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154話 聖剣奪還④【我が手に帰れ】

「ひぃ~~ひひッ。アベルよ知っているぞ。そ、その小妖精(ゴブリン)の体は神越えの一人で、レベルが10万あるとな。

 ひひっ強い体だ。わしが貰うわしの物にするぅ~~」


 ジレオンは玉座から立ち上がると口から涎をたらして、俺を指さしながらそんなセリフを吐く。

 プルプル震える手と病人めいた執着が強い視線は、名君と呼ばれた「ジレオン・エワード」の面影はない。


 ここにいるのは自分の欲に溺れて正気を失った魔物である。

 昔は、まともを装えるだけの理性があったんだけどねぇ。


 俺は剣を抜き

「お前が勝てばこの体は否応いやおう無しにジレオンの物さ、憑依に使うといい。

 とは言え、俺はお前なんかに負ける氣と、体をやる氣はないけどね!!」

「兄貴が体を任せる予定は今のところアンダルシアさんだから、僕も悪魔退治に参加するよ」


 アーファルの姿でオウがジレオンを睨んで言う。


 それはそうと、俺の体とアンダルシアに何の関係があるんだろう?


「カンミもうしばらくの辛抱です。すぐに助けてあげますから」

「私のメーラご先祖様をモルモットの3号呼ばわりされて、聞き流しはしません」


「そういう事だ、アルマとメーレと私は魔物(ジレオン)退治に協力するぜ」


 シードル、アーファル、メーラの子孫達は戦闘の構えをとる。ジレオンの怒号が飛ぶと俺達へ下級悪魔が群衆となって襲い掛かり、玉座の間で戦闘が始まる。





 ぽふんぽふんと言う可愛らしい、もふもふ音とは裏腹に、悪魔が蹴散らされる。

 悪魔は10メートル弱の巨大なハーフボルトに片手で掴まれては、壁と天井へ投げられて肉塊になり果てるのだ。


「のだ~~~~~。

 のだ! のだぁ! フンフンなのだ!」


 レベルが12000のフルベルトは、切り札とも言える『巨身法の術』の姿で闘っている。

 ニャハルの本性である大化け猫をモデルにしたと言うこの術。


 詳しく聞けど「自分でもどうやっているのかわからないのだ」、と言うので考えるのはやめた。


 下級悪魔は知能が低いため大きくなったフルベルトにも、怖氣(おじけ)る事なくむかっていく。


 しかし下半身が蜘蛛の魔物(アラクネ)の本性を見せるニオに、手から出す鋼糸にからめとられて身動きが取れなくされている。

 こうなるとフルベルトからはただの投げやすいボールである。


「の~~~だっ!!」


 フルベルトの投げる七色の変化(あくま)は玉座にいる悪魔をあっという間に減らしていく。



「アベル様の鍛練はすごい効果だよなぁ」


 襲い掛かる悪魔をなんなく斬り倒しながらシャウが言う。 


 あれなら俺が氣に掛ける必要はないね、というか、【ななつのくに】同盟国の幹部はポウレン殿を除いてレベルが12000の者しかいないから杞憂だったぜ。


 メーレはアルマをかばいながら戦い、外側をアーファルが広くカバーしている。

 何の作戦もなく突っ込むだけの悪魔では絶対に、アーファルとメーレの壁は破れない。



 そう思いながらハジメとズンズン歩いて、ジレオンへ距離を詰める俺。

 攻撃してくる悪魔は全て一刀両断にする。


 これで踊りながら行けば十傑衆の〇ィッツカラルドだね、いかん、それだと最後には同僚に殺されてしまう。

 この例えは不吉なので封印しておこう。



 俺は奴の前につく

「お前の張る罠は大した事がないね。

 聖剣抜きでお前を倒せるぜ。懺悔があれば今のうちに聞いてやるぞ」

「馬鹿が! わしの作戦とも知らずに貴様からわざわざ近づいてきおったわ。その体貰ったぁーーー」


 俺に覆いかぶさるように飛び出すジレオンをハジメが奴の両腕を切断した後で、胴体を真っ二つに輪切りにする。

