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13話 始まる決勝戦

 ガウ殿から決勝の後、話があるかい。一体なんだろう?



「わかったよ。ただ優勝できるとは限らないぜゲシィも試合中何かをきっかけに化けるかもしれない、あいつが問題なのは心だけなんだ」


 それにガウの頼み事も虐殺なんて話なら絶対に聞くことはできない。

 そうガウに伝えると。



「きっとあなたは私に力を貸してくれるはずさ。千年前魔族に敵対はすれど……なぜそんな体なのかはわからないがその本質たましい正義の味方(勇者アベル)だろう?」


 さすがにこのゴブリンが何者なのかわかっているよな。

 何度も思うが俺は人が本当に困っているなら助けるにいなやはない。

 ただ少しだけ気に入らない部分があったので訂正しておこう。



「いいぜ。頼みの内容が俺の気にいる話ならな、でもひとつだけガウ殿は勘違いしているよ。生前アベル・ジンジャーアップルは、正義の味方だったことは一度もない。俺の気に入らないことは悪事で、それしかしない悪党が大嫌いだっただけさ」

「はは、そいつはいい。ますます君を気に入ったよ」


 むぅ。なんだいその満面の笑みは。

 こっちは気恥ずかしいの我慢していったんだよ。


 俺は真っ赤になる顔を横にそらして横目で笑うガウを見つめていた。





「そういえば準決勝の時に、ややこしい話があるって言ってたよね。どんな内容さ?」

「兄貴よく聞いてね」


「それがですよ……」


 弟二人の話を要約するとゲシィから決勝戦で、八百長の話を持ち掛けられたらしい。


 つまりわざと負けろということかい。


 あいつ裏でそんな事してて、よく俺に啖呵たんかを切れたもんだよ。

 いやこの場合話が通ってると思って強気だったのか?



