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153話 聖剣奪還③エワード王の闇

 ジレオンが自分の企みを話す。

 くだらない目的のために、多くの命を弄んだ内容だ。


「うらやましいと思った。ただの冒険者にすぎないアベルがあのイフマイータを倒し勇者と呼ばれている。

 特別な血()であるわしは数多くいる、人間種の王の一人にすぎない。

 わしは誰よりも特別になりたかった。

 だからわしは【勇者(魔王より強い者)】を研究する事にした」


 視線の焦点があわないその魔物は俺達に、ブツブツと語り始める。

 要約するとこういう事である。



・アベルを自由にさせないためにバレンシアを与え子を産ませてエワードに縛り付ける


・アベルとバレンシアの間に子供ができないがアベルはバレンシアに義理立てして、エワードに留まるようになる

→すぐに王位を継承させる。もちろん、この、国から出さぬためだ


・子ができないため王家が抱える魔法使いに命じて、二人の血からホムンクルスを創る。

 シードル、アーファル、メーラの三人はジレオンからすれば孫ではなく、ただの実験動物である。



 俺はこの言葉に感情を荒げる

「実験動物だと!? シードルとアーファルとメーラは祖父のお前に懐いていただろう。

 お前だって優しく接していた、あの姿は偽りだったのかい」

「そうだとも、ホムンクルスの1号~3号はわしの目的を果たすための道具に過ぎない」


 コピーとは言え俺にとっては子供なのだ。

 我が子をモルモット呼ばわりされて、怒りが抑えられそうにない。

 いつしか胸の火が紅蓮に変わる、俺はこいつを許さない。


 ジレオンは計画の話を続ける



・アベルの強さがうらやましい、アベルに成り代わりたいが正面から行けば敗れて消されてしまう。

 最終目的である、()()()()()()()()()()には段階を踏む必要がある

→〈憑依〉を完成させる


・憑依の対象は自分の魂と親和性が高いシードル〈ジレオンの血とアベルの血で錬成〉にする。

 憑依がうまく行くようなら、機会を待って最後はアベルの体に憑依する。


 同時に第二のアベル、つまるところ、ジレオンの脅威に成長しそうなアーファル〈アベルの血とバレンシアの血で錬成〉は廃棄処分。


 予備のメーラ〈アベルの血とバレンシアの血で錬成〉をアベルの手で国外に逃がされるのは誤算だったが、計画を続ける


・シードルに憑依してシードルの魂を塗りつぶす、ただし、アベルの目を欺くために完全には消さずにアベルと接する時だけシードルの要素を表面に出す

〈外伝で父上〜見捨てないで下さい〜をしたのは消されたシードルではなくジレオン〉。


 シードルの記憶があやふやだと噂が立つが、大騒ぎには至らず、問題はない



 ジレオンのクズは俺の体を奪う。そんな理由であの子の体を奪ったと言う。


 俺の心にシードルとの思い出が浮かぶ

「父上、私には剣の才がないようです。アーファルのようにはいきませんね。私はその事が歯がゆいのです」


 マメだらけの手をワナワナと震わせながら剣を握るシードル。

 俺はその頭を撫でてあげる。


「剣はアーファルにはかなわないけどシードルはアーファルより優れた部分があるんだぜ。

 この前の帝王学の勉強で、アーファルが答えられない問題をスラスラ解いたらしいじゃない。

 先生が『シードル王の治世は必ずや、明るいものになります』って褒めてたよ」


 俺のこの言葉を聞いたあの子は

「ありがとうございます父上。

 私は偉大なる父上の後を継ぎ、エワードを民が誇れる楽園に変えてみせます。アーファルは王になった私の剣術相手にしてやりますよ」と奮起していた。


 アーファルへのコンプレックスが払拭されて仲のいい兄弟になったのだ。


 目の前のジレオン/魔物(クズ)はその二人の命を奪った。

 安心しなよ。シードルそしてアーファルお前達の仇は、父さんが必ずとってやるとも


「アベルさんから怒氣が立ち昇っている」

「おっかないのだ」


「こういう時のアベルは敵にまわしたくないもん」


 怒る俺の耳に【ふるさと】の声が聞こえるが、自分を抑えられそうにない。

 それ程俺のコピー(子供)は俺にとって大切だったんだ、ジレオンは俺の怒りに気付かずに話を続ける。



・アベルの死後体を奪おうとするが、ヴォルデウスの跡を継いだメーラがアベルの体を火葬にしたため

 細胞しか奪えなかった〈アベルに憑依する計画が潰える〉


・わしは冥界の【悪魔】を召喚して融合する、アベル亡き後とにかく強い体が欲しい。

 他種族は高レベルで正直に言うと魅力が高いのだが、その反面、強靭な精神力があるため〈憑依〉の成功率が下がる。

 【悪魔】は精神体なので、受肉する体を欲しているから漬け込みやすい


 ジレオンは上を向く顔をこちらへ向き直し俺達を睨みながら、怒声を張り上げる。


「悪魔の力を手にしたわしはシードルの体を破り悪魔の姿となって、エワードを支配するはずだった。

 悪魔の力で永遠に人間どもを支配するのだと、それをっ、よくも!! わしは戦いでアベルの仲間の【ふるさと】とモルモットの子孫に敗れて、奈落の底に【封印】されたのだ。

 わしの恨みの深さが貴様らにわかるかぁーーー!!!」


 ジレオンの体がモコモコ膨らんだかと思えば悪魔の姿に変わる。

 人型ではないため下級悪魔だとわかるのだが、まぁジレオンでは【上級悪魔】が交渉相手として選ぶはずもない。



 俺と【ふるさと】そしてアルマとアーファル、メーレとシャウは武器を構えて戦闘態勢に入る。


「お前の計画(悪業〈あくごう〉)はここまでだ。俺は創られたとは言え、命を弄ぶクズの気持ちなんて一生わかりたくないね。

覚悟はいいなジレオン、貴様の相手はこの俺だ!!!」


 俺とエワードの過去、その、全てに決着をつける

「アーファルが死んだ後で私だけヴォルデウス様の養子に出すなんて、お父様はシードルのほうが可愛いのかしら」

「メーラよく聞きなさい、君の父〈アベル〉は王家に淀む悪意と戦っているのです。

 メーラを私の元に避難させたのは決して、君を嫌ってではないのですよ」

〈養女メーラとヴォルデウスの会話〉

~~~~~

・オウはアベルにアーファルと呼ばれていますが、ジレオンが言うアベルの次男が自分だとは氣づけておりません

(兄貴の子供は僕の人間形態と同名なんだ。すごい偶然だなぁ)と思っています。


・ジレオンはアベルを羨み性格が歪んでいきました、ないものねだりと言う奴です。

 しかしアベルのせいではなくどこかで無理が出て破綻していたと思います

 アベルと出会わない歴史だと名君ですが、年をとるごとに歪んだ性格が隠せなくなり、バレンシアに退位させられ隠遁生活に入ります


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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