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146話 そうだなバレンシア

 トウ・ダーラとエワード王国は現在戦争中である。

 トウ・ダーラ魔王タイセイ()は、エワード王に使者を通じてこう宣告したのだ。


「貴国にある聖剣アルファは勇者アベルが愛用したもの、つまり俺の剣だ。持ち主にスーパーグレートソードを返すならよし、断るならば力づくで取り返しに行く。

 PSエワード王へ、お前が行方を探しているアルマは俺が保護している。

 彼女と一緒にすぐに参上しよう。震えて待て」


 脅しを少し込めているのは奴らが、トウ・ダーラを攻撃する準備をしているのを知っているからだ。

 仮に俺の要求通りに剣を返すなら、攻撃するつもりはない。

 俺が過去になんだかんだで過ごした国だ。

 いやな記憶も転生した今となっては、『いい思い出』になっているのだと氣づいた。

 それなりにはだけど


 もっとも奴らの返事は

「勇者アベルの生まれ変わりを自称する魔王に、聖剣を譲る事はできない。エワードは断固魔王と戦う所存だ」


 と言う俺の予想したままの答えが返ってくる。


 アベルの仲間全員が【ソンクウこそ転生したアベル】だ、と認めているのにこうだから言うだけ無駄かもしれないね。


 こうして両国は戦争開始になった。





「エワード王カンミは狂っている」


 エワードからトウ・ダーラのタイセイに助けを求め、訪ねてきたアルマははっきりと言う。



 アルマはトウ・ダーラのソンクウこそアベルの本物の転生体と聞いてはるばる旅をする。

 【永夜の夜明け】、【境界なき照陽】のメンバーがそう公言しているのは知っていたし、風の噂だとタイセイは赤髪の魔族だと聞いている。


 アルマはたとえアベルが人間種ではなくても心は人間のままだから、自分の話を聞いて助けてくれると思い、しかし、実物に会ってガッカリしたのだろう。



 俺を見て「ふざけるな! たかが、サポート種の小妖精がアベルだと、私は戦闘に不向きなこんな者を目的にして旅をしたわけではない」

 怒り狂いながら剣を抜くとおそいかかってきた。


 まぁ後ろに回って地面にバックドロップで沈めてあげたけど。


 戦闘しないと相手が話を聞かないなんて、俺は異世界〇じさんか! そんな事を思いつつアルマの話を聞く俺。


 要約すると

・カンミは錯乱状態にいる


・エワードの地下に強力な魔物を封じているのだが、百年ごとに封印は弱まるらしい。

 勇者アベルの聖剣は百年ごとに使い手を自ら選び、その、使い手が綻んだ封印を締め直す


・代々アベルの血を引く者が担い手になるのが通例だが、当代はカンミもアルマも選ばれない。

 しかし聖剣は主がこの世界にいる、と主張して光と音を放っている


・シャウ達他の子孫に聞くと「聖剣はご先祖様(アベル)を呼んでいるに違いない」、と言われてアベルに会いに来た〈今ここ〉


 そういう事らしい。



 推測するにカンミの錯乱状態は地下に封じた魔物によるものだね。

 アルマにはかわいそうな言い方だけど『間に合わなかったのだ』。錯乱したカンミは、アルマを逆族に仕立てて指名手配しているのだから。

 まぁ助けられないわけではない。

 ぶっ殺してから、生き返らせるのが手っ取り早いだろう。


 魔物が肉体にとりついていようが、カンミが人質になっていようが肉体事消してしまえば関係ないし。


 最終的には〈でえじょうぶだ、神越えの力で生き返れる〉ができるから何も問題ない。

 倫理観を聞かれたら【我は魔王ぞ】と言いきるぞ





「アルマ聞いたぜ、ご先祖様にバックドロップでやられたんだって? 強者たる者、戦う前から相手のレベルを把握できてないと恥ずかしいぜ」

「言うなよシャウ意地悪だぞ。噂ではタイセイは赤髪の魔族なのに実物は小妖精なんだぞ、実力を疑うのは当然じゃないか」


 かつて俺をアベルだと認めずに、戦闘でやられたシャウがなんか言ってる。

 どの口が言うんだい、と心で突っ込んでおこう。


 エワード王国との戦争は現在のトウ・ダーラが持つ戦力の全てを集結している。

 過剰戦力もいいところだが、他国に対しての示威行動でもあるのだ。



 エワードの軍団はうちより劣る聖剣兵器とドラグニルから輸入した騎竜か。

 あとは俺が王をしていた千年前と変わらない戦力しかないね、オーバーキルになる予感しかないのだが。


 悪いけど他国への見せしめにさせてもらうぜ。



 俺の横にアーガシアがふわりと降り立つと、ぼそぼそ耳元でこう囁く。


「ぬし様の御人柄はよくわかっておるよ。後で生き返らせる人選はどうするのじゃ?」


 今後魔神と戦う時に邪魔になられるのは嫌だし、味方の足を引っ張らせるわけにもいくまい。


 だから生き返らせるのは【逃げずに・国と味方のために戦う・苦難を誰かのせいにしない・戦士だけ】だ。

 この条件を俺はアーガシアに伝える。

 彼女は公の場では俺を驚くほど立ててくれる。


「タイセイ殿の御心のままに」

 言いながら頭を下げるとスゥと姿を消した。

【神越えの実力者】の持ち場に戻ったのだ。



 トウ・ダーラの戦力は【永夜の夜明け】、【境界なき昇陽】、【ふるさと】、〈七兄弟〉、ココナのゴーレム軍団、騎竜とグリフォンと聖剣兵器おまけに、霊刀四季を各兵士に装備させている。

 それとラーマオブゴブリンの【戦争】クエストを受けてくれた頼もしい冒険者達。

 飛行船が七隻空に浮かび、極めつけが【神越の実力者】が、五人待機している状態なのだ。


 どうあがいても勝ちしかないんだよなぁ。



 ま。

 ――ルさま。


 ん? 誰かが俺を呼んでいる、現在じゃなく過去のどこかだ。


「アベル様、父は異常です。あなたから自由を奪いアベル様の名声を利用するだけの愚者が、我が父エワード王なのです。

 私をアベル様につけたのは私をあなたの足枷とするためです。バレンシアはアベル様の自由の邪魔はしたくありません」


 俺にはもったいないくらいバレンシアは、優しい子だったな。何度も自由でいてくれと言われたっけ。


「アベル様エワードは貴女の籠でしかありません。父に義理など感じないでください」

「そうだなバレンシア、もういいな」



 吹っ切れた俺は後ろにいる【永夜の夜明け】に顔を向ける。

「行くぜみんな、戦争開始だ」

「「一番槍だな、任せ/ておけ/なさい/ろ/るでござる」」


 俺の〈空間移動〉で【永夜の夜明け】は、戦場の最前線に移動する

アベルはエワードで過ごした過去は払拭しました。エワードのことで悩むことはなくなります。

エワード王には思惑がありアベルを王家に取り込むために、バレンシアをアベルに与えております。

バレンシアはアベルを愛してましたが、足枷である自分を理解しているため

アベルにはその点を申し訳なく思っていました


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      彦馬がよろこびます

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