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152話 聖剣奪還②ジレオンという魔物

 俺の剣、スーパーグレートソード〈聖剣アルファ〉が『リィイイイインン』と大音量で主を呼ぶ。

 聖剣の輝きが、かがり火の代わりとなって、暗い玉座の間を真昼に変える。


 ハジメとチキュウへ旅をした時以来だね、聖剣よ俺の()へ帰りたいのかい?



「凄まじい光と音だ、歴代の所持者が選ばれるときの音と光はここまでじゃなかったと聞いているのに」

「アベルの血を引く……もしくは、勇者の魂に連なる者。つまりアベルの魂に酷似する魂をもつ者を聖剣は選んできた。

 この中に聖剣に選ばれた者がいるんだぜ、なぁご先祖様」


 メーレの発言で音と光は今までは、おとなしめだったのがわかる。


 俺を期待に満ちた目で見るシャウには悪いけど、俺がまだ選ばれたと決まってはいないんだよね。

 まずは


「まずは事実確認です。メーレ、シャウ、私、アーファル殿それからアベル様の順番で試しましょう。

 とは言え、聖剣が呼ぶのは間違いなくアベル様でしょうけど」


 アルマの言葉に俺達は顔を見合せてから頷き、それぞれが聖剣を手にしようと試みるのだが

「だめです。もう受け付けようともしない」


「でかい音出すなって、わかってるよ。私達のような代行(血を引く者)じゃなくて、聖剣(お前)が戻りたいと思うのはアベル様だもんな」


 聖剣は見えない障壁を張り、手で握る柄にメーレとシャウの手を触れさせようともしない。

 理由はシャウの言う通りなのだろう。

 この後もアルマとアーファルをスーパーグレートソードは主と認めなかった。


 アーファルの場合、やろうと思えば障壁を乗り越えて『力で』所有者になれるのだが、彼は空氣を読んだようだ。

 打ち消されそうになる障壁から手を離す。


「兄貴の番だよ」


 俺はアーファルの呼びかけに「わかった」と言うと、聖剣に向けて歩を進める。

 シャウとアルマは今見る光景の感想を、独り言ちる。

 俺も露骨だよねぇと思わなくもないのだ。


「ここまで態度が変わるのかよ、いやまぁ人間じゃなくて剣だから単純なんだろうけどさ」

「やはり聖剣アルファはアベル様を、自分の主と見定めている」


 現在の状況、スーパーグレートソードから光と音が止み

 柄が「速く掴んで」、と言わんばかりに光っている。


 いいとも。

 この先ペリルと戦うのに、お前の力がいる。


「頼りにしているぜ相棒」


 そう言って剣の柄を握ろうとするが急に邪魔が入り、剣を手にできない俺。





 玉座の間に声が響く。


「おかえりアルマ、一緒にいる小さな小妖精(ゴブリン)はアベルか、よく連れて来てくれた。

 クック。トウ・ダーラとの戦争は目的のアベルを呼び込む罠でしかないからな」


 今まで暗闇になっていた陰を明かりが照らし、玉座に座るやせこけた男が出現する。

 左右には鎧とフルフェイスの兜を被る親衛隊が立つが、俺の目が見抜く。

【中身は人間ではない】


「私はカンミである。今のところは……で、あるが長きにわたる計画を台無しにするわけにはいかないのでね。慎重にやらせてもらうぞ」


 その言葉が合図だったのか、俺達が来た入り口は消失し、天井と壁、それから、玉座の間がエワード王国を歩き回っていたあの下級悪魔で埋め尽くされる。


 罠と言っていたがこれしきでやられるアベルじゃないぜ、とカンミを睨むのだが何やら様子がおかしい。

 奴が指で自分の目元をかきむしる仕草は救いを求める病人のようだ。


「あ、アルマ帰って来たのか? アベル様もご一緒だな? 逃げろ! こいつは、私の体を奪ったこのエワードの悪魔は!!」

「や か ま し い! 一時の器風情が黙っておれ。

 どうせ目的のものを手にすれば、貴様など用済みなのだ。それまでは大人しくしておれ」


 顔をかきむしる手をドンと下に降ろしてカンミは叫ぶ。

 二重人格? ではないな。

 カンミは自身を器と言っていた。


 俺の記憶の中にエワードの関係者で一人だけ該当者がいる。その男がカンミの体に憑依している。

 憶えているぞ! ソイツは闘う才能はないが野心が強かった。


 イフマイータを倒した【永夜の夜明け】のリーダーのアベルに娘を与えて、俺を王家と言う籠に入れた人物だ。

 俺のコピーであるアーファルを毒殺した張本人で、俺が真相を突き止めた時には寿命で死亡していた。

 エワード王アベルの、先代のエワード王にあたる「ジレオン・エワード」にちがいない。



「死亡した後冥界の悪魔と契約して人間を捨てていたとは知らなかったぜ。ジレオン」


 ギョっと驚いたジレオンは俯いてクックックと喉を鳴らした後

「カンミのセリフと自分の記憶を組み立てるだけで真相に氣付くとは、さすがはアベルよ。

 このジレオンこそがリンキの手で奈落の底に封印された魔物と言う訳だ。

 そこの異世界人! テイイチと言ったかアラクネとハーフボルトも覚えているぞ。貴様達にやられた恨みもここで晴らしてくれる!!」

「逆恨みなのだ」


「馬鹿が自国を自分の欲で攻撃するから、天罰が下ったんだもん」


 その通りだフルベルト、ニオはもっと言ってあげなさい!


「僕がリンキ君とあの時にした約束、【魔物を必ず滅ぼす】が今、果たせそうですね」


 ハジメは剣を抜いて構える。ジレオンを滅ぼすその前に、好奇心から聞いておきたい俺。


ジレオン(お前)は、何がしたいんだ?」


 人間を捨てた濁る目をギョロギョロ動かして魔物は口を開く。


「いいだろう、冥土の土産に聞かせてやる。わしはアベルがうらやましかった」


 ジレオンが語る内容は俺には理解できないものだった

王国を歩く下級悪魔と、今回のジレオンでわかるように封印が解けています。

やったのは魔神でアベルへの嫌がらせ行為です。

ただし知らないアベルからは、ジレオンが自力で封印を解いたように見えていますし

ジレオンはすごい幸運と〈なんだか知らんがとにかく良し〉と思っております


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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