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140話 世帝〈せいてい〉と六人目

「ひいいいーたっ、ただのゴブリンじゃねぇー。金をいくらもらっても、あんなのこれ以上は相手できねえよぅ」


 悲鳴を上げながらダダッと、逃げ出す冒険者。

 どうやらこいつを俺へけしかけた黒幕がいるようだぜ。


「母さんは父さんを連れて城へ行ってくれないか。アメシスを除いて、八魔王将は城へ帰った後は結界を張るようにしてくれ」


 俺の発言を聞いて、すぐに動く俺の兄弟分達。

 彼らも俺達に向けられる異常な殺意を感じ取っているのだ。


 数は二名で、神越えの中だと俺しかわからない事なのだが、陰と陽の波長から男と女の襲撃者だと言う事がわかる。

 立ち位置なのだが、俺達をはさみ前後に陣取っているな。


 いいぜ、いつでもかかってきなよ。



 俺は足で一度だけタンと地面をたたいた。

 これだけでカラットの街道は異界に飲み込まれて俺と、俺の仲間と襲撃者が思い切り戦える舞台に変わる。


「大兄貴の新術の【影の国】ですか。

 確か俺達だけ位相がずれた別世界に移動するから通行人達には触れないし、攻撃も当たらなくなるんでしたね」

「そう、今見えているカラット国民や建物に被害は出ないから、いくらでも暴れられるぜ」


「あの一瞬で朕を含む全員を自分のテリトリーにいれるとは、ゴブリンのくせになかなか器用な奴、褒めてつかわす」

「あぁー! 君ずっと眠っていたからどこにいるかわからなかったのに、なんでカラットにいるのー?」


 ミラルカの口ぶりから朕と言う女だけでなく、もう一人の男とも面識があるようだ。


「姫様はお下がりください。我々が用があるのはそこの世帝、つまり七人目の神越えだけですから。

 他の人間に危害を加えるつもりはありません」


 とはいえニャハル、アメシス、ヒトは俺の前に壁となって立ち「この人は傷つけさせない」、と嬉しい事を言ってくれる。

 その姿に苛立ちを覚えた女は両手を天地に向けると詠唱を開始する。



「余達の邪魔をするなら命はないぞ。

 我が名ニンフェディーネの名において、源たる妖帝(ニンフェディーネ)より(くだ)りて顕現せよ。

 (あや)しの精霊と創造の大御神(おおみかみ)が一人である、至高神の落とした命が混ざりし稀有なる輝きよ。

 汝の命は汝だけの物なり、その輝きを汚す者全てへ汝の魔と精霊の血を高めそしてぶつけ、後悔を与えるものなり。

 異なる二つの魂と命と汝が血を持ちて消し去るべし」


 女が大魔法を、それも自分自身を源にして放とうとしている。

 間違いなくこの女は俺と同格の存在【神越えの実力者】の六人目だ。



 まずいぞこちらの大魔法を撃つにも俺が詠唱を唱える時間がない。


「さあ小妖精、(なれ)の力を見せてみよ! ティタ-ニア・バアル・ゼブル・ストレングスー!!」


 やつの手から放たれた大魔法はこの世界を3度消滅する威力を秘めている。

 ニャハルはともかくとして、アメシスとヒトが受ければ死んでしまうだろう。


 俺は三人を押しのけると両手に魔力と闘気を纏い、大魔法を受けとめる。


「こ・こんな……ものっ。こんなっもの!!!」


 なんてね。苦しむ姿を見せなくてもこの程度の威力なら相手に跳ね返せる俺。


「どおおー」

 掛け声と一緒に手に力を込めて相手に跳ね返す。


 力技で十分だぜ、『レスクレーシオ・シュート』を使うまでもないのさ。

 しかし想定内だったのか。


 ガオンと両手を獣の牙に模した口を閉じる動きで挟まれて、大魔法はさらなる異空間へ送られて消滅した。


「サポート種の体でやりおるわ、救世神姫統一光帝ぐぜしんきとういつこうていとたいそうに神々と人々から呼ばれるだけはある。いやさすがはアベルと言うべきか」

「なにそれ? 俺はあちこちで、そんな呼ばれ方してるの?」


「うむ詳しくはそこの男に尋ねるがよい、朕よりも天界と地上界通だからな」


この女一人称が「(ちん)」と「()」の二つあるみたいだ、変な奴だね。


 それとあそこで俺と女の戦いを観察している男はどうやら天界の関係らしい。

 注意深く探るとハイエアと同じ清浄な澄む魔力を感じる。


 大神かぁ、それも十二神級に違いないだろう。やたらパワーを感じるぜ。



「このくらいで終わりではあるまい七人目(世帝)殿。六人目である(妖帝)を、楽しませてくれ」

「いいとも七人目の新米なれどアベル・ジンジャーアップルが受けて立つとも。俺で良ければいくらでも付き合おう」


「嬉しい事を言ってくれるわ」、とはにかみながら俺と距離を詰めて攻撃を放つ妖帝。

 俺はその時はかわし、時には受け止めながらちょくちょく反撃する。

 

 二人の戦いは激しさを増していく。





「やめだ」

「なっ、どういう意味か!!」


 俺は満身創痍のニンフェディーネへ言う。

 彼女は継戦の意志を見せるがボロボロのニンフェディーネと軽傷の俺。

 どちらが優勢で、勝利に近いのかは見るもの全員が理解できていた。

 そして俺は女の狙いと言うより、その後ろの男の意図を理解している。


「俺の実力を見たいんだろう? どうだい、あんたから見てアベルは合格かな」

「お見事。バルケスティ様が魔神との戦いで世界を託す意味がわかりました。

 もちろん大合格ですよ」



 男はマントを脱ぎすててその正体を見せる。ミラルカがいち早く反応する。


「男の正体はヨルゼン神か~、創造神に近い十二神のリーダーが下界に降りてくるなんて」

「おひさしぶりです姫様。僕がフェン殿達と一緒にいた頃より、大きく強くなられていますね。

 それと下界ではヨルゼンではなく魔族だったころのジロウでお呼びください」


 微笑みながらムンドモンド初の異世界人で、初めて人から神に昇格した男。


 ケンセ・ジロウはそう言った

ニンフェディーネ・バゼィールは六人目の神越えです。アベルの一つ前の神越えですが、ミラルカの眠ってた発言は彼女が封印状態にあったことを示しています。

次回はジロウのお話です。2話で収める予定なのですが無理でしたらごめんなさい



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      彦馬がよろこびます

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