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149話 世界の頂点トウ・ダーラの戦争③

〈エワードのエリート兵士視点〉


「兄貴と皆には悪いが、エワード流門下達は俺に戦わせてくださいっす。

 ガキの頃に嫌な思いをさせられているんで」

「カンポンさんの時に僕一人で敵を倒しといて言うのはなんだけど、強い人を何人か残しておいてよ。

 兄貴から妖六朗さんを鍛えた結果を報告して、って言われてるんだ」


 銀髪の青年は赤髪の少女に見える少年(オウ/アーファル)に「わかりました兄貴、じゃあみんなの人数分の5人だけ残すっす」、と言うと剣を抜いて


「アベル流ヒト三郎ことキルレインが勝負を所望する。俺にご自慢のエワード流の力を見せてみな!」


 そう言い放つ。



 子供の頃に何かあったようだが、当時の私腹を肥やす関係者ならびに腐った風潮はエワード流の、新当主になったアルマ様によって一掃されている。


 だがバルトエード様の【強者ほど強い相手との戦いを望む掟】に突き動かされて、僕の先輩達である

 エリート兵はヒト三郎に、一対一の勝負をして次々に倒されていく。



「5人て言いましたけど、十何人か残しました。兄貴と君達、残りをやっちゃって下さいっす」


 先輩達は、力の差を感じ取ったのか半ば諦めたムードを漂わせています。


 しかし()()()()()()()()()()()()()、と考えたようで先輩の顔は清々しい潔さが浮かんでいました。



〈七兄弟〉は殺人鬼ではないようで

「僕はエワード流の、エリート兵士さん達の強さを死ぬまで覚えておくよ」


 赤髪の少年が言います。


「強さの強弱は関係なく『戦士』は尊敬に値します」

「森四郎の言う通りよ。このケシ太郎〈七兄弟〉の立場だけでなく

 タイセイ様の、魔王将筆頭として全身全霊でお相手する」


「その氣概なら、我が魔王様はお前達を蘇らせるだろう。です

今から一緒に戦える時が来るのが楽しみだ。です」


 蘇らせ? 何だって!? よく聞こえなかったが限られた条件者しか使えない、あの〈蘇生〉を魔王(タイセイ)は使えるのか?


 あ、ドラ五郎と呼ばれる男が「それは秘密なんだぞ」、とヒト三郎に叱られている。



 他の兄弟と先輩達の戦いはあっという間に勝負がつく。

 僕はあんなに強い集団を見た事がなかった。


 師範ですら負かされた後で、皆に嫌われている乱暴者の先輩は一計を考えたようだ。

 タイセイの弟達は2と3が信じられないくらいに強い。後は1、4、5、6の順番に鍛えている、と噂で聞いた事がある。


 そうすると()()()()()()()はずだ。


 新入りだからタイセイが鍛えて日が浅いのだ。


「キルレインよお前が強いのはよくわかった、だが順序と言うものがある。

 俺は、まずは6番の者と戦いたい、下から倒していき最後は2番の小娘……いや男か! アーファル(小僧)を倒し、最後に魔王タイセイを討つ!!」


 ヒト三郎達は先輩の上手な挑発を聞いて、「う……ん? 本当に下から戦うでいいんだな」や「馬鹿な奴だ。です」と馬鹿な敬語を喋る、ドラ五郎の返事が返ってくる。



 嫌な予感がするのだが、先輩は氣付かぬまま向かって行く。


 それを長身で黒とピンクの長髪の女は、つまらなそうに一瞥(いちべつ)して――

 僕の予想とは違い女のデコピンで何十メートルも吹き飛ぶ先輩。

 勝負は一瞬の、それも、一撃でついてしまったのだ。


 頭が痛くなってきた。


「妖六郎さんはかなり『手加減』が上手くなっているね。

 報告を聞けば兄貴も喜ぶよ」

「兄様それは本当か? すごく嬉しいな」


 僕の耳に赤髪の少年と女の(こぼ)すやり取りが聞こえてきた。





 話は戦争が始まる前のエワード王国に戻ります。


 僕はエワード王国の国民でエリート兵士。名はモーブと言います。


 エリート兵士とはエワード流の門下生で構成された兵士であり、先輩や師範とは大きな差があるとはいえ

 僕も一応エリートなのです。



 カンミ様はトウ・ダーラとの戦争の準備を進めていますが錯乱しているという噂があり、不安は尽きません。


 アルマ様がいれば事態が変わるはずなのですが、旅に出ていると聞いてます。

 なんでもパルディーゾのメーレ様、シャウ様に会いに行かれているのだとか。


 魔物を封じた聖剣が気がかりの様です。


 カンミ様、それから今はトウ・ダーラの所属になったカンポン様は聖剣に触れる事ができませんでしたから、きっと担い手を見つけに行かれたのでしょう。





 戦争がはじまりました。


 魔王タイセイはこちらが準備を整える前にエワードへ宣戦布告をしてきたのです。


 カンミ様は国民に、魔王タイセイの宣戦布告を伝えられました。

 あの【アベルの仲間達】が本物のアベルと認めたそうですが、奴が言う内容を聞くと

 とてもアベルと思えません。魔王は魔王なんです



「俺とお前等で戦争しようぜぇー。

 俺が勝てば一人残らず俺の支配下に入れる。

 男は奴隷にして労働苦役(くえき)につける。女は俺が楽しむ奴隷にしてやるぜ。そうはなりたくないってか?

 じゃあ、この、魔王様に貴様ら人間種(ゴミ)の力を見せてみな。俺は人間どもが苦しむ姿を見るのが好きなんだ。

 このタイセイに逆らう者は苦しみの生を与えてから殺してやるーー! ギャハハハハハ!!!」


 アベル様を知る人が見れば「誰が、この嘘情報を信じるんだ」と相手にもしなかったでしょう。


 許せない人間を! 命を何だと思っているんだ、邪悪な魔王め!!

 カンミ様は魔王への怒りで一つになる僕達を見て笑ってくれた。


 でも何だろう? 僕の目と心はカンミ様の笑顔が、不吉なモノに見えてしまう。


 全てが終わった後でアベル様のメッセージはカンミが捏造したものだとわかるのですが、氣付けずに僕達はカンミに踊らされていたのです

「俺は外から見たらあんななの?」

「カンミが国民を騙す為にわざと歪ませたアベルつまり捏造ですね。オリジナルには程遠いひどい代物です」

はーとため息が出る俺。ルーは俺の落ち込みを見て

「アベル私の膝が空いてますよ、ここにおいで下さい」

パンと自分の太ももを叩く。

俺は誘われるようにその膝上に腰を下ろして、ギューと抱きつき彼女の胸に顔を埋める。

「あぁソンクウ様、どうぞアンダルシアの胸でお休み、傷をお癒やし下さい」


「落ち込むでないぞルーよ」とヴォルフの声が耳に聞こえた


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      ☆☆☆☆☆を押して


      ★★★★★に変えてください



      彦馬がよろこびます

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