 アベル流『牙断ち』なのだが、その練度は美事の一言だよ。


「ぐむっぐ。」



 ついでに言うとジレオンは、俺にとびかかる空中でニオが遠方から出した鋼糸により、身動きができなくされている。


 ジレオンの顔と五体に鋼の強度と粘着性の糸が巻き付いて絡めとられている。

 もはや1ミリも体を動かす事はできまい、ちなみにニオは足で悪魔を突き刺しながら片手間でこれをやるのだから敵は驚異に感じるだろう。


 こちらからすれば昔から慣れているフォーメーションの一つでしかないんだけどさ。


「助かったよありがとうニオ」

「氣にしないでアベルなら必要ないとわかっているけど、癖で動いただけだもん」


 まぁニオの言う通りなのだが助けてくれた結果に、お礼を言うは当然だろう。さて命を弄ぶ魔物に()()()といこうかい。



 俺は剣を鞘にしまい闘氣を鞘の中で剣に集中させる。

 終わりだジレオン。


「死ね! 魔物を倒した後は民に封印の魔物がジレオンだった事実は伏せておこう。……俺も、偽りでも優しいあんたの姿を覚えておくよ……」


 剣を抜刀しジレオンを叩き切る。

 だが、しかし、ミコット製の俺の剣はジレオンに折られてしまう。

 見れば折れた剣の断面が溶解している。


 なるほどね、俺の前に斬り殺されたジレオンとは別のジレオンがいる、こっちが本体だ。


 奴の狙いは俺の武器を破壊して俺の攻撃力を下げる事だ。

 つまり


・分身を創り体には溶解液を詰めておく、本体は隠れる


・アベルが分身を攻撃→剣を破壊


・アベルを倒して体を奪う


 こういう作戦だったのだ、まんまと嵌められた。



 敵の攻撃をガードした俺の両腕に衝撃が入り激しく吹き飛ばされる俺。

 ひざと腕を床についてズザアァーーと着地する。

 俺を攻撃したのはジレオンの台詞から奴の切り札だとわかる。


「ひひっアベルといえどわしの親衛隊にはかなうまい。こいつらはなぁ、貴様の細胞と悪魔の体をかけ合わせて作った【上級悪魔】だ。

 行けいライト、レフトよアベルを殺せ!」


 フルフェイスの悪魔が斧剣を担いだまま俺に飛び込んで来る。

 なにがライトとレフトだ名前なら〈黄泉〇ツガイよろしく左右様〉で来たまえ。



 ズパンと音が鳴り、レフトとライトは足から崩れて倒れ伏す、その理由は簡単だ。


「今のアベルさんは、僕がチキュウへ行く旅で見たままの姿ですね」


 ハジメが言う。


「おお、勇者の手に聖剣アルファが!」


 アルマが最初の目的を果たした事もあり、彼女の声が震えている。


 最初に吹き飛んだあの時、ついでに、スーパーグレートソードを手で掴んでおいたのさ。


 その時に俺が心の中で剣に向けた言葉はたった一言だけ【我が手に帰れ】だ。

 それだけで聖剣は大きな喜びとともに、100年の封印を解いたのだ。



「詰みだよジレオン、そういやあんたは昔から俺にカードゲームの読み合いで、勝てなかったね」

「ああああああああああああアベルぅーーー」


 ジレオンの叫びは、どうする事もできない事をあらわしている

策を残しているジレオン。エワードの聖剣奪還編は次回で最後です。

そこで凶王は選択を間違えて自業自得の死を迎えます

承○郎『花京○! イギ○! アヴドゥ○! 終わったよ』

〈彦間はこれ、ジョセ○の台詞と思っていたので、アニメで見て感動しました〉


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


          下の



      ☆☆☆☆☆を押して


      ★★★★★に変えてください



      彦馬がよろこびます

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