。今の小妖精になる前の、人間種のアベルさんの姿が悪魔の体で作られている」


 ニオの言うように気持ち悪いよね。ハジメの言う通りに人間種の時の俺の姿がそこにある。

 ジレオンを倒したら氷漬けにでもして、記念に飾っておくか?


「驚いているようだな、この上級悪魔の体には聖剣アルファにくっついていた【アベルの魂】を入れているのだ。

 たとえ、アベルが相手でもわしのアベルは負けん!! アベルさあ目覚めよ。

 同じアベル同士で殺しあうのだ!!」



 そう言われ目を開いた悪魔アベルの目は今の俺の目の色とは違い生前の色を有している。

 小妖精(今の体)の目は金色なのだが

 悪魔アベルの目は炎を連想させる。

 金色の虹彩を備えた赤目で、別名火眼金睛(かがんきんせい)と呼ぶ特殊な瞳をしている。


 俺って昔はこんな目の色をしていたな~などと、のんきな感想が出る。

 でも妙だなアイツからは殺意を感じない。

 しかしすさまじい怒りを隠しているのがわかる、ジレオンは氣づいていない様子だが。



「どうした悪魔アベル、貴様には〈服従〉の術式を組み込んであるのだ。わしの言葉には逆らえんぞ。」

「状況整理をしていたのさ。会話から察したところハジメとニオ、フルベルトにオークと女が三人、それと……ゴブリンの体のアベル()がご主人様の敵だね。

 よし、策ができたぞ、ご主人様いいかい。俺に耳を貸してくれ」


「なに? 策だと!?

 さすがはアベルよ、頼りになるやつだ」


 ジレオンは言われるままに顔を悪魔アベルに近づけていく。

 

 俺がジレオンを馬鹿な奴と思う頃にはすべてが終わっていた。



 魔力を込めた手がジレオンの首を掴みそのまま締め上げる悪魔アベル。

 氣道が完全にふさがれているため、あれでは魔法を使う事ができない。


「呪文を言えないだろ? だから魔法が使えず逃げる事すらできない。

 勇者アベルを舐めるなよ! お前が言う〈服従〉なんかさっきの時間に打ち消してやったぜ。

 ジレオンお前はシードルとアーファルの仇だ、そっちのアベル。

 お前も恨みを晴らしたいだろう! 俺が捕まえておくから、やっちまいな!!」

「応ともエンデ・ジエンドで細胞残さず消し飛ばしてやるぜ」



 悪魔アベルに俺の魂を入れなければ、ジレオンの敵になる事はなかった。

 ジレオンは墓穴を掘り、エンデ・ジエンドを喰らい、あっけない最期を迎えるのだった。





 今回の戦争の責任をとる形でカンミは引退し、エワードはアルマが新王として即位した。

 もっとも「カンミだけトウ・ダーラで暮らすなんてずるいぞ~」、と本人は嫌がっていたが。


 そんなアルマに朗報だよ。

 エワード流の道場はモーブ君が代理の当主を務めるので、氣に病む事無く行政に励んでほしい。


 まぁアルマは、すぐに、ドッペルを置いて自由に動けるようにする予定だし、エワードはトウ・ダーラの支配国になっているが少ししたら同盟国に引き上げるつもりである。


 あれでも俺が半生を暮らした国だからね。


 空を見るとエワードの家族が浮かんでいた、感傷が出てしまう。〈バレンシア、シードル、アーファル、メーラ……終わったよ〉


 四人の顔は嬉しそうな笑顔だった。





 トウ・ダーラの【ラーマオブゴブリン】では連日祝宴が広げられている。と言うのも


「そうそう姉者はこんな姿をしていたよなー」

「セーナは酔いすぎだよ、抱き着かれたら動きづらいぜ」


「いいではないですか私、アベル〈小妖精〉、アベル〈上級悪魔〉、ヴォルデウス、セルバス、レンタロウの【永夜の夜明け】の()()が揃ったのですから」


 ルーさん何時から俺は二人が当たり前になったんだい? それと【永夜の夜明け】は六人ではなくて五人だぜ。

 悪魔アベルもセーナに抱きつかれて、嫌そうに見えるがまんざらではなさそうだ。


「大人のアベルと、小妖精のアベルを見ると感慨深くなるのである。魔王を倒した時と、子供の頃にパーティーを組んだ頃の【永夜の夜明け】結成時に、戻った気分にされるのである」


 酔って上機嫌のヴォルフがにこにこして言う。


「然り、こっちの、アベル殿は小っちゃくてかわいいでござるなー」


 頭を撫でるないレント。


「子ども扱いはやめてくれ、体はゴブリンの子供でも中身はあんたらと同年代だぜ」



 酔っぱらいには敵わんとばかりに、悪魔アベルは【ふるさと】の席に避難している。

 ずるいぞ。


 俺の魂は取り戻すけれど、しばらくは、このままでいいかな。

 とりあえず俺の【3つ目の魂】が見つかった

ライトとレフト状態だとアベルの魂が別けられていて、まだ、ジレオンの命令を聞くのですが、一つにしてしまえば、ただの、悪魔の体を持つアベルです。

自分で考えて動く、悪を許さないアベルでしかありません。

ゴブリンのアベルとの違いは、悪魔の体をしている、この点だけです。

よってジレオンは策士策に溺れると言う言葉のままに、二人のアベルにやっつけられます。


次回は外伝で時系列はエワードとの戦争の前になります。

姫は頑張るます


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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