「なりふり構ってないのは兄貴を恐れてるからだね」

「この件を飲むのなら剣を左手に持って舞台に上がれだそうですよ。どうするっすか」


 ヒトの奴は聞くまでもないと言う態度で、オウはわかり切っているといった感じだ。

 さすがにヒトとオウは俺をよくわかってる。



「当然断るさ、聞く義理がないしね。あんな奴の思い通りになるつもりなんて、さらさらないよ」


 しかし、断られるのは向こうもわかってるはず。

 他にも手段を隠してるということか。



「まあいい、奴が何を企んでいようと勝ってしまえば優勝だぜ」


~~~~



 魔王の眼前にある大舞台。

 東に白いゴブリン西に魔王将がたちアナウンスが流れる。



「さあ泣いても笑ってもこれが最後、お祭決勝戦勝つのは果たしてどちらか? かたやジクリコウ様の右腕魔王将筆頭のゲシィ選手ー。かたやサポートの小妖精ゴブリンでありながら並みいる強豪を蹴散らし決勝に上がりましたソンクウ選手―」


 大きな歓声に包まれながら互いの態度は対照的だ。

 一人は怒氣に包まれ、もう一方のアベルはその氣を平然と受け流す。

 ゲシィの顔は怒りの形相で固まっている。

 サポートのゴブリンごときが地位がはるかに高い魔王将筆頭との取引を断ったのだから、そうなるのも仕方がないといえる。

 たとえ不正であったとしても、権力者とはそういうものなのだ。

 ソンクウは舞台上で剣を右手にそなえて上がっている。


「双方面目至極である、特にソンクウとやら聞かぬ名だがその強さは驚嘆に値する。そして我が甥ゲシィ余の右腕よその肩書に恥じぬ戦果をみせよ。そうさな…余の見立てではゲシィがわずかに上といった所か」


 俺をにらみ魔王はそういった。

 なるほどねゲシィが持ちかけた八百長の大元はお前というわけかよ。

 はなから自分の部下を優勝させる出来レースだったわけだな。


「最低だな」


 試合が始まった。

 俺は絶対優勝する。

 そう心に決めると、王失格の男に仕える戦士失格者に剣をふるうのだった。


 ゲシィは太刀をその怪力でナイフを扱うかのように軽々と振り回す。

 しかし俺にはかすりもしない小兵らしくスピードでほんろうすることもなくその場でよけている。

 見た目から戦いに不向きなサポート種だというのに、魔族の魔王将筆頭がまるで相手になってないのである。

 初めからこうなることは当人同士わかっていたのだ。

 だからこそ、ゲシィに試合前に八百長を持ち掛けられたのだから。

 力の差を見せつけた後、俺の目で追えぬ素早い動きにほんろうされるゲシィ。

 ソンクウの幼さが残る外見に似つかわしくない雷光のような斬撃は、剛腕が自慢のゲシィの手をたやすくしびれさせる。

 かろうじて防御できたがしびれた腕では、いずれ反応が遅れ防御できなくなるのは目に見えている。


 ゲシィは大きな賭けに出た。

 俺が放つ横なぎをわずかにバックすることで何とかかわし、同時にばく進。

 一瞬で距離を詰め突きをはなった。


突貫豪刺殺とっかんごうしさつ


 ゲシィの誇る奥の手。

 自分より早さに勝る相手をしとめてきたゲシィの奥の手である。


「勝った、貫かれ地獄へ行くがよいわ。わーはっはっは、はあ?」


目の前にきた最速の突きを俺はひょいとかわすと後ろに飛んで一応の距離をとった。


(自力では俺が上とわかったはずなのに目はぎらついて口元には寒い笑み、奥の手がありますってゲシィの方でばらしてんだよね)


 突きの後畳みかけの攻撃があると思って距離をとったが、もったいない技だよ。

 そう思った。

 さて、こうして打ち合ったがゲシィは弱いから、さっさと終わらせようか。

 下衆野郎をぶっ飛ばしてくれってカールさんにも頼まれてたしね。


「いいものみせてやるよ、『同じじゃない』からな。いくぜ」


 いうと同時にゲシィへむかいばく進突きを奴の顔面へはなつ。

 ゲシィは身をよじって何とかかわす。

 ゲシィの技なのだ決着がついたらどうしようかと思ったぐらいだ。

 そして。


「おぉおおお!」


 身をよじった結果動きに制約ができた奴のがら空きの胴めがけ左右のふたつの斬撃をはなつ。

 牙断ちの応用だ。

 くらったゲシィは膝をつくも、なんとか立ち上がるが。

 その目は負け犬のものになっていた。


「決まりっすね、ゲシィは万策尽き、大兄貴は実力の半分も出していない」


「魔王将といっても強さはそこまでじゃないのかな」


 自分たちでも知らぬうちに魔王の幹部を上回る実力をつけたオウとヒトはのんきなものだった。

 魔王ジクリコウも勝敗がわかったのだろう。

 いら立ちを隠す気はないといった風情だ

 その顔は怒りに歪んでいる。


(さすがだよあのゲシィを赤子扱いとは。でもねゴブリンさんこの小魔界で生きるのならゲシィには絶対に勝てないのさ。さあ君の決断をみさせてくれよ)


 ゲシィは無防備によたよたとこちらへむかって剣を振る。

 受けながら思った。

 ゲシィには何の力も残されてない。

 何か悪あがきができるとも思えない。


「はぁはぁ。き、きさまが俺より強いのはわかった、だが俺には立場があるわかるな。俺が負けた場合叔父上は一族の面目を保つために、嫌がらせに走るだろう。貴様の故郷などとりつぶしとなるぞ」


「脅しかよ、トウ・ダーラの魔王並びに魔王将は卑怯者だな」


 ふふんと奴は鼻で笑うとつづける。


「そういうなこれは取引だ、貴様から勝ちを買おうではないか望みの金額を言え、悪い話ではあるまい」


 金で名誉が買えるとでも?

 そういってもゲシィには届かなかった。


「思っておるわ、断るならお前の故郷は取り潰しよ、さあどうする?」


 下衆の笑みはさらに深いものに変わるのだった。

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