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141話 ジロウという魔族

 創造神様がお出かけの間は僕が、下界の人々に神託を授けたりと、そんな感じで雑務をしているのですが

 下界の人帝の膨らみ続ける野望を放って置けなくなった僕は、下界へ降りる事を決める。


 神殿の奥から出た僕を普段見る事がない小神達は、ざわざわとささやき始める。


「ヨルゼン神が御自(おんみずか)らお動きになられる」

「留守を十二神の誰かに託して下天されるようじゃ」


「ジロウの姿で赴かれると言う事か」

「最初の異世界人であり、ムンドモンド初の人から神に成ったジロウ神さまは一体何が目的で、下界なぞに行かれるのだ?」


 僕を見て井戸端会議する小神達。

 暇があるなら大神になれるよう修行を続けなさいと思う僕。

 あきれてため息を深くつくとジロウは自分が所属する【十二神】の二柱へ後の事を頼む。


竜神(ドラグーン)のジイ様とバルトエード、僕がいない間の天界を頼むよ」

「ほっほお氣をつけてヨルゼン」


「ジイ様よく見ろ、ヨルゼンは下界用に魔族の体へ精神を入れているだろう? 今はヨルゼンではなくジロウだよ」


 ジロウは二柱へ手を振り地上へ転移する。





 最初の異世界人であるケンセ・ジロウは江戸時代の人間である。

 彼は幼少のころに、親元から大きな商家に修行に出される。

 食い扶持を減らす手段だが大勢の弟や妹がいるジロウはこの事を納得しており、奉公先の店で真面目に働いた。



 ジロウは数年が立つ頃には店を任かされるようになっていたが、夜に江戸で流行っていた辻斬りの手で命を落とす。


 目を覚ましたジロウが次に見たのは丸眼鏡で金髪の少女だ。

 彼女はサンと名乗り、ジロウに別の世界で生きる覚悟があるかを問う。


(面妖な化け狸の仕業か、はたまた御仏(みほとけ)の導きか。そうだな!

 きっと仏様が救いの手を差し伸べてくれたに違いない!)


 時は魔神の分身である魔王イフマイータが魔族至上主義を唱える魔族一強の、【支配の時代】。


 そこにサンから恩恵と基礎知識を受け取ったジロウは、魔族の体でムンドモンドに降り立つ。


「そこの魔族! 貴様何者か」

「自分でも何故ここにいるかがわからない。記憶がないんだ。」


 ジロウは記憶喪失と言う事にしておけばいくら基礎知識があると言っても質問されて、ボロが出る事はないだろう、そう判断した。

 そしてジロウは魔族の体を与えられたのはサンが【支配の時代】で自由に動けるように配慮したんだろうと好意的に解釈する。

 その考えは当たっていた。


 この後ジロウはフェン・ダリュンと出会い気が合う二人はすぐに親友となる。


 フェンの紹介で魔王軍の末席に身を置くジロウは実力をメキメキと付けていき、一年後には【イフマイータの五魔王将】のナンバー2の位にいた。

ちなみに


・魔王将〈1〉筆頭―フェン・ダリュン→【イフマイータの右腕】と呼ばれる魔王将のリーダー。

 魔族なのに被支配者の種族を氣に掛ける。

 タカ派が多い当時には珍しくジロウと同じ、異種族と共存を望むハト派だが秘密にしている


・〈2〉ケンセ・ジロウ→異世界人の魔族。

 独特の発想と実行に移す行動力から魔王より、「フェンがいなければ私の右腕となる男」と最大の賞賛を受ける


・〈3〉ゲールプグナ・ナイヴィス→イフマイータの息子で次男。

 父が【はじまりの勇者】に敗れた後、病弱な兄のルクトォに変わり二代目の魔王となるが勇者オーリンジに敗れる


・〈4〉マードレ・イグレス→【魔帝ミラルカ】の母。

 魔族の名門イグレス家の姫でゲールプグナから求愛されていたが本人は、ゲールプグナの兄のルクトォに憧れている


・〈5〉ホーン・ゴルバー→アベルの母親の仇。

 魔王将の中で一番の小物であるがその反面、出世欲が強く「俺がイフマイータの魔王将筆頭だ」と言い切る愚物。

 フェンからは相手にされていない



 ホーンとは気が合わないがジロウは前世が人間と言う事もあり、話を聞いてくれるフェン・マードレ・ゲールプグナと魔族至上主義を捨てた【新時代】の話をする。


 魔族の支配下にいる種族を解放した新しい時代は、わざと教養を抑えている種族に教育を施す事で魔族では考えつかなかった発明などができるはずだと。


「おもしろい」と肯定的に言うフェンとマードレ、それとは対照的にゲールプグナは「くだらない、所詮は魔族以外の種族だぞ」と否定する。

 だが、そんな彼もジロウが話す内容を最後まで聞いてから感想を言うのだ。


 さらに驚いたのは魔神(イブナス)の分身のイフマイータが自分の話を聞きに来た事である。

 伝説で聞くイブナスなら自分の話す内容には、絶対に耳を貸さないだろう。


 やはり魔族は魔神と違いちゃんと他種族と共存できるポテンシャルがある。そうジロウは感じていた。

 このまま活動を続ければ魔族は自分から、支配を放棄するかもしれない


 しかしジロウの活動より先に

 停滞しているこの世界は一人の少女によって、大きく変動を迎えるようになる。



 連勝しながら魔王のいる神魔界イフマナスを目指す【永夜の夜明け】は、魔王将以外の魔族では止められないほどに成長していた

ジロウの体は魔族ですが異世界人の理である100年の寿命からは逃れられません。異世界人が100歳以上生きるには試練を越えて精霊になるしかないのです。

ジロウが接した魔族の中で共存に向くのは、聞く耳がないホーン以外の全員です

なんとイフマでさえこのままいけば共存へ向かうことが出来るんです



  